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#19|「売れてる商品」と「儲かる商品」は同じ?

─ 売上と粗利の本質を理解し、経営の質を高める思考法 ─

「お客さんで溢れているのに、なぜか月末にお金が残らない」

このような悩みを抱える経営者は少なくありません。
一見繁盛しているように見えても、実は火の車という状況は珍しくないのです。

その謎を解く鍵は、「売上」と「粗利」の構造にあります。
今回は、実際の支援現場で見えてきた、ビジネスの本質的な構造についてお伝えします。




1.同じ売価でも、中身は全然違う


例として、二つの商品を見てみましょう。
どちらもお客様が支払う価格は150円です。

【商品A】売価150円、仕入値100円 → 粗利  50円(粗利率33%)
【商品B】売価150円、仕入値  50円 → 粗利100円(粗利率66%)

お客さんから見れば同じ150円ですが、会社に残る粗利は2倍も違います。
ここで重要なのは、商品A「集客商品」、商品Bを「収益商品」と捉えることです。

商品Aは粗利率は低いものの、スーパーの特売品や飲食店のワンコインランチのように、お客さんの注意を引いてお店に足を運んでもらうための「呼び水」です。
一方、商品Bは販売数は少ないかもしれませんが、一つ売れるごとにしっかりと会社を支える粗利をもたらしてくれます。


2.同じ売上でも、粗利が25%違う!


ここで具体的な数字を見てみましょう。


【ケース1】商品A 20個、商品B 10個を販売

売上:(商品A)3,000円+(商品B)1,500円=4,500円
粗利:(商品A)1,000円+(商品B)1,000円=2,000円

【ケース2】商品B 20個、商品A 10個を販売

売上:(商品B)3,000円+(商品A)1,500円=4,500円
粗利:(商品B)2,000円+(商品A)500円=2,500円

売上は全く同じ4,500円なのに、手元に残る粗利は500円、つまり25%も増加しているのです。
この差を生んだのは「どの商品がどれだけ売れたか」という商品構成の違いだけです。

売上目標を達成して喜んでいても、その中身がケース1なのかケース2なのか、でビジネスの健全性は全く異なります。
売上という数字だけでは、本当の収益力は測れないのです。


3.目玉商品の粗利は120円、関連商品の粗利は600円だった


ある小売店では、集客のために人気商品を特価で販売していました。
チラシにも大きく載せ、実際によく売れていました。

社長も最初は、
「この商品が売れているから、店は回っている」
と思っていました。

ところが、数字を見てみると、その目玉商品の粗利は1個あたり120円。
一方で、目立たない場所に置いていた関連商品は、販売数こそ少ないものの、1個売れると600円の粗利が残っていました。

お客様を呼ぶ商品と、お店に利益を残す商品は違います。

目玉商品だけを売って満足していると、売上はあるのに、なぜかお金が残らない。
そんな状態になってしまいます。

だから見るべきは、「何が売れているか」だけではありません。
「何が会社にお金を残しているか」まで見る必要があるのです。


4.なぜ多くの企業が「集客商品」ばかり売ってしまうのか


理由は主に二つあります。

一つ目は、売上ランキングは毎日更新されて誰もが見えるのに、粗利貢献度ランキングまで可視化している企業が少ないという点です。
目に見えやすい売上や販売個数に意識が向いてしまい、「どの商品が会社を一番儲けさせたか」という視点が欠けてしまいます。

二つ目は、営業担当者の評価制度です。
もしボーナスが売上高に連動していたら、担当者は売りやすい商品Aを売ることにインセンティブが働きます。
会社としては利益の大きい商品Bを売ってほしいのに、現場の評価制度が商品Aを売るように仕向けているのです。
これはアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態であり、経営の設計ミスと言えます。


5.今日から始める3つの実践ステップ


では、この構造を理解した上で、どう行動すればよいのでしょうか。

【ステップ1】
自社の商品をAタイプとBタイプに分類する

まずは、ご自身が扱っている商品や商材を「売れているが粗利は薄いAタイプ」と「数は少ないが粗利は厚いBタイプ」に分けてみてください。
このシンプルな分類作業だけで、見えていなかったビジネスの構造が浮かび上がってきます。

【ステップ2】
限られた経営資源をBタイプに集中させる

販促活動、広告、店頭ポップ、営業の時間配分といった限られた資源を、収益商品であるBタイプに重点的に投入します。
Aタイプの販促キャンペーンに力を入れても、「忙しいのに儲からない」状態を加速させるだけです。
本当に力を入れるべきは、会社を支えてくれるBタイプの魅力をどう伝えるかです。

【ステップ3】
評価制度を粗利連動型に見直す

営業担当者の評価を売上高だけでなく、粗利貢献度にも連動させることで、現場の行動が自然と収益商品の販売に向かうようになります。
組織全体で粗利を意識する文化を作ることが、持続可能な成長につながります。


6.売上の「質」を見る目を養う


粗利が見えている経営者は、商品Aで人を集め、商品Bで粗利を残します。
同じ売上でも、その構成によって手元に残るお金は大きく変わるのです。

この考え方は経営層だけのものではありません。
営業やマーケティング、開発の現場担当者一人ひとりが、「自分の今日の行動が、ケース1とケース2のどちらに貢献しているのか」を意識することが、会社を本当に強くします。

最後に、一つ問いを投げかけます。
もし集客商品であるAタイプの価値そのものを高めて、Bタイプに転換させることはできないでしょうか。
あるいは、AとBを組み合わせた新しいセット商品を作ることで、顧客満足度も粗利率も同時に高めることはできないでしょうか。

売上という数字の表面だけでなく、その中身、つまり「粗利の質」を見る目を養うこと。
そこから、あなたのビジネスの可能性を広げる次の一手が見えてくるはずです。


✨️この記事書いた人✨️

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