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【雲間月怪異譚】 幕間③

【雲間月怪異譚】幕間ー清掃奇譚



※注意※
イラストは、AIが生成しています。
本作『雲間月怪異譚』には、
怪異・都市伝説・因習・和風ホラー表現が含まれます。

薄暗い話や、
“じわりと嫌な感じ”のする話が苦手な方は、
どうか無理をなさらず回れ右でお願いします。

それでも覗いてくださる方は――
どうぞ、雲間の怪異譚へ。

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田舎あるあるがある。
いや、あるあると言うには少々癖が強い。

年に数回、田舎の町内会では「クリーンの日」というものが設定されている。

町をあげての掃除日和だ。

昔は、爺ちゃんが道普請(みちぶしん)なんて言っていたかな。

男衆は下水や用水路の掃除や修繕をしていた。

春はこれから田んぼが始まるからね。

そして、現在である。

「爺ちゃん聞いてよ! クリーンの日、五時前には誰もいなかったのに、八時前には終わってたんだよ!」

回覧板で月初にお知らせされたクリーンの日。

カレンダーに丸を付けて、ゴミ袋を持って、トングも持って準備万端。

意気揚々と出向いた結果――

「おっせーよ!」

知らない近所のおじさんに

そう言われて参加賞のお茶のペットボトルだけ渡された。

気持ちが収まらなくて、雲外鏡爺のところに来たわけだ。

蔵は住居用にリフォームされている。

ここに住むのは、影縫クロウと雲外鏡爺だ。

二人とも引きこもり生活なので、地域の人はその存在自体を知らない事が多い。

でも、この時代ちゃんと住民票はありますからね。

雲外鏡爺は蔵の畳敷きの居間で、お茶をすすりながら言った。

「ふむ。朝駆け婆じゃな」

保は初めて聞いた単語に食らいつく。

「なにそれ?」

雲外鏡爺は最中を一口かじりながら説明した。

「夜明け前から活動する妖怪じゃ。
草むしりと側溝掃除を好み、気付けば作業を終わらせておる」

「へぇ」

保は素直に頷く。

「地域行事への参加率も高くてな。
ゴミの分別には特に厳しい」

「なるほど」

「近年は高齢化が進んでおるな」

「大変だなぁ」

保は感心したように頷いている。

全く疑う気配がない。

既にクロウは隣で肩を震わせていた。

「クロウ?」

「いや……実に興味深い妖怪だなと思ってね」

そう言いながら、視線は完全に逸れている。

保はまだ気付かない。

さらに雲外鏡爺は続けた。

「自治会長という長老格になると、大妖怪と呼ばれる」

雲外鏡爺は楊枝でシーシーしながら言った。

「ぶっ!」

とうとうクロウが吹き出した。

「クロウ!?」

「いや失礼。それはさすがに盛り過ぎだと思ってね」

保は雲外鏡爺を振り返る。

「どこから嘘なの!?」

しかし、雲外鏡爺の表情からは何も読めない。

「ちなみに朝駆け婆は実在するの?」

「さてのう」

ついでのようにクロウへお茶のお代わりを催促する。

「どっちなんだよ!」

「少なくとも儂は見た事がある」

「いるじゃん!」

保が身を乗り出す。

雲外鏡爺は湯呑みを受け取りながら続けた。

「ただし全員人間じゃったがな」

「紛らわしい!」

クロウの笑い声が蔵の中に響いた。

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