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農業問題 素朴な疑問2 佐渡はネオニコチノイド系農薬をやめた 小林信也

数年前、故郷の地元紙・新潟日報の夕刊媒体《おとなプラス》で
佐渡島をテーマに連載させてもらった。取材を通じて、ある事実を知り驚いた。それはJA佐渡(佐渡農業協同組合)のHPにも記されている決断だ。
『(佐渡島は)平成30年産米よりネオニコチノイド系農薬を全面的に禁止しました! 生きものが安心して共生できる環境作りが、佐渡米の安心・安全にもつながっています。』
〈ネオニコチノイド系農薬〉というのは、人体への深刻な影響を指摘され、欧米では使用を制限される傾向にある農薬だ。この危険を訴える(一社)アクト・ビヨンド・トラストのHPにはこう書かれている。
『ネオニコチノイド系農薬は現在世界でもっとも広く使われている殺虫剤です。ニコチンに似た成分で標的害虫の神経伝達を阻害する作用があり、1990年代から新しい農薬として市場に出回り始めました。』

ネオニコチノイド系農薬は主に次の特徴を持っている
神経伝達を攪乱する作用(神経毒性)をもつ
水に溶けて根から葉先まで植物全体に行きわたる(浸透性)
3.長期間植物に留まる(残留性)
開発当初、この農薬は脊椎動物と比較すると昆虫に対して選択的に効くと考えられていました。そのためヒトには安全であるとされ、ヒトへの毒性の高い有機リン系の農薬に代わる殺虫剤として重宝されます。』(同HP)
ところが、僕も耳にして心配した世界的な〈蜂の大量死〉の原因がネオニコチノイド系農薬にあるとわかり、農業全体そして人体への深刻な影響が認識された。当然、世界各国で規制が進んだが、日本ではなぜか使用規制がないどころか、『作物に対する使用量の上限値が緩和されるなど他の先進諸国とは逆の動きも見られます。』(同HP)

佐渡島(JA佐渡)は、全国に先駆けて使用を禁止した
なぜ佐渡にそれが出来たのか? 僕は当時のJA佐渡の担当者、環境省関東地方環境事務所の担当者に取材をした。
大きな理由は〈朱鷺(トキ)〉にあった。
日本産のトキは2003年に絶滅。その後、中国から親鳥の提供を受け、保護センターで増殖の努力を重ねた。そして2008年、ついに10羽のときが自然の空へと放鳥された。ところが、佐渡の各地で残念ながら息絶えているトキが何羽も発見された。原因は、トキが水田でついばんだえさ(どじょうなど)の中に含まれていた残留農薬ではないかと推測された。もしくは、自然界にはまだ十分なトキのえさがない。トキは、餌になるドジョウやタニシ、メダカ、カエルなどがいなければ生きられない 。せっかく飼育し放鳥しても、水田や大地が汚染されていたのでは元の木阿弥だ。そこで佐渡は全島をあげて、田畑からネオニコチノイド系農薬を一掃することを決めたのだという。

小林信也の本
既刊《天才アスリート 覚醒の瞬間》(さくら舎)
新刊《武術に学ぶスポーツ進化論》~宇城憲治師直伝「調和」の身体論~
(どう出版)

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