【第533回】 Marketing Cloud Next : プレーンテキスト版を含むメールの送信
Salesforce 自体からはリリースノートや公式ヘルプへの記載のみで大きく告知されていませんが、Marketing Cloud Next Growth & Advanced Editions の Summer '26 新機能リリース において、プレーンテキスト版メールの作成機能が追加されました。

2026 年 6 月 17 日以降は、メール送信時にデフォルトでマルチパート MIME 形式(従来の HTML 版に加えてプレーンテキスト版が含まれた形での送信)が適用されて送信されるようになりました。
プレーンテキスト版が追加されるメリット
① 受信環境に応じて最適な形式を表示できる
マルチパート MIME 形式では、1 通のメールに HTML 版とプレーンテキスト版の両方が含まれます。
そのため、受信側のメールクライアントが最適な形式を自動的に選択できます。
Gmail → HTML 表示
Outlook → HTML 表示
HTML 表示を無効化している環境 → テキスト表示
② スパム判定で有利になる場合がある
一般的に、
HTML 版あり
プレーンテキスト版あり
という構成のメールは、正当なマーケティングメールとして評価されやすい傾向があります。
もちろん必ずしも到達率が向上するわけではありませんが、業界標準に近い構成であることは間違いありません。
③ アクセシビリティの向上
一部のユーザーは以下のような環境でメールを利用しています。
テキストメールを利用している
音声読み上げソフトを利用している
HTML 表示を制限している
プレーンテキスト版が存在することで、こうした環境にも適切に対応できるようになります。
Marketing Cloud Engagement と同じ仕組み
プレーンテキストを編集する画面は、Marketing Cloud Engagement とほぼ同じ仕組みで実装されています。
HTML 版のメール内容をもとに、プレーンテキスト版が自動生成されます。

編集ボタンをクリックすることで編集することも可能ですが、一度プレーンテキスト版を手動で編集すると、その後 HTML 版を変更しても内容は自動反映されなくなります。
すべてやり直す必要がある場合は、現在の HTML 版の内容からプレーンテキスト版を再生成することも可能です。
いつからマルチパート MIME になったのか?
マルチパート MIME 送信が有効になったのは、私が確認した限りでは 2026 年 6 月 17 日からです。
なぜそこまで断言できるのかと言うと、本番リリース前のプレビュー環境の頃から Salesforce から届くメールのソースを毎日確認していたからです。
Summer '26 のリリース当日も、その後の数日間も確認していましたが、送信されていたのは HTML 専用メールでした。
しかし、2026 年 6 月 17 日に受信したメールから、明確にマルチパート MIME 形式へ変更されていました。

おそらく Salesforce は、リリース直後に既存メールアセットへのプレーンテキスト版生成処理を段階的に適用していたのではないかと推測しています。公式な説明はありませんので、これはあくまで私個人の推測です。
ヘッダーから確認してみる
変更前
以前のメールヘッダーは、以下のような構成でした。
MIME-Version: 1.0
Content-Type: text/html; charset=UTF-8HTML のみが送信されており、multipart を構成する boundary も存在しませんでした。
変更後
2026 年 6 月 17 日以降は、以下のようになっています。
MIME-Version: 1.0
Content-Type: multipart/alternative; boundary="----=Part_Alternative_Boundary=----"multipart/alternative が利用されています。
さらに本文には、
------=Part_Alternative_Boundary=----
Content-Type: text/plain; charset="utf-8"と
------=Part_Alternative_Boundary=----
Content-Type: text/html; charset="utf-8"の両方( text/plain と text/html )が含まれています。
つまり、HTML 版とプレーンテキスト版の両方が 1 通のメールとして送信されていることが確認できます。
既存メールも影響を受ける
当然ながら、この変更は今後作成するメールだけではありません。
これまでに作成済みのメールや自動化されたメールについても、マルチパート MIME 形式で送信されるようになります。
そのため、現在フローで有効化されているメールのプレーンテキスト版の内容も確認しておくことをおすすめします。
HTML 版から自動生成されていますので、対応しなくても致命的な問題になるケースは少ないと思われますが、メール品質を重視するブランドや、高級商材を扱う企業であれば、早めに確認しておいた方が良いでしょう。
環境によって編集できない場合がある
残念ながら、一部環境ではプレーンテキスト版を編集できない事象が発生しているようです。
例に漏れず、私の利用している環境でも、ユーザー言語を「英語」に設定している場合は編集画面が表示されません。

一方で、ユーザー言語を「日本語」へ変更すると正常に編集できます。

もしプレーンテキスト版の編集画面が表示されない場合は、一度ユーザー言語を変更して試してみてください。
いかがでしたでしょうか。
今回の変更により、Marketing Cloud Next でもようやく業界標準的なマルチパート MIME メール送信が利用できるようになりました。
受信環境への対応
スパム判定への配慮
アクセシビリティ向上
という観点では非常に重要な改善です。
注意点としては、既存メールにも自動的に適用されるため、一度プレーンテキスト版の内容を確認しておくことをおすすめします。
今回は以上です。
