人事は「オペレーション担当」から「経営変革のリーダー」へ。旧型人事は、5年後に居場所を失う
「毎日、採用・労務・研修に追われています」
「経営会議には、報告のためにしか呼ばれません」
「事業のことは、正直、詳しくありません」
人事担当者の方から、本当によくいただくお話です。
私自身、人事コンサルタントとして、5,000人を超える面接、数十社の組織支援、4名から100名超への垂直立ち上げを経験してきました。
事業責任者として、0→10億円のプロジェクトも、複数経験しています。
その経験から、断言できることがあります。
これまでの人事像は、もう終わります。
米国の人事団体SHRMや、グローバルの人事研究機関のレポートでは、こんな表現まで登場しています。
「HR supporting technology is over」
(人事が技術を支援する時代は、終わった)
つまり、これからの人事は、こういう転換を迫られています。
旧:人を採る人事
↓
新:事業と人の未来を設計する人事
この転換に、乗れた人事は、5年後、経営の中枢に立っています。
乗れなかった人事は、5年後、居場所を失います。
厳しい言い方ですが、これは現実です。
今日は、この転換の本質について、お話しします。
◆「オペレーション型人事」と「経営変革リーダー型人事」の、決定的な違い
まず、正直に、この二つの人事の違いをお伝えします。
私が、これまで数十社の組織を見てきて、経営者から本当に信頼されている人事には、共通点があります。
それは、こういう姿です。
現場の人と、定期的に会話をしている。
事業の流れを、完全に理解している。
各事業部の課題と、目指しているゴールを、人事でも自分の言葉で語ることができている。
これが、経営変革リーダー型人事です。
一方、オペレーション型人事は、こう見えます。
現場の人と、定期的な会話がない。
事業の流れが、あまり見えていない。
各事業部の課題を、自分の言葉では語れない。
日々の採用や労務の業務は、こなしている。
でも、事業の議論には、入れない。
これが、多くの会社で、今、起きている人事の実態です。
そして、経営者は、この違いを、驚くほど正確に見抜いています。
◆経営者は、"事業を語れる人事"にしか、重要な議論を持ちかけない
少し、踏み込みます。
私が、複数の経営者の方と、人事責任者について話す時、必ず出てくる言葉があります。
「うちの人事は、いい人なんです」
「でも、事業の話は、あまりできないんですよね」
「だから、採用や労務のことだけ、任せています」
この言葉の裏側で、経営者は、こう感じています。
「事業のことがわからない人事に、組織の未来の話は、持ちかけられない」
「本当に大事な意思決定には、この人事は、呼べない」
これは、能力の問題ではありません。
"事業を語れるかどうか"が、経営との距離を、決定的に分けているんです。
そして、この距離は、日々の業務では、ほとんど見えません。
でも、経営者の中には、確実に、存在しています。
◆"事業と人の未来を設計する人事"とは、何をしている人か
では、「事業と人の未来を設計する人事」とは、具体的に何をしている人か。
私の定義は、シンプルです。
現状の課題解決や、人員不足の穴埋めをする人事ではなく、
"得たい未来の組織や事業"から、逆算ができる人事です。
現状の人事は、こう考えます。
「今、この部署で欠員が出た。だから、採用する」
「今、離職率が上がっている。だから、研修を入れる」
「今、評価制度が古くなっている。だから、改定する」
これは、すべて"今"からのスタートです。
対処療法の連続です。
未来を設計する人事は、こう考えます。
「3年後、この会社は、どんな組織でありたいか」
「そのために、今から、どんな人材を採り、どう育てるべきか」
「今の評価制度は、その未来の組織を作る仕組みになっているか」
これは、"未来"から"今"への逆算です。
そして、この逆算ができる人事は、必ず、経営の隣に立ちます。

◆事業計画さえ、疑ってコミットする
そして、私がもう一段、強調したいことがあります。
本当に価値を出す人事は、事業計画さえ、疑うんです。
多くの人事は、経営から降りてきた事業計画を、「はい、わかりました」と受け取ります。
そして、その事業計画に沿って、要員計画や採用計画を立てていきます。
でも、経営変革リーダー型人事は、違います。
「その事業計画の数字は、本当に達成可能ですか?」
「必要な人材の質と量が、その事業計画と、本当に噛み合っていますか?」
「その事業を成功させるために、組織構造は、これでいいですか?」
事業計画そのものに、健全な疑いを投げかけ、経営と一緒に、事業と組織の未来を作り込んでいく。
これが、価値を出す人事の姿です。
「言われたことをやる人事」ではなく、
「言われたことを疑い、より良い未来のためにコミットする人事」。
この差が、5年後、10年後に、人事のキャリアを決定的に分けていきます。
◆AI時代に、この転換は、さらに加速する
ここから、AI時代の話をします。
SHRMの調査では、HR領域でAIを活用する組織が、1年で26%から43%へ、急増したと報告されています。
採用業務の自動化、履歴書のスクリーニング、候補者検索、求人票の作成。
これまで人事が時間を取られていた業務が、次々とAIに置き換わっています。
ここで、旧型人事の方は、こう感じるかもしれません。
「私たちの仕事が、AIに奪われる」
でも、私は、逆だと考えています。
AIが、オペレーション業務を巻き取ってくれることで、人事は初めて、"事業と人の未来を設計する仕事"に、時間を使えるようになるんです。
つまり、AI時代は、旧型人事にとっては脅威ですが、経営変革リーダー型人事にとっては、追い風です。
自分がどちらの側に立つか。
今、選ぶ時が来ています。
◆転換の第一歩は、実はシンプル
では、オペレーション人事から、変革リーダー人事に転換するための、第一歩は何か。
私の答えは、シンプルです。
一つ目、経営学を、学ぶこと。
会計、財務、マーケティング、戦略、組織論。
これらの基本を、体系的に学ぶ。
特別に難しい話ではありません。
書店に並んでいる本を、順番に読むだけでも、経営の言語がわかるようになります。
二つ目、自社の事業を、深く理解すること。
自社が、何をしていて、どうやって儲けていて、誰にどんな価値を届けているのか。
この事業の構造を、自分の言葉で説明できるか。
できないなら、まず現場に足を運んでください。
現場の人と話してください。
三つ目、社長が得たい未来を、自分の言葉で語れること。
社長は、どんな会社を、どんな未来を、目指しているのか。
それを、自分の言葉で、社員にも、経営陣にも、伝えられるか。
シンプルですが、ここに向き合える人事は、驚くほど少ないんです。
そして、ここに本気で向き合った人事のキャリアは、確実に、飛躍していきます。
◆人事担当者の方への、最後の三つの問い
最後に、三つだけ、問いを残します。
あなたは、自社の事業を、社長と同じレベルで、自分の言葉で語れますか?
あなたは、各事業部の課題とゴールを、事業部長と対等に議論できますか?
あなたは、3年後の組織像を、経営と一緒に、逆算で描けていますか?
この三つに、自信を持って「はい」と答えられないなら、あなたは、まだ"オペレーション人事"の側にいます。
でも、大丈夫です。
今日から、変えられます。

◆5年後、あなたはどちらの人事になっているか
最後に、もう一度、お伝えします。
これからの5年、10年、人事という職種は、大きく二つに分かれていきます。
一つは、オペレーションに追われ続け、AIに置き換えられ、居場所を失っていく人事。
もう一つは、AIをパートナーにして、事業と人の未来を設計し、経営の中枢で活躍する人事。
同じ「人事」という肩書きでも、まったく別の職種になっていきます。
そして、この選択は、今、この瞬間から、始まっています。
「毎日忙しくて、事業を学ぶ時間がない」
「経営会議に呼ばれていないから、関与できない」
こうした言い訳は、5年後、確実に、自分自身の首を絞めます。
今日から、経営学の本を1冊、開いてみる。
今日から、現場の人と、事業について会話してみる。
今日から、社長に、会社の未来について、聞いてみる。
たった一つでいい。
その一歩から、あなたの人事キャリアは、変わり始めます。
シンプルなことです。
でも、ここに本気で向き合った人事だけが、これからの時代の主役になっていきます。
◆ここから、本当に伝えたいこと
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
私が主宰している「採用代行講座 by CBA(キャリアブリッジアカデミー)」は、2026年4月〜6月に1期生、現在は2期生が進行中です。
ありがたいことに、1期生・2期生ともに、満員でのスタートとなりました。
そのため、現時点では、新規募集は行っておりません。
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