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農業問題 素朴な疑問6 食料自給率、日本は38%、東京はゼロ!? 小林信也

「食は国防に通じる」
《令和の百姓一揆》、トラクターでデモ行進を先導した藤松泰通さんは、デモの前にメインステージでコメントを求められ、「食は国防に通じる」と訴えた。その根拠のひとつは《食料自給率》だと思う。
仮に戦争になったら、海外(ことに敵対する相手国)からの食糧供給は途絶えると覚悟すべきだ。地下資源だけでなく食糧も輸入に依存している日本が、その段階で窮地に追い込まれるのは明らかだ。
 いま日本の食料自給率は50%を大きく割り込んでいる。農林水産省のHPを見ると、『国内で消費される食べ物が、どれくらい自分の国でまかなえているかを示す割合を「食料自給率」と言います。2023年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は、38%でした』と記されている。
 この発表を受けて補足情報を発信した日本経済新聞によれば、『生産や消費などの重量から割り出した品目別の自給率はコメが99%、肉類が53%で前年度と同水準だった。小麦は2ポイント上昇の17%、大豆は1ポイント上昇の7%。野菜は1ポイント上昇の80%、魚介類は2ポイント低下の52%だった』
 
海外からの食料供給が止まったら日本人の生活は
 あえて短絡的な表現をすれば、もし戦争か災害が起こり、あるいは戦争に導くための戦略として海外からの食料供給が止められた場合、日本人はこれまでの38%の量しか食事をとれない。あるいは38%の人だけが食べられ、62%の人は食べられない、という計算になる。もっと現実的に推測すれば、輸入に依存している食べ物は食卓から消え、国内自給率の高い食べ物を毎日食べることになる。
〈兵糧攻め〉という戦略がある。これは『敵を包囲して食料の供給を断ち、武力を行使せずに相手を疲弊させ、降参させる戦術』だ。もし城内に大量の備蓄があり、あるいは生産環境があれば長期間耐えられるが、現在の日本にあてはめれば、アッという間に備蓄は底をつき、ミサイルなどの武力攻撃をしなくても日本は降伏せざるを得ない状況に追い込まれる。
 その観点から見れば、日本は恐ろしく国力が弱い。政治的には「国を守るために防衛費を倍増させ、軍備を増強するのは必然だ」との意見が優位になり、実際に防衛費の増税が熱心に行われている。しかし、武力を増強しても国民が飢えたら戦い以前の問題だ。いまの日本にミサイル攻撃は必要ない。食料を止める、たったそれだけの戦術で平伏させることが可能な弱小国と言われても仕方がない。
 そのことになぜ、国も国民も危機感を抱かないのだろう。《令和の百姓一揆》が起こった一因はここにあるのだと僕は理解している。「農家の生活や安定収入を守ってほしい」という切実な訴えも当然だが、それだけでなく、「食の重要さを国に認識してもらい、農政を根本的に変革すべきだ、国民もそれを理解すべきだ」という必死の叫びがあるからこそ、あれだけ多くの農業従事者が立ち上がり、一体となったと感じている。

もっと深刻な「東京都」の食料自給率
 食料自給率について調べる中でひどくショッキングな事実に出くわした。それは〈東京都の食料自給率〉だ。これも農林水産省の発表だが、カロリーベースの食料自給率が東京都は平成30年度(2018年度)まで「1%」だった。それが令和元年度(2019年)には「0%」になっている。四捨五入した数字だろうから、実際には0テン何%かだろうが、限りなくゼロに近いことに変わりはない。確かにそうだろうなと納得もするが、有事の際、東京都民はどうなるのか、背筋が凍る思いだ。
 こうした数字に呆然とする一方で、『農水省が意図的に自給率を低く見せて、食に対する国民の危機感を煽っているのだ』と主張する本も出版されている。この問題にはまだ深い背景がありそうだ。いずれにせよ、僕ら食べる側の人間も、日本そして東京の食料自給率の増加に貢献する行動を取る必要があると強く感じる。

小林信也の本
既刊《天才アスリート 覚醒の瞬間》(さくら舎)
新刊《武術に学ぶスポーツ進化論》~宇城憲治師直伝「調和」の身体論~
(どう出版)

小林信也「スポーツライター塾」開講
「作家の学校」も受付中

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