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【第560回】 新機能 Winter '27 ハイライト:Marketing Cloud Engagement

Marketing Cloud Engagement の Winter ’27 新機能リリース の情報が公開されましたので、今回もそのハイライトをまとめてみたいと思います。

現時点では Winter ’27 リリースはまだリリース前の段階です。掲載されている機能は、リリースまでに内容や提供時期が変更される可能性があります。

今回の Winter ’27 は、AI、Marketing Cloud Engagement+、セキュリティを中心に、かなり多くのアップデートが入ったリリースとなっています。

その中でも、まず注目したいのが MCP サーバーの大幅な機能強化です。

Summer ’26 では、Marketing Cloud Engagement で MCP サーバーが利用できるようになり、Claude や Gemini などの AI から Marketing Cloud Engagement を直接操作できるようになったことをご紹介しました。

Winter ’27 では、そこからさらに 40 の新しいツールが MCP サーバーに追加され、AI から操作できる範囲が大きく広がっています。

例えば、

  • Automation Studio のアクティビティの作成・実行

  • Content Builder のフォルダ管理

  • データエクステンションへのデータの一括 Upsert

  • データエクステンションのデータ取得

  • コンタクトの削除

  • メールのトラッキングデータの取得

など、Marketing Cloud Engagement の日常的な運用に関わる操作まで、AI から実行できるようになります。

Summer ’26 が 「AI と直接会話しながら Marketing Cloud Engagement を操作する時代の始まり」だったとすれば、Winter ’27 は、そこからさらに一歩進み、AI が実際の運用作業を担う時代へ進み始めたリリースと言えるかもしれません。

また、Marketing Cloud Engagement+ にも大きなアップデートが入っています。

特に注目したいのが、Marketing Cloud Engagement から送信したメールで、Agentforce を利用した双方向の会話が可能になることです。

受信者がメールに直接返信すると Agentforce がリアルタイムで応答し、必要に応じて Omni-Channel を通じて担当者へ引き継ぐこともできます。

それでは、さっそく今回の新機能を重要なものから順に確認していきましょう。



1. AI ・MCP サーバー関連

① MCP サーバーに 40 の新しいツールを追加

Summer ’26 で登場した Marketing Cloud Engagement の MCP(Model Context Protocol)サーバーが大幅に強化され、Winter ’27 では新たに 40 のツールが追加されました。

これにより、Claude や Gemini などの MCP に対応した AI から、自然言語による指示で Marketing Cloud Engagement のより多くの操作を実行できるようになります。

今回追加されたツールは、大きく以下の 7 つの領域に分かれています。

  • Automation Studio:ファイル転送、SSJS、インポート、フィルターアクティビティの作成・更新・実行・削除、FTP 転送先の管理、スケジュールやファイルドロップトリガーの有効化・無効化

  • キャンペーン:キャンペーンの作成・取得・更新・削除、キャンペーンアセットの関連付け・解除

  • 一括・非同期データ処理:データエクステンションやデータイベントへの一括 Upsert、非同期ジョブのステータス・結果の確認

  • Content Builder:フォルダの作成・名前変更・移動・削除、利用可能なアセットタイプの取得

  • データエクステンション:External Key を指定したデータ取得、フィルタリングやページネーション

  • コンタクト:Contact Key を指定したコンタクトと属性の個別・一括削除

  • トラッキング:イベントタイプを指定したメールトラッキングイベントの取得

これらのツールは Marketing Cloud Engagement のコア API を利用して操作を実行するため、これまで API を利用して個別に開発していたような処理を、AI と自然言語で会話しながら実行できる範囲が大きく広がったことになります。

例えば、

  • 「このデータエクステンションのデータを確認して」

  • 「このインポートアクティビティを実行して」

  • 「この Contact Key のコンタクトを削除して」

  • 「メールのトラッキングイベントを取得して」

といった指示を AI に行い、Marketing Cloud Engagement の操作につなげていくことができます。

Summer ’26 の MCP サーバー登場時点では、まだ「AI から Marketing Cloud Engagement を操作できるようになった」という入口の段階でした。

今回、一気に 40 のツールが追加されたことで、Marketing Cloud Engagement の日常的な管理・運用作業を AI に任せるという使い方が、より現実的になってきたと言えるでしょう。


2. Marketing Cloud Engagement+ 関連

① MCE のメールで Agentforce との双方向会話が可能に

Marketing Cloud Engagement から送信したメールで、Agentforce を利用した双方向の会話ができるようになりました。

受信者が Marketing Cloud Engagement から届いたメールに直接返信すると、Agentforce エージェントがその返信を受け取り、リアルタイムで回答します。

既存の Journey Builder のジャーニーでも、Conversational Sender Profile(会話型送信者プロファイル)を有効にすることで、この会話型メールを利用できます。

さらに、メールの返信は自動的に同じスレッドとして管理されるため、それまでの会話のコンテキストを維持したまま Agentforce とやり取りを継続できます。

また、受信者が人間によるサポートを求めた場合には、会話を Omni-Channel の受信トレイから担当者へ引き継ぐこともできます。担当者は、それまで Agentforce が対応していたものと同じメールスレッド上で、そのまま返信できます。

つまり、

Marketing Cloud Engagement からメールを送信
→ 顧客がメールに返信
→ Agentforce が回答
→ 必要に応じて人間の担当者へ引き継ぐ

という一連のコミュニケーションが可能になります。

これまで Marketing Cloud Next で提供されていた Conversational(会話型)マーケティングの体験を、既存の Marketing Cloud Engagement のジャーニーでも利用できるようになるという点が、今回の大きなポイントです。

Marketing Cloud Engagement+ は、これまで Marketing Cloud Engagement と Marketing Cloud Next / Data 360 をつなぐ役割が中心でしたが、今回のアップデートによって、Agentforce を活用した新しいコミュニケーション体験まで MCE 側に持ち込めるようになったと言えるでしょう。


② Salesforce Go から MCE と Data 360 を簡単に接続

Marketing Cloud Engagement と Data 360 の接続設定を、Salesforce Go を利用した 1 つのガイド付きセットアップから実行できるようになりました。

これまで Marketing Cloud Engagement+ を利用するためには、Marketing Cloud Engagement と Data 360 の接続に関連する複数の設定を、それぞれ進める必要がありました。

今回のアップデートでは、それらの設定が Salesforce Go に集約され、1 つのガイドに沿って接続を進められるようになります。

具体的には、以下のような設定が含まれます。

  • データストリームの展開

  • Marketing Performance Intelligence のインストール

  • 同意情報のマッピング

  • ユーザーアクセスの設定

これらを個別の設定画面を行き来しながら進める必要がなくなり、Marketing Cloud Engagement と Data 360 を接続するための一連のセットアップを、より簡単に進められるようになります。

Marketing Cloud Engagement+ では、MCE のデータを Data 360 に連携し、Marketing Cloud Next 側でも活用できることが大きな特徴ですが、そのための初期セットアップそのものが簡素化されたアップデートと考えると分かりやすいでしょう。


③ ID 解決の標準マッチルールを強化

Marketing Cloud Engagement+ で利用する ID 解決の標準ルールセットに、新しいマッチルールが追加されました。

今回追加されたルールでは、名前のあいまい一致(Fuzzy Matching)と、正規化された以下の情報を組み合わせてレコードを照合します。

  • メールアドレス

  • 電話番号

  • 住所

これにより、データに入力ミスや表記の違い、異なるスペルなどが含まれている場合でも、同一人物と考えられるレコードをより適切に特定できるようになります。

例えば、名前のスペルや住所の表記が少し異なっていても、メールアドレスや電話番号などの情報と組み合わせることで、同一人物としてマッチできる可能性が高まります。

Marketing Cloud Engagement のデータを Data 360 に取り込んだ後、顧客データを正しく統合するためには Identity Resolution の設定が重要になります。

今回、Marketing Cloud Engagement 向けの標準ルールセットそのものが強化されたことで、複雑なマッチルールを最初から手動で作成しなくても、より精度の高い顧客プロファイルの統合を始めやすくなったことがポイントです。

注意:残念ながら、日本や一部の国では「名前のあいまい一致(Fuzzy Matching)」の基準は利用できません。


3. Journey Builder / Automation Studio

① Journey Builderのメールアドレス重複排除

Journey Builder で、メールアドレスの重複排除を行い、同じメールアドレスへの重複送信を防止できるようになります。

現時点では詳細な仕様は公開されていないため、具体的な重複排除の条件や設定方法については、今後の情報を確認したいと思います。

② Journey Notifications Dashboard

Journey Builder に Journey Notifications Dashboard が追加され、ジャーニーで発生している問題や警告をまとめて確認できるようになります。

これにより、問題が発生した際の確認やトラブルシューティングが行いやすくなります。

こちらも現時点では詳細な情報が公開されていないため、今後の情報を待ちたいと思います。

③ Automation Studio のファイル名置換文字が大文字・小文字を区別しないように

Automation Studio の Data Extract と File Transfer アクティビティで、ファイル名に使用する日付・時刻の置換文字が、大文字・小文字を区別せず認識されるようになりました。

例えば、

  • %%Year%%

  • %%year%%

  • %%YEAR%%

のいずれを使用しても、正しく値に置換されます。

Import や Export アクティビティではすでに大文字・小文字を区別しない仕様となっており、今回 Data Extract と File Transfer も同じ仕様に統一されました。


4. セキュリティー

① Security Dashboard でアカウントのセキュリティ状況を確認

新しい Security Dashboard が追加され、Marketing Cloud Engagement アカウントのセキュリティ設定をまとめて確認できるようになりました。

ダッシュボードでは、アカウント全体の健全性スコアを確認できるほか、セキュリティに関する項目をカテゴリ別に確認し、優先して改善すべきポイントを特定できます。

また、現在のセキュリティ状況を PDF レポートとしてエクスポートすることもできます。


② Data Extension のデータアクセスを監査可能に

Advanced Audit Trail で、ユーザーや API コンシューマーが Data Extension 内のデータを閲覧したことを記録できるようになりました。

これにより、

  • 誰が

  • いつ

  • Data Extension 内のサブスクライバーデータへアクセスしたか

を監査ログから確認できます。

GDPR などのデータプライバシー規制への対応という観点でも、重要なアップデートとなります。


③ Touch ID・Face ID・パスキーなどの認証に対応

Marketing Cloud Engagement へのログインで、フィッシング耐性のある多要素認証(PR-MFA)を利用できるようになりました。

例えば、

  • Apple の Touch ID / Face ID

  • Windows Hello

  • パスキー

  • YubiKey などのハードウェア認証デバイス

を利用できます。

パスワードや従来型の認証だけに依存せず、フィッシング攻撃に対してより強い認証方式を利用できるようになります。


④ 過去のログイン情報から推奨 IP 範囲を提示

Marketing Cloud Engagement が過去 6 か月間にアカウントへのログインに使用された IP アドレスを確認し、ログイン許可リストに設定する推奨 IP 範囲を提示するようになりました。

管理者は提示された範囲を確認したうえで、数回のクリックで許可リストへ追加できます。

ログイン元の IP 制限を設定したい場合に、適切な IP 範囲を判断しやすくなる改善です。


⑤ 重要なセキュリティ設定変更時に MFA で再認証

アカウントのセキュリティ設定変更など、一部の重要な操作を実行する際に、Marketing Admin に MFA による再認証が要求されるようになります。

ログイン済みのセッションが第三者に利用された場合でも、重要なセキュリティ設定を簡単に変更されないようにするための仕組みです。

なお、SSO(シングルサインオン)を使用している環境には、この変更は適用されません。

一方、SSO を使用するアカウントについても、AMR(Authentication Method Reference)および ACC(Authentication Context Class Reference)クレームを使用した MFAへの対応が必要になります。


⑥ Installed Package の Client Secret に 180 日の有効期限

今回、特に注意したいのが Installed Package の Client Secret の有効期限です。

2026 年 3 月 25 日以降に生成された Client Secret は、生成日から 180 日で有効期限を迎えるようになります。

また、2026 年 3 月 25 日以降、一度もローテーションされていない既存の Client Secret は、2026 年 9 月 30 日に期限切れとなります。

有効期限が近づくと、メールおよび Marketing Cloud Engagement 上のバナーで通知されます。

API 連携で Installed Package を利用している場合、Client Secret の定期的なローテーションを前提とした運用へ変更する必要があるため、今回のセキュリティアップデートの中でも特に注意しておきたい変更です。


⑦ 漏洩した Client Secret を自動的に失効

API 連携で使用している Client Secret にセキュリティ上の脅威が検出された場合、Salesforce が Client Secret を自動的に失効するようになります。

例えば、Client Secret が公開リポジトリに露出していることが検出された場合、自動的に Secret を失効させ、管理者へメールと Marketing Cloud Engagement 上の通知で知らせます。

その後のセキュリティレビューで侵害されていないことが確認された場合には、自動的に復元されます。

なお、この機能はデフォルトで有効となり、管理者が無効にすることはできません。


⑧ Installed Package から Client Secret の状態を確認可能に

Setup の Installed Packages ページから、各パッケージで使用している Client Secret の状態を確認できるようになりました。

各パッケージについて、

  • Client Secret の失効状態

  • 有効期限

  • Client ID

  • 最後の認証呼び出しからの経過日数

などをまとめて確認できます。

今回の 180 日ごとの Client Secret ローテーションと合わせて、管理者が API 連携の認証情報を継続的に管理するための機能強化と言えるでしょう。


5. WhatsApp 関連

① 複数の MCE アカウントから 1 つの Data Cloud を利用可能に

Unified Messaging で WhatsApp を設定する際に、1 つの Data Cloud インスタンスに接続されている複数の Marketing Cloud Engagement アカウントから、WhatsApp の電話番号を各 Business Unit に割り当てられるようになりました。

これにより、1 つの Data Cloud インスタンスと WhatsApp Business Account(WABA)を共有しながら、異なる MCE アカウントからそれぞれ WhatsApp ジャーニーを実行できます。

これまでは WhatsApp の設定時に、別の MCE アカウントに存在する Business Unit へ電話番号を割り当てることができませんでした。

複数の MCE アカウントを運用している企業にとって、WhatsApp の構成をより柔軟に設計できるようになるアップデートです。


② 電話番号を非公開にしている WhatsApp ユーザーにもメッセージを送信可能に

WhatsApp の Business-Scoped User ID(BSUID)に対応し、ユーザーが電話番号を非公開にしている場合でも、Marketing Cloud Engagement からメッセージを送信できるようになります。

BSUID は、WhatsApp でユーザー名のプライバシーを有効にしているユーザーを識別するために Meta が提供する識別子です。

Marketing Cloud Engagement では、

  • BSUID を使用したコンタクトのインポート

  • 電話番号を利用できないユーザーへのメッセージ送信

  • 電話番号と BSUID の両方を利用したエンゲージメントのトラッキング

が可能になります。

WhatsApp が電話番号を中心とした仕組みから、ユーザー名によってプライバシーを保護できる仕組みへ変化していくことに対応したアップデートと言えるでしょう。


③ WhatsApp Direct Send のカテゴリ不一致を検出

WhatsApp の Direct Send API を利用したメッセージについて、Meta が判定したカテゴリと想定していたカテゴリが異なる場合に、そのフィードバックを Marketing Cloud Engagement 上で確認できるようになります。

例えば、Utility(ユーティリティ)として送信したメッセージが、Meta によって Marketing または Authentication と判定された場合、そのカテゴリの不一致を確認できます。

Direct Send API では通常のテンプレート承認を経由せず、Meta がメッセージのカテゴリを自動的に判定するため、こうした不一致を早い段階で確認することで、WhatsApp アカウントが制限されるリスクを減らすことができます。

なお、Meta によってアカウントが制限された場合、制限が解除されるまで Marketing Cloud Engagement では Direct Send テンプレートの作成とジャーニーの有効化がブロックされます。


6. その他の変更

① Sender Authentication Package でプロキシ経由のカスタムドメインに対応

Sender Authentication Package(SAP)で、Marketing Cloud Engagement に直接ルーティングするのではなく、プロキシを経由するカスタムドメインを設定・保護できるようになりました。

Marketing Cloud Engagement がホストするドメインにプロキシを設定すると、エンドツーエンドの接続性とセキュリティが自動的に検証されます。

これにより、プロキシを利用する構成でも、手動で接続状態などを確認する負担を減らしながらカスタムドメインを管理できるようになります。


② Data Import API で古いファイルの誤インポートを防止

Data Import API に maxFileAgeHours パラメータが追加され、指定した時間より古いファイルが誤ってインポートされることを防止できるようになりました。

maxFileAgeHours を指定すると、Marketing Cloud Engagement がファイルの最終更新日時を確認し、現在時刻との差が指定した時間を超えている場合はインポートを実行しません。

例えば、24 時間以内に作成・更新されたファイルだけを処理するといった制御が可能になります。

また、ファイルの経過時間を判定する際にはタイムスタンプが正規化されるため、タイムゾーンの違いによる影響を受けないようになっています。

古いファイルを誤って再処理してしまう事故を防ぐことができるため、外部システムから Data Import API を利用してデータを連携している環境では、シンプルながら実用的な改善と言えるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

今回の Winter ’27 は、AI、Marketing Cloud Engagement+、セキュリティを中心に、多くのアップデートが追加されています。

特に MCP サーバーの大幅な機能強化によって、AI を活用した Marketing Cloud Engagement の運用が、さらに現実的になってきたと感じます。

また、Journey Builder のメールアドレス重複排除など、日々の運用で役立ちそうな改善も追加されています。

今後、詳細が明らかになった機能については、実際に検証しながらご紹介していきたいと思います。

今回は以上です。


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