【富士フイルム】フィルムシミュレーション、9種類をどう使い分けているか 20,000枚の使用履歴から
富士フイルムのカメラを使っていると、つい悩んでしまうのがフィルムシミュレーションです。
「今日はどの色で撮ろうかな」と考える時間も、撮影の楽しさのひとつだと思います。
X-Appの使用履歴を見返してみたら、わたしがどんな色を「好き」と感じているのか、思っていた以上にはっきり見えてきました。
はじめに
数字を見たら、自分の好みが少し見えてきた
スマホのX-Appを開いて、フィルムシミュレーションの使用履歴を見てみました。
最初は「へえ、これをよく使っていたんだ」くらいの軽い気持ちだったんです。
ところが見ていくうちに、単なる使用ランキングではなく、自分がどんな色合いを好んでいるのかまで見えてきました。
こういう振り返りって、ちょっとおもしろいです。
「自分ではPROVIAをよく使っているつもりだったけれど、実は違ったんだな」とか、「クラシッククローム、昔はもっと使っていた気がするのに意外と少ないな」とか。
数字を眺めているだけなのに、撮ってきた時間まで思い出されます。
今回は、X-Appのアクティビティをもとに、わたしのお好みフィルムシミュレーションを整理してみます。

まずは使用状況
ASTIAがやっぱり強かった
X-Appの表示を見ると、上位はこんな並びでした。
ASTIA:4,991枚(139本分)
PRO Hi Neg.:3,515枚(98本分)
PROVIA:2,019枚(57本分)
NOSTALGIC Neg.:1,784枚(50本分)
REALA ACE:1,409枚(40本分)
ETERNA:1,209枚(34本分)
CLASSIC Neg.:1,007枚(28本分)
CLASSIC CHROME:584枚(17本分)
Velvia:401枚(12本分)
「※本数は36枚撮りフィルム換算です」
いちばん多かったのはASTIAでした。
これは、わたしとしてはかなり納得です。
実際、いちばん好きなフィルムシミュレーションでもあります。
一方で、2番目に多かったのはPRO Hi Neg.でした。
ただ、ここは少しそのまま受け取れないところがあります。
枚数だけを見ると上位でも、「好きでよく選んだ」とは少し意味が違うからです。
そのほかでは、PROVIA、NOSTALGIC Neg.、REALA ACE、ETERNA、CLASSIC Neg.あたりが続いていました。
こうして並べてみると、派手な色や極端な演出よりも、やわらかさや空気感、少し落ち着いた色をよく選んでいるのが見えてきます。
「数字って、わりと正直だな」と思いました。
PRO Hi Neg.は番外
好きというより、用途で枚数が伸びた色
PRO Hi Neg.が2位に入っていたのは、正直ちょっと意外でした。
というのも、わたし自身はこのフィルムシミュレーションを、特別お気に入りとして強く意識していたわけではないからです。
よく使っていたのは、野生動物を撮るときです。
理由もすごくシンプルで、「少しコントラストがあった方が見やすいな」くらいの感覚でした。
被写体の毛並みや輪郭が少し立つので、その場の判断として選んでいたんだと思います。
しかも野生動物撮影では、高速連写を使うことが多いです。
そうなると、1回の撮影で一気に枚数が増えます。
だから使用枚数としては大きくなりやすいんですよね。
つまり、PRO Hi Neg.の数字は「いちばん好きだから増えた」というより、撮影スタイルの影響が大きいと感じました。
今回は、純粋な好みを見るという意味では、いったん番外として考えたいと思います。
やっぱりASTIA

きれいに撮りたいときの本命
ASTIAがトップだったのは、わたしとしてはとてもしっくりきます。
やはり、いちばん好きなフィルムシミュレーションだからです。
ASTIAの好きなところは、きれいな発色なのに、どこかやわらかさがあるところです。
色がきちんと出るのに、ガツンと強すぎない。
そのバランスがとても気に入っています。
お花を撮るとき、緑が多めの風景を撮るとき、ポートレートを撮るとき。
「今日はきれいに撮りたいな」と思ったら、ほとんどの場合でASTIAを選んでいます。
たとえるなら、光を少しやさしく整えてくれる薄いレースのカーテンみたいな感じです。
被写体そのものの魅力はちゃんと残しながら、見え方だけをほんの少しきれいにしてくれる。
そんな印象があります。
迷ったときに戻ってくる場所があるとしたら、わたしにとってはASTIAです。
作例)

PROVIAとREALA ACE

見たままを残したいときの色
一方で、PROVIAやREALA ACEは、ASTIAとは少し役割が違います。
こちらは「作品としてこの色にしたい」というより、「ここでシャッターを押しておきたい」と思ったときに選ぶことが多いです。
たとえば、あとで見返すためにその場の雰囲気を残したいとき。
記録として、見た目に近い形で残しておきたいとき。
そんな場面ではPROVIAやREALA ACEがしっくりきます。
この2つは、言ってしまえば“信頼して使う色”です。
大きく演出しすぎず、それでいてちゃんと富士らしい気持ちよさもある。
だから、迷わずシャッターを切りたいときに使いやすいんですよね。
「作品の色」と「記録の色」が、自分の中でちゃんと分かれていたんだなと、今回あらためて気づきました。

18-300mm F/3.5-6.3 DiIII-A VC VXD B061X
NOSTALGIC Neg.と
CLASSIC Neg.、ETERNA

温度感で選んでいた
今回、使用履歴を見返していておもしろかったのが、このあたりの使い分けです。
NOSTALGIC Neg.とCLASSIC Neg.は、わたしの中ではいつも少し迷う存在でした。
少し暖かみを出したいときは、NOSTALGIC Neg.を選んでいます。
わずかにアンバーがかかったような雰囲気があって、ただ記録するだけではない、少しやわらかい空気を乗せてくれる感じが好きです。
反対に、もっと寒々しい感じ、無機質な感じを出したいときは、CLASSIC Neg.やETERNAを使っている気がします。
同じ「落ち着いた色」でも、NOSTALGIC Neg.は人肌のぬくもりが少し残っていて、CLASSIC Neg.やETERNAは温度がすっと下がる感じです。
このあたりは、色というより空気を選んでいる感覚に近いのかもしれません。
「今日は少しあたたかく見せたい」
「今日はもっと乾いた感じにしたい」
そんなふうに、写真の温度感で選んでいたのだと思います。

XF35mm F1.4 R

クラシッククロームが
減った理由
好みが消えたのではなく、役割が分かれた
今回の発見で、個人的にいちばん意外だったのは、クラシッククロームが思ったより少なかったことです。
X-T20を買った頃は、ほとんどがクラシッククロームだった印象があります。
当時は、「富士っぽい雰囲気で撮りたい」と思ったら、まずクラシッククロームでした。
少し渋くて、少し乾いていて、なんとも言えない空気が出るのが好きだったんです。
でもX-T5では、NOSTALGIC Neg.やCLASSIC Neg.、さらにETERNAが使えます。
そうなると、以前はクラシッククロームが一手に引き受けていた役割が、それぞれに分散していったんですよね。
少し暖かくしたいならNOSTALGIC Neg.。
もっと寒く、もっと無機質にしたいならCLASSIC Neg.やETERNA。
そう考えると、クラシッククロームの枚数が減ったのは、好みがなくなったからではなく、より細かく選べるようになったからだと思います。
これはカメラの進化でもあるし、自分の好みの解像度が上がったということでもあるのかもしれません。

XF16mm F2.8 R WR
数字を見返して分かったこと
やわらかさと空気感のある色が好きでした
こうして振り返ってみると、わたしの好みはかなりはっきりしていました。
派手さや極端な演出よりも、やわらかさ、空気感、少し落ち着いた色が好きなんだと思います。
ASTIAをいちばん多く使っていたことも、PROVIAやREALA ACEを記録の色として頼っていたことも、NOSTALGIC Neg.とCLASSIC Neg.やETERNAを温度感で使い分けていたことも、全部そこにつながっていました。
富士フイルムのカメラを使っている理由も、少し見えた気がします。
もちろんカメラのデザインや操作感も好きなんですが、それ以上に、自分の好きな空気感を撮る前から選べることが大きいのかもしれません。
「今日はどんな色で見たいか」を考えながら撮れるのは、やはり楽しいです。
おわりに
使用履歴を見返すだけで、自分の写真が少し見えてくる
X-Appのアクティビティは、ただの使用履歴だと思っていました。
でも見返してみると、そこには自分の写真の好みや、被写体に向けていた気持ちまで、けっこう素直に出ていました。
どのフィルムシミュレーションを多く使っていたかを見るだけでも、意外とおもしろいです。
「自分はこういう色が好きだったんだな」と気づけるだけで、次に撮る写真もちょっと変わってくる気がします。
わたしにとっては、やはりASTIAが特別でした。
でも、ほかのフィルムシミュレーションにもちゃんと役割があって、その使い分けの中に自分らしさが出ていたのも発見でした。
こういう振り返り、アルバムをめくるより少しだけ無機質なのに、不思議と記憶はよく戻ってきます。
「なるほど、わたしはこういう色が好きなんだな」
そんな確認をする時間も、富士フイルムを使う楽しさのひとつだと思います。
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