Esco vs Jigga : Round 2
前回はほぼJay-zの攻撃会でしたが今回はNasのターンです。
Nas の誕生日である9/14にて解禁された"Stillmatic Freestyle(H to The OMO)"という当時リリースを控えていた最新アルバムタイトルを用いたEric B & Rakim/Paid In Fullのビートを使ったフリースタイルでTakeoverのように初めて具体的にJay-zにアンサーを返しました。
I rule you— before, you used to rap like the Fu-Schnickens
(前はFu-Schnickens*みたいにラップしてたけど、今は俺がオマエを支配してる)
Nas designed your blueprint, who you kidding ?
(俺がオマエを設計したんだ。からかってんのか?)
Is he H to the izz-O, M to the izz-O?
(ヤツは Hからizz-O, Mからizz-Oなのか?)
For shizzle, you phony, the rapping version of Sisqo
(偽物野郎が。まるでオマエはラップ版のSisqoみたいだな)
* Chip Fuというメチャクチャ早口なラップをするMCがいるグループ
Jay-zの当時最新のアルバムタイトルである「The Blueprint」とのダブルミーニングを挟みつつ、昔は早いフローだったが現在はNas のようにタイトなフローになった事を「所詮は俺のフォロワーに過ぎない」とし
Jay-z/Izzo(H.O.V.A)のフックである「H to The Izzo~」以降を「H.O.M.O(ホモ)」と替え歌で煽りつつ、同性愛者疑惑があったシンガーSisqoの名前を出してオチとしてます。
またこの曲の有名なパンチラインとして
Rip the Freeway, shoot through Memphis with Money Bags
(フリーウェイを降り、金を持ってメンフィスを駆け抜けて)
Stop in Philly, order cheesesteaks and eat Beans fast
(フィラデルフィアで止まって、チーズステーキと豆を速攻で平らげてやる。)
And bring it back up top, remove the fake king of New York
(で、戻ったら偽物のニューヨークの王とやらを始末してやる)
と、何となくお気づきの通り同じJay-z側の兵士達という側面が強かったレーベルメイトでNas にも口撃していたFreeway、Memphis Bleek、Beanie Sigelらも同様に比喩や言葉遊びを絡めてまとめて撃ってるのは流石はリリシストですね。

ちなみに数種類程のブートで出回っているStillmatic Freestyleですが The Killah Kutsに入ったバージョンはビートの構成が通常と若干違います。
しかし再プレスから追加で入ったインストは通常のものだったりと不明な点がありますがライバルと差を付けたいならコチラ!
そしてあらゆるDissソングの中でも殺傷性の高さから今でも語られる悪名高い"Ether"でもNas は攻撃の手を緩めません。
Stillmatic Freestyleがジャブならこの曲は徹頭徹尾ハードな内容のDissとなりました。
掻い摘んでラインをピックアップすると・・・
Wearin' Jaz' chains, no TECs, no cash, no cars
(Jaz-oのチェーンを付けて、銃も金も車も無ければ)
No jail bars, Jigga, no pies, no case
(ムショにもぶち込まれていなければ、ヤツは事件すら起こしてない)
Just Hawaiian shirts, hangin' with little Chase
(ハワイアンシャツを着て、ダチとつるんでただけだ)
You a fan, a phony, a fake, a pussy, a Stan
(オマエは俺のファンだろうが、ただの偽物の女々しいスタン*だ)
* Eminem/Stanで歌われた狂ったファンの事を指し。やはりJay-zをフォロワー扱いしている。
この小節に関しては元売人としてのキャラクターを否定するようにJaz-oのハイプマンだった超最初期キャリアの楽曲であるHawaiian Sophieでのポップなスタイルに言及しつつ
曲のリリースが89年なのでTakeover内の「When I was pushin' weight, back in '88(88年にはブツを捌いてた)」というProdigyを馬鹿にする直線の一節に対する「ハワイアンシャツ着てたオカマ野郎がそんな事せんだろ」的なDissラインなりますね。
更に
What you think, you gettin' girls now 'cause of your looks? (Girls, girls, girls, haha)
(女共がオマエの見た目に惹かれると思うか?)(Girls, Girls, Girlsのフックを馬鹿にした感じで歌う)
Negro, please, ha.
(冗談はよせよ。)
you no-mustache-havin' With whiskers like a rat, compared to Beans, you wack
(ネズミみたいなヒゲしか生えてねえくせによ。まだビーンズ(Beanie Sigel)のがマシだぜ)
How much of Biggie's rhymes is gon' come out your fat lips ?
(あとどれだけビギーのライムがそのブ厚い唇から出て来るんだ?)
と、ド定番の見た目イジリにJay-z自身が大好きなNotoriousB.I.Gへのリスペクトで歌詞をよく引用する為に「自分の言葉で書いてないだろ?」とのツッコミに
That this Gay-Z and Cock-a-Fella Records wanted beef (What?)
(ゲイジーとふざけた名前のレーベルが俺とやり合いたいだと?)
Started cockin' up my weapon, slowly loadin' up this ammo
(コッチも武器の撃鉄は起こしてある、ゆっくり弾を込めて)
To explode it on a camel (Haha) and his soldiers I can handle
(そのラクダ面とテメエらの仲間達にもブッ放してやるよ)
と、レーベルへの攻撃と最後までしつこい位のゲイネタで攻め立てます。
しかもこの曲がドロップされた日が12/4と、この日はJay-zの誕生日というのも大層皮肉が効いております。
この曲のビートメーカーであるRon Browzはこれを期に自身を「Ether Boy」というあだ名を自ら名乗り、当時をこう回顧しております。
「自分のマネージャー経由でNasにあのビートを渡したんだ。オレがフライトでの移動があってNasとはスタジオでセッション出来ずにビートを渡したままだった。
そしたらラジオからPacの「Fuck Jay-z」って声が追加されてて、あんなハードなDissソングになってて驚いたよ笑。しかもビート渡してからすぐのスピードだぜ。」
またJay-zと関係が非常にタイトで一応の当事者であるMemphis Bleekもしばらくしてこう振り返ってます。
「ラジオでプレイされた時にヤバイと思った。内容に嘘の部分が結構あるけどあれは歴史に残るホットな曲だ。」
当時は内心、敵ながらあっぱれという感想だったそう。
はい。という事で今回も長くなってしまったので一旦ここまで。
次回が最終回になりますがJay-z側にターンが移りアンサーを返すもののバトルの熱は冷めていったその後の顛末を書いていきます。
