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「勝手にスポーツ大臣」23 小林信也 高校大学のスポーツ推薦をやめませんか

入学金、授業料免除。それを決める監督やOBが権力を握る弊害も
高校も大学も、スポーツ強豪校の大半が『スポーツ推薦制度』を採用しています。入学後、競技を続ける前提で、学業成績以上に競技の実績や技量を評価し、入学を許可する制度です。中には『スポーツ特待生制度』を設け、入学金免除、授業料免除などの条件で勧誘する学校もあります。幼いころから競技に打ち込む費用を負担していた両親にとってはありがたい制度です。特待生にもランクがあって、最上級のSランク評価になると、入学金、授業料、寮費も全部免除の上、栄養費などの名目で月々のお小遣いまで支給される選手がいると聞きます。
いま日本のスポーツ界は、高校、大学年代の選手強化を学校に依存しています。レスリング、卓球、バドミントンなど、競技によってはJOCのエリートアカデミーが主体になっている団体もありますが、高校、大学の部活動がなければ、育成環境の大半が失われるのが現在の日本の実情です。
 
「スポーツ推薦をやめるべきだ」と強く主張する教授たちもいる
ここ数年、スポーツ推薦制度の見直しを提言する声がスポーツ以外の教授たちから起こっています。例えば、アメフトの危険タックル問題以来、不祥事の続く日大では、多くの教員がそれを訴えています。スポーツ推薦で入学した学生の授業への参加態度、向学心に明らかに問題があると嘆く教授の声も聞きました。
「大学は勉強し、研究する学び舎なのだから、スポーツにしか興味がない学生に入ってほしくない」
そう話してくれた教授の言葉は、ごく当然の訴えに違いありません。でも日本では、高校でも大学でも、「野球をするために入った」「サッカーさえできればいい」といった部活最優先主義が学内でも社会的にも容認される傾向がずっと続いています。それを見直してもいい時期ではないでしょうか。
また、教員でもない体育会の部活の監督やOBが推薦入学の選考権限を持っていることに疑義を投げかける教授もいました。しかも、高校生を入学させる力を持つ立場の監督やOBが金品や対価を求める事例も確認されています。『スポーツ推薦制度』があるばかりに、大学部活の周辺に不祥事の温床ができてしまっている。一部の学校では、そこに根深い権力構造ができているのは事実のようです。

学校は勉強をするために入る。競技は地域のクラブでする
高校野球改革の議論がされた時、仮に夏の甲子園大会を「猛暑を避けて秋にしよう」と提言すると、「推薦入学に影響するから絶対やめてほしい」といった意見が出る。秋では推薦入学に間に合わない。「全国大会に出場した」という実績が有力な合格材料になるのに、それがないと不利になる、といった現実的に主張だ。推薦入学を前提にすれば、その主張は無視できないが、そもそも推薦入学制度自体を見直せばその主張そのものが根拠を持たなくなる。
中学校は部活動の地域移行が進められている。現状、高校に波及する動きは見えていないが、『教員の働き方改革』という事情を考慮すれば、高校も当然そうなる可能性がある。「勝手にスポーツ大臣」は、高校でも地域クラブの充実があっていいと考えている。サッカーがそうであるように、高校では勉強し、競技はJリーグ傘下のクラブでするスタイルが野球にも採用されていい。そうなると学校対抗で戦っている甲子園大会のあり方をどうするか議論が必要だが、「クラブの参加も認める」あるいは、「クラブ選手権を甲子園大会に匹敵するものに育てる」といった方向性もありえるだろう。
 
でも僕は、AO入試には賛成です
ただ僕は、AO入試を否定する立場ではありません。学業成績以外の要素を評価し、学校が受け容れること自体は前向きだと感じる。
大学受験のために、高校生活を塾通い・受験勉強で塗りつぶすような日々にしてほしくない。勉強以外の活動にも心配なく取り組める環境や体制を整備するのは大人の務めだと思っています。その意味で、受験改革、AO入試的なテストの普及は歓迎です。ただし、特定の部活動を強くするために学業成績に目をつぶって入学させるといった姿勢が適切とも思いません。
 
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