トロンボーンの魅力|前編|始めはそんな好きじゃなかった
私とトロンボーン(Tb)の出会いは中学1年生の時。それから20年ほどを共に過ごしてきた。ちょっと振り返ってみたい。
中学校の吹奏楽部に入って、楽器紹介をしてもらい、希望の楽器を第3志望まで書いて顧問の先生に提出することになった。私の希望は、クラリネット、トランペット、サックス、だった気がする。中学校にあったTbはただ金管を2回曲げてベルが付いただけの楽器(ロータリーはついてなかった)で、見た目がなんとなくカッコ悪かった。それに音もなんか地味。だから、どちらかというと、Tbにはなりませんように、と思っていた。
人気はやっぱり華やかな楽器に集中するもの。一方、Tbは誰も希望していなかった。先生に呼び出され、「ふみちゃーん、ちょっと手、伸ばしてみてくれる?」と言われた。素直に伸ばしてみたところ、「いいね~。Tbやってみない?」すでに身長が160㎝あったので、身体的にはボーダーラインをクリアしていた。
Tb希望の人、いないから先生困ってるしなあ。まだ可愛かった私は、そう思って「Tbやります」と言ってしまったのだった。
中学生はまだ成長途中なので、大きい楽器は人によっては難しい。Tbも身長が低いと難しい楽器の一つで、スライドを伸ばしたポジションに届かなくなってしまう。腕が短い場合はスライドにひもを付けて演奏する方法もありますが…(結構難しい)。
始めはマウスピースの吹き方と腹式呼吸から。吹き方を教えてもらい、寝っ転がって息を吸うとお腹が上下すること確認した。やってみると案外簡単に音は出た。よかった。
次は楽器にマウスピースを付けて吹いたんだろうけど、記憶がない。マウスピースで音が出るかどうかの方が、心配だったようだ。
ポジション別にTbで出る音を整理した五線紙をもらい、同じポジションでたくさんの音が出ることに驚いた気がする。ポジションが一つ変わると、半音ずつ下がっていくだけなので、覚えるのは簡単。曲の練習などをしているうちにスライド位置と出る音と楽譜の読みもすんなり一致するようになり、夏休みの間には合奏で困らず吹けるようになっていた。そのとき、やっていたのは『アイーダ』の前奏曲だったと思う。
中学校では合奏のほか、アンサンブルやソロでのゆるい発表会があり、だんだんTbに愛着が出てきた。積極的に好きではないけど、まあ付き合ってもいい、くらいの。でも吹奏楽は好きだった。合奏が好きだった。だから、進学先が割と吹奏楽を頑張っている高校だったこともあって、高校でも吹奏楽部に入ったのだった。
ゆるかった中学校の部活と違い、高校は朝練あり、強豪中学校出身の上級者あり、合奏の指示も難しかった(音階はドイツ語読みの実音で、音程は導音とか根音とか普通に言ってくる)。先輩もみんな上手い!!こんなところでやっていけるんだろうか…?と不安になった。同じTbパートの同級生(強豪校出身)と仲良くなり、わからないところはとりあえず彼女に質問することにして、ロングトーンとリップスラーの基礎練習だけは毎日コツコツやっていた。
そんなとき、先輩が「きょうはみんなでこれやってみよー」とTb四重奏の楽譜を持ってきた。ガーシュインの曲のメドレー『A Portrait』。ちょっと大人っぽくて、刻みのリズムが楽しいから伴奏でも楽しくて、でもソロパートは高音域だし歌うのが難しい。『I got rhythm』なんかは、そんなソロパートをリズムで煽って、ちょっといじめるのも楽しい。それにしてもこの動画の演奏、めちゃくちゃ音が美しくて柔らかくて上品で、なのに時々「えっ?!」てくらいエロくていいです。
Tbって、こんな楽しいんだ!と、私がTbのとりこになったのはTb四重奏のせいだと思う。同じパート内で4本集まればできるから、高校生の時はしょっちゅう四重奏して遊んでいた。
そんなある日、強豪校出身の先輩が「目指す音がないんじゃない?」と、Tb四重奏のCDを貸してくれた。映画とかガーシュインとか親しみやすい曲ばかりで、でも未知の領域の音が山盛りだった。Tbだけで、こんな音楽がつくれるんだ…。それからはますますTbが楽しくなって、進学校なのに勉強もろくにしないでTbばっかり吹いていたかもしれない。
(魅力を語るところにたどり着けませんでした。後編はこちら)
