【ちょっと昔の世界一周】 #47 《出会いは続く...》
ツアーから戻ってくる頃には、当然ながらすっかり日も暮れていた。
宿に戻った私は、シンジさんと夕飯を取りに行くために街中へと向かった。
これまで、そしてこれからのお互いの旅の話をしながら過ごす時間。
観光スポットに行くこともだが、こういった時間も旅の醍醐味である。
聞けばシンジさんは初めての海外一人旅でトルコに来たとのこと。
友達とアジア・ヨーロッパは訪れたことがあったので、行ったことのないトルコが気になって訪れたと教えてくれた。
イスタンブールに着き、噂には聞いていたツリーに滞在しトルコに来て良かったと思ったらしい。
人によっては無理と感じる〝Tree of Life(通称ツリー)〟
しかし、イケると感じた人たちはそれだけで〝仲間〟である。
元々ツリーで会ったメンバーとは離れてしまったが、運よくツリー仲間と出会うことができた。
食事を済ませ、宿へ戻る途中に一つ質問をしてみた。
「あの宿って、ツリーで評判良かったですけど、他に日本人っているんですか?」
それまでの話の中で、シンジさんは昨日着いているが他の日本人の話が出ていなかったので気になっていた。
日本人バックパッカーの中で、それなりに名の知れた宿だと数名は泊まっていそうなのだが、会話中に一度も話題に出てこなかった。
「俺も昨日着いてから、ノブ君と同じようにサンセット見に行ったんだけど、他の人とあまり会ってないんだよね。疲れてたから飯食ってすぐ寝ちゃったし、ドミの人たちは皆外人(日本人以外という意味)で今朝もツアー行く前に、同じドミの人以外見てないし…」
宿には他にもドミがあるが、個室も何部屋かあるらしい。
もしかしたら個室に泊まってるのかも…と言った話をしながら宿に戻ると、私たちの疑問はすぐに解決した。
フロントを戻り部屋に行こうとしたが、私たちのドミとフロントを挟んだ反対側にテラスがある。
そこにいた二人組から声がかかった。
「あれっ、日本人ですか?」
ほぼ同時に私たちは声のする方に目を向ける。
そこには、男女二人組が備え付けの椅子に腰掛け、一杯やっていた。
「よかった〜、他にもいたんだ〜!〝リク〟って言います。こっちは〝ナミ〟です。よろしく!」
せっかくなので、、、と言った訳でもないし言われてもいないが、私たちはテラス席へ腰を下ろす。
自己紹介がてら話をする。
二人はカップル旅行者。
オーストラリアでワーホリ(ワーキングホリデー)をして、ヨーロッパからインドまで向かうとのこと。
「絶対このルートの方がいいよね!リクったら〝逆がいいんじゃね!〟って言うんだけど、最初インド行ったら後が刺激ないでしょ!」
とナミさんが熱く語っている。
シンジさんも私もインドには行ったことがないが、どちらの言い分もわかる。
メインディッシュを先に食べてゆったりするか、最後に食べるか…
悩みどころだ…
結局はメインを最後にする流れになって、ヨーロッパを周りインドへ向けて進んでいるところらしい。
二人はツリーにこそ泊まってはいないが
「この宿、日本人に人気って聞いて来たんだけど、会わなくて残念って思ってたんだよ〜」
と言っていた。
そんな時に私たちを見かけて声をかけたとのこと。
昨日から泊まっているが、二人旅と言うこともあり個室に泊まっていたことでシンジさんとは会えていなかったようだ。
私たちを加え、四人で楽しく過ごしているとナミさんが
「あの人たち、日本人っぽくない?」
と宿の奥から出てきた二人組を見ている。
確かに、私たちよりは年上の男女が歩いてくる。
声をかけると、予想通り日本人だった。
ノリさんとミチコさん、二人は結婚こそしていないがパートナーで、休みを合わせてトルコ旅行へ来ていた。
結果、六人に増えた日本人たちは夜遅くまで語り合った…
*****
昨夜、いや日付は変わり朝方まで楽しく過ごしていたおかげ?で、私は目を覚ますと大急ぎでツアーの準備を始めた。
部屋を出るとほぼ同時に、女将さんから声がかかる。
ツアーの集合場所への車がちょうど着いたようだ。
そして、その車に乗っていた人以外も何人か人が集まり、ツアーが始まる。
シンジさんが言っていた通り、見応えがあっていいツアー。









途中に立ち寄った場所では、思いがけない再会があった。
岩場に作られた住居跡を見ていると、別のツアー参加者もいたのだが
「ノブさんじゃないですか〜」
と声がかかる。
そちらを見ると、タケシ君とナオト君が手を振っている。
二、三日ぶりとはいえ、旅の途中での再会は嬉しいものだ。
お互いの近況を話していると
「そういえばシオリさんとは別なんですね。てっきり二人旅だと思ってました!」
と、ナオト君が言ってくる。
そう思われてもしょうがないだろうが、旅というのはそんな出会いと別れの繰り返しなのだろう。
出会ったと思ったら、旅立つ。
そしてこんな感じで再び出会う。
そういえば、シオリさんは無事にバギーに乗れたかな?そんな話題を話していると、先に来ていた彼らのツアーの出発の時間になったようだった。
また会うかもね!
そんなことを言いながら、別れの挨拶を交わす。



ツアーは夕方までだったのだが、参加者の中にもいい出会いがあった。
運よく、私の他にも日本人の参加者がいたのだ。
モリさんといって、子供が大学生で一人で住むようになったので、夫婦で旅行に来ていた。
モリさん夫婦にとって、私は息子さんと同世代。
二人にとってそれぐらいの青年(私)が一人で旅をしている姿は、息子さんに重なって見えたらしい。
いつまでも子供は子供
そんなことを思っていたが、同世代の人間が自分で考え動いている姿はとても一人の立派に見えたそう。
息子もこんな感じなのかも知れない…
そう思うと安心できた。
と話してくれた。
私にとっても、私の親は旅立ちを何も言わず応援してくれたが、こういう心配もしてくれたのかもしれない…と考えさせられた。
ツアーはギョレメの街中に戻り終了となる。
私に出会えて、色々考えさせられた記念に息子にお土産を買っていきたいが、どんなのがいいか?と相談され、一緒に土産物屋を見て回る。
最終的に、もう立派な大人の男だということで、モリさん夫婦が使いそうな物を中心に買って、土産話とともに欲しいものをあげることになった。
「息子のことを子供扱いせずに立派な〝大人〟と思えるようになったことが、一番のお土産かな(笑)」
そんなことを話しながら二人に礼を言われ、私は宿に戻った。
戻ってからは、昨日のようにシンジさんと夕飯を食べに行き、飲み物やツマミを仕入れて再び、夜中まで日本人メンバーで語り合った。
明日はいよいよ、これぞカッパドキア!といえる景色を観に行く。
そして、夜行バスで次の街へ向かう…
色んな人たちとの出会いを重ねながら、旅は続いていく。
