ロルフィングを受けたら人生が変わった【第8回】~あなたの姿勢は、世界への「構え」が結晶したもの~

こんにちは、🇺🇸ボルダー在住、ロルフィング®インストラクターのNobuです。この春、Dr. Ida Rolf Institute(略称DIRI、ディリィ)で開催されたロルフィング認定コースのPhase I(初級)を振り返りながら、ロルフィングの魅力と生徒たちの成長についてお伝えしています。

私についてはこちらをご覧ください。

今回は「知覚(Perception)」のお話です。
ロルフ・ムーブメントのクラスで起きた、ちょっとした「目からウロコ」な体験をシェアします。


「正しい姿勢」を目指すほど、身体は固くなる

クラスの冒頭で、私は生徒たちに質問しました。
  「姿勢がいい、とは? どんなイメージが浮かびますか?」

  「背筋がまっすぐ」
  「肩を後ろに引く」
  「お腹を引っ込める」
  ——次々と手が挙がります。

でも、そのイメージって誰かに「見られること」を前提にしていませんか?

フランスの身体研究者、ロルフ・ムーブメントインストラクターでもある
ウベア・ゴダールは、こんな言葉を残しています。

  「姿勢とは、態度の結晶である」
   
Posture is the crystallization of attitude.

姿勢は「形」ではなく、その人が世界に向けて持っている「構え」が、
身体に刻まれたものだというのです。


ボディ・イメージとボディ・スキーマ

私たちが身体を意識するとき、ふたつの回路が働いています。

ひとつは「ボディ・イメージ」
「自分はどう見えているか」という意識的な自己像。
鏡の前で姿勢を正すとき、私たちはここを使います。
視覚的なコントロール。「お腹を引っ込めなきゃ」も、これです。

もうひとつは「ボディ・スキーマ」
「自分は今、空間のどこにいるか」という無意識の身体地図。
目を閉じても腕がどこにあるのかわかる、あの感覚です。
固有受容感覚と前庭感覚による、潜在的なナビゲーションシステム。

ロルフィングが本当に変えようとしているのは、
「見た目の姿勢」ではありません。

ボディ・スキーマ——身体の内なる地図——を更新すること。

そうすれば、意識して「正す」必要がなくなります。
身体が自然に、軽く、いられるようになるんです。


WhatとWhere。
眼の使い方だけで、こんなに変わる。

クラスで最も驚かれるのが、「視覚と姿勢の関係」の話です。

私たちの目には、ふたつの異なる経路があります。

ひとつは「何を見るか(What)」の経路——
焦点を合わせ、対象物を識別する中心視野。
スマートフォンを見るとき、本を読むとき、私たちはここを使っています。集中力が高まる一方で、交感神経を活性化させ、身体を「戦闘モード」に傾けます。

もうひとつは「どこにいるか(Where)」の経路——
空間・動き・自分の位置を感知する周辺視野。
ぼんやりと広く見るときの、あの視野です。
こちらは直接、トニック・システム(深層の姿勢筋群)を活性化します。


『ちょっとメモを取る手を休めて、窓に向かって立ってみましょう。
 遠くに浮かぶ雲や樹々の緑を、ぼんやりと眺めてみて。
 そして今の身体の状態に気づいてみましょう。

 次に顔の前に腕を伸ばして、親指を立て「いいね」ポーズをします。
 そして親指の爪を見てください。
 身体で何が起きましたか? 呼吸はどんな感じがするでしょうか?

 もし興味があれば、親指の後ろに広がる景色を眺めたり、
 また爪を見たり、視線を行き来してみてください。
 ほらね、何か身体のモードが切り替わるのに気づきましたか』

私の呼びかけに応えるように、生徒たちから
「あ……肩が下がった」「首の緊張がハンパない」
「なんか、背が伸びた気がする」「息がしやすい」など
いろんな気づきが返ってきました。

姿勢を「正した」わけではありません。
ただ、目の使い方を変えただけ。でも身体は、ちゃんと反応したのです。


「見た目をよくしよう」という意図では、身体は固くなります。

でも「今、どこにいるか」を感じようとする意図に切り替えた瞬間、
身体はふっと、自分自身に戻っていく。

ロルフ・ムーブメントは、その「切り替えスイッチ」を知るための旅です。


ちょっと聞かせて:

スマホや画面を長時間見たあと、身体がどんな感じになるか気にしたことはありますか?


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