見出し画像

【第502回】 Marketing Cloud Next : 新機能 Summer '26 ハイライト

Marketing Cloud Next Growth & Advanced Edition の Summer '26 の新機能リリース が公開されました。

Summer '26 新機能リリースについて:日本における本番環境へのリリースは 2026 年 6 月 14 日(日)から 行われました。

今回の記事では、そのハイライトをお届けします。


注目の新機能

今回の Summer ’26 リリースは、前回の Spring ’26 リリースに続き、最大級のアップデート規模となりました。数多くの新機能が追加されていますが、その中でも特に注目しているのが AMPscript の導入です。

Spring ’26 リリースでは Handlebars が追加されましたが、Marketing Cloud Engagement ユーザーにとっては、やや扱いづらい側面がありました。その点、今回の AMPscript 対応は、既存ユーザーにとって非常に大きな前進だと感じています。

さらに、新たに登場した Marketing Objects は、データグラフに代わるAMPscript 向けのデータソースとして、大きく活用できる可能性があり、今後の展開に大きな期待が持てます。

加えて、これらのスクリプト機能をコードエディターだけでなく、ビジュアルエディター上でも利用できるようになった点は、実務において非常に価値の高い改善と言えるでしょう。

Spring ’26 リリースでは、ビジネスユニットや専用 IP アドレスといった基盤機能も整備されましたが、今回のリリースを踏まえると、Marketing Cloud Engagement ではなく、Marketing Cloud Next を選択する理由が徐々に明確になってきた印象です。できることの幅が一気に広がってきました。

一方で、日本においては、以下の機能が引き続き気になるポイントです。

  • LINE 連携

  • アプリプッシュ通知

  • ドメインスロットリング

特に LINE 連携がネックになる気がします。現時点でも Apex を活用すれば Marketing Cloud Next でも実装は可能ですが、やはり標準機能としての対応が期待されるところです。

それでは、今回のリリース内容を順を追って見ていきましょう。


前回の Spring '26 のリリースノートハイライトは、以下を参照して下さい。


コンテンツ・ランディングページ関連

① AMPscript でメッセージを柔軟にカスタマイズ

Marketing Cloud Next のメッセージ内で、AMPscript コードを使用できるようになりました。AMPscript を活用することで、Marketing Objects から受信者データを取得したり、再利用可能なコンテンツをプログラム的に組み込むことができます。

また、この機能により、Marketing Cloud Engagement で作成したコンテンツを Marketing Cloud Next で再現する際の手間も軽減されます。

Martketing Cloud Next で利用可能な AMPscript の関数は、こちら のサイトで確認できます。


② Marketing Objects にマーケティングデータを保存

Marketing Objects は、高スループットかつ低レイテンシでマーケティングデータを扱えるデータストアです。CSV ファイルをインポートすることで、外部システムのデータを Marketing Objects に取り込むことができます。マーケターは、Handlebars や AMPscript を使用してMarketing Objects 内のデータを読み取り・加工し、パーソナライズに活用できます。


③ ビジュアルエディターのままスクリプト開発を効率化

コードエディターへ切り替えることなく、従来のビジュアルエディター上でAMPscript および Handlebars を利用できるようになりました。さらに構文検証機能が追加され、HTML・Handlebars・AMPscript を自由に組み合わせて記述できます。

コードにエラーがある場合は該当箇所が自動的にハイライトされ、修正のヒントも提示されるため、品質を担保しながら効率的にコンテンツを作成できます。


④ メールのプレーンテキスト版を用意する

エンゲージメントを高め、セキュアなメールクライアントやスクリーンリーダーなど、あらゆる表示形式で確実にリーチするために、メールメッセージのプレーンテキスト版を作成し、追加できるようになりました。

  • セキュアなメールクライアント
    → HTMLをブロック → テキスト版が表示される

  • スクリーンリーダー
    → テキストの方が読み上げやすい場合がある

  • あらゆる表示形式
    → 環境ごとに最適な形式(HTML or テキスト)が選ばれる

メッセージ本文を編集するには、エディターでメールを開き、「プレーンテキストビューを選択 します。


⑤ 動的な送信元アドレスと返信先アドレス

顧客エンゲージメントを高め、顧客関係を強化するために、信頼できる送信者からマーケティングメールを送信しましょう。Salesforce の取引先責任者のデータと、取引先のデータを 送信元アドレス返信先アドレス に、動的に追加できるようになったため、メールが do-not-reply@ のような一般的なアドレスではなく、アカウント所有者や営業担当者から、直接送信されたように見せることができます。そして顧客が返信すると、その返信は直接該当の担当者に届きます。

手順:設定画面で、「統合メッセージング」の下にある「承認済みメールドメイン(Authorized Email Domains)」を選択します。次に、動的アドレス用のメールドメインを追加して検証します。

ドメイン検証が完了すると、マーケティング担当者は「差し込み項目」を使用して、キャンペーン作成時に送信元アドレスと返信先アドレスを動的に設定できます。


⑥ 新しいデータプロバイダーでメールをパーソナライズする

最新のビジネスデータを使用してメールをパーソナライズするために、「Salesforce オブジェクト」と「コンテンツ変数」という 2 つの新しいデータソースに基づいた差し込み項目をメッセージに追加します。


⑦ パーソナライズされたオファーをメールに組み込み

メールコンテンツ内にオファー(クーポンコードなど)を直接組み込むことで、プロモーション配信を効率化し、手作業によるミスを削減できます。

メールビルダーでは、オファーをデータソースとして追加し、マージフィールドを使用してオファー名・説明・クーポンコードなどの情報を自動的に差し込むことが可能です。

さらに、ロイヤルティランクなどの属性に応じて動的コンテンツのルールを設定することで、受信者ごとに最適なオファーを出し分けることができ、よりパーソナライズされたコミュニケーションを実現します。


⑧ コンテンツバリエーションで多言語キャンペーンを展開

コンテンツバリアントの新たな言語サポートにより、メール、画像、ヘッダー、フッター、プロモーションセクションなど、さまざまなコンテンツブロックを柔軟にローカライズできるようになりました。

単一のメールやコンテンツブロック内で翻訳を一元管理できるため、グローバルキャンペーンの運用を大幅にシンプルにします。

また、キャンペーンを複製することなく、受信者ごとの言語設定に応じた最適なコンテンツを配信できるため、運用負荷を抑えながら、よりパーソナライズされた顧客体験を提供できます。


⑨ マーケティングメールで CC が利用可能に

業務上のやり取りを関係者全体で共有できるよう、社内外のメールアドレスをCC(カーボンコピー)として追加できるようになりました。

  • CC 機能を利用するには、Unified Messaging の設定ページで CC フィールドを有効化します。

  • 1 回のメール送信につき、最大10件までメールアドレスを追加可能です。


⑩ メールアーカイブ機能で送信メールを保存可能に

規制対応や監査対応、コンプライアンス要件への対応を目的として、送信したメールのコピーを自動的に保存できる メールアーカイブ機能 が追加されました。

Marketing Cloud Next で送信したメールの監査証跡を Salesforce 上に残せるようになったことで、金融業界や医療業界など、厳格なコンプライアンス要件が求められる組織でも利用しやすくなりました。

アーカイブされたメールは、Salesforce の標準オブジェクトである Email Message(メールメッセージ) に保存されます。

ただし、長期間にわたり大量のメールを保存すると Salesforce ストレージを消費するため、アーカイブデータのエクスポートや保管には Salesforce Archive アプリ の利用が必要となります。

  • Archive アプリ をご利用される際は Salesforce の担当営業までお願いします。

  • また、Email Message オブジェクトにカスタム項目を追加している場合は注意が必要です。

  • カスタム項目で 「レコードを保存するには、このフィールドに常に値を入力する」 が有効になっていると、メールアーカイブ機能は正常に動作しません。メールアーカイブを利用する場合は、必須項目として設定されていないことを事前に確認してください。

有効化の手順

  1. [設定]→[メールアーカイブ] を開きます。

  2. [メールアーカイブ] を有効化します。

  3. ユーザーごとにアーカイブの有効・無効を選択できるようにするか設定します。

    • メールアーカイブを有効にすると、フローの 「メール送信メッセージ」 要素にある [メールをアーカイブする] オプションがデフォルトで有効になります。

    • また、管理者がユーザーによるアーカイブ制御を許可している場合、マーケティング担当者は特定の送信のみアーカイブを無効化できます。ただし、一度アーカイブを無効にして送信したメールは、後からアーカイブ対象として追加することはできません。

制限事項と注意点

メールアーカイブ機能を利用する際は、以下の制限事項を理解しておきましょう。

  • 1 日あたり最大 100,000 通 のメールをアーカイブ可能

  • 131 KB を超えるメールは切り詰められて保存される

  • メール添付ファイルはサポートされない

  • HTMLメール本文は保存されるが、添付ファイル情報は Email Message オブジェクトに保存されない

特に、添付ファイルそのものは保存されないため、契約書や請求書などの添付ファイルを監査目的で保管したい場合は、別途保存方法を検討する必要があります。


⑪ カスタムフォントで一貫性のあるブランド体験を実現

コンテンツビルダーにカスタム Web フォントを追加することで、マーケターはメール、ランディングページ、フォーム、テンプレートの作成時にブランドに最適なフォントを選択できるようになります。さらに、代替フォント(フォールバックフォント)をあらかじめ定義しておくことで、カスタムフォントが読み込まれない環境でも可読性を確保できます。

また、ビジネスユニットごとに Web ホスト型フォントを割り当てることで、すべてのコンテンツにおいてブランドの一貫性を維持し、ユーザーにとって認識しやすい体験を提供できます。


⑫ ランディングページテンプレートのパーソナライゼーション

ランディングページテンプレートにおいて、ルールベースの動的コンテンツやオブジェクト間のマージフィールドを事前に設定できるようになり、Webコンテンツの再利用性と拡張性が大きく向上しました。

また、コンテンツエディターの新しいパーソナライゼーション設定により、ロックされたコンポーネントを含め、複数のコンポーネント間でバリエーションを連動させることが可能になっています。

このアップデートにより、ブランドのデータロジックをあらかじめ組み込んだキャンペーン対応ページを迅速に公開 できるだけでなく、パーソナライゼーションルールの誤編集も防止できます。

注意:Spring '25 より前に作成された組織や、パートナー専用のデモ組織(SDO)では利用できない可能性があります。リリース後調査します。


⑬ Web トラッキング用の同意バナーのカスタマイズ

ウェブトラッキングに関する同意(ユーザーの行動データを取得・利用することへの許可)を取得するためのバナーをコンテンツビルダーで独自に作成できるようになりました

これにより、デザインや文言を用途に応じて柔軟にコントロールできます。また、これまで不可能だったボタンのテキストも変更できます。


キャンペーン関連

① キャンペーンフローのデフォルトが変更されました

新規キャンペーンの作成や既存キャンペーンへのフロー作成時に、「Build Your Own」タブから開始する流れに変更されました。

ここから、キャンペーンフローのタイプの選択やフローテンプレートの参照が可能となり、より柔軟に構築を進められます。

また、「Quick Start」タブを利用すれば、これまで通り、事前に設定されたフローをベースにすぐにキャンペーンを開始することもでき、用途に応じた効率的な立ち上げが可能です。


② フローテンプレートでキャンペーン作成をスピーディに

マーケターがより迅速にフローを構築できるよう、キャンペーンからフローテンプレートのライブラリへ直接アクセスできるようになりました

※「Build Your Own」タブから選択可能です。

各テンプレートには、代表的なマーケティングユースケースに対応したフロー要素があらかじめ組み込まれているため、ゼロから設計する手間を省き、スムーズに構築を開始できます。

さらに、新しく作成されたフローは自動的にキャンペーンに関連付けられるため、設定の手間を減らしつつ、一貫したキャンペーン管理を実現します。


③ Slack チャンネルでキャンペーンコラボレーションを強化

Slack チャンネルを活用することで、チームの生産性を高めながら、キャンペーン管理におけるコラボレーションをスムーズに進めることができます。

キャンペーンタブからキャンペーンを追加すると、対応する Slack チャンネルが自動的に作成または既存チャンネルとリンクされ、議論や最新情報を集約するハブとして機能します。

この専用チャンネルにはキャンペーンに関する重要な情報が整理されて表示されるため、関係者全員が状況を把握しやすくなります。さらに、AI によるタスクの自動化によりコミュニケーションの手間を軽減し、より効率的なキャンペーン運用を実現します。


フロー関連

① オーディエンスへの送信はオーディエンスフローに統一

オーディエンスデータを基にしたフローは、シンプルに統一された「オーディエンスフロー」から作成できるようになりました。ユースケースに応じて、従来の「セグメント」の他、「アクショナブルリスト」、「CRM レコードクエリ」、「キャンペーンメンバー」といったデータソースを選択できるようになりました。

マーケターはさまざまなデータソースを活用してオーディエンスベースのフローを作成しますが、これまでの「セグメントトリガーフロー」から、「オーディエンスフローという専用カテゴリに集約されたことで、フローの作成・管理がよりシンプル になります。


② Apex 不要のローコードでパーソナライズを拡張

Apex を記述することなく、Content Builder のコンテンツ変数をフローのマージフィールドにマッピングすることで、メールメッセージのパーソナライズオプションを拡張できるようになりました。

手動で設定した変数やレコードデータプロバイダーなどのカスタムリソースを使用してメールコンテンツを作成すると、フローのメッセージアクション内でそれらの項目が動的な入力フィールドとして表示されます。

このローコードのアプローチにより、マーケターは顧客データを活用したパーソナライズをより柔軟かつ主体的にコントロールできるようになります。


③ ソースデータを活用してフローのパーソナライズを強化

データソースから取得したデータを、リソースマネージャー、またはリソース選択フィールドから、「並び替え」や「フィルタリング」によって絞り込み、「選択レコードリソース」として利用できるようになりました。

このリソースを使うことで、データグラフを含むさまざまなデータソースのネストされた情報にアクセスでき、フローのパーソナライズの幅が大きく広がります。

これにより、マーケターや管理者は、アクティベーションやカスタムコードに依存することなく、データソース内の詳細な(ネストされた)データを直接活用できるようになります。


④ イベントトリガーフローで条件設定と再エントリー制御を強化

イベントトリガーフローにおいて、プライマリ DMO の項目を使用し、トリガー条件をより詳細に設定できるようになりました。トリガー条件を設定するには、開始要素の「Additional Criteria」セクションで「Add Condition」を選択します。

さらに、再エントリー条件を定義することで、同一ユーザーがフローに再度参加できるかどうかを柔軟に制御できるようになりました。
以下のような制御が可能です。

  • Always:イベント発生のたびに再エントリーを許可

  • After completion:フロー完了後のみ再エントリーを許可

  • Never:一度のみ実行(再エントリー不可)


⑤ イベントトリガーフローの活用が拡張されました

イベントトリガーフローにおいて、SMS や WhatsApp といったコンタクトポイントを指定できるようになりました。

また、エンゲージメントシグナル作成時に、従来のエンゲージメント DMO に加えて、プロファイル DMO も選択可能となり、顧客データもシグナル定義や条件に、最大 10 項目まで設定できるようになりました

これにより、例えば、資料請求 PDF のダウンロード時にフローを起動し、顧客の役職(Title)を参照して、特定の役職の人にだけメールをトリガーする といった高度な制御が可能になりました。


⑥ 行動トリガーでエンゲージメントを自動化

主要な顧客行動やイベントに基づいて設計された新しいマーケティングトリガーにより、最適なタイミングで顧客にアプローチできるようになりました。これらのトリガーを簡単に設定することで、カスタマージャーニー上の重要な接点に合わせて、複数チャネルでパーソナライズされたメッセージを自動配信できます。

この機能は Marketing Cloud Engagement における Behavioral Triggers の Marketing Cloud Next 版であると考えられます。

利用可能なトリガーには、

  • カート放棄

  • ② 商品閲覧放棄

  • ③ ページ離脱

  • ④ 価格変更

  • ⑤ 在庫僅少

  • ⑥ 再入荷

などの 注文ライフサイクル が含まれており、顧客の行動に即したタイムリーなコミュニケーションを実現します。

各トリガーの設定方法は、ヘルプドキュメントを参照ください。


⑦ 決定要素と終了ルールでより精緻なロジックを構築

決定要素(Decision Element)終了ルール(Exit Rules)において、データグラフなどから取得した関連属性(Related Attributes)の数値データに対し、以下の集計関数が利用できるようになりました。

  • 平均(Average)

  • 合計(Sum)

  • 最大(Max)

  • 最小(Min)

これまでは、「レコード数が 1 件以上(Count >= 1)」といった条件しか設定できませんでした。

また、日付(Date)データに対する条件も強化され、「今日と同じ記念日(Is Anniversary of Today)」「今日(Is Today)」「直近 ◯ 日間(Last Number of Days)」などの新しい演算子が 20 種追加されています。

  • Is Anniversary of Today

  • Is Not Anniversary of Today

  • Is Today

  • Is Tomorrow

  • Is Yesterday

  • Is This Month

  • Is Next Month

  • Is Last Month

  • This Year

  • Next Year

  • Last Year

  • Is On

  • Is Before

  • Is After

  • Greater Than Last Number of Days

  • Last Number of Days

  • Next Number of Days

  • Last Number of Months

  • Next Number of Months

  • Last Number of Years

注意:日時(Datetime)の項目は、これまで通りの 8 種からの選択となります

従来は、関連属性に含まれる数値データや日付データに対して柔軟な条件設定を行うことが難しかったため、複雑な判定ロジックを実現するには事前のデータ加工やセグメント作成が必要になるケースもありました。

今回の機能強化により、例えば「平均購入額が 100 ドル以上で、かつ直近 14 日間購入がない顧客」や、「最終購入日が今日と同じ記念日に該当する顧客」といった条件をフロー内で直接判定できるようになり、これまで以上に高度で精度の高いオーディエンス制御が可能になります。


⑧ 終了ルールを標準イベントやカスタムイベントで処理する

これまでの終了ルールでは、データグラフや計算済みインサイトのデータを条件として利用することでしか、オーディエンスをフローから退出させることしかできませんでしたが、今回の機能強化により、標準イベントやカスタムイベントを終了条件として利用できるようになりました

例えば、「特定のメールを開封したらフローを終了する」といった標準イベントや、「エンゲージメントシグナルを受信したらフローを終了する」といったカスタムイベントを設定することが可能です。

これにより、顧客の行動やリアルタイムなイベントに応じて、より柔軟かつ適切なタイミングでオーディエンスをフローから退出させられるようになりました。


⑨ アクティブなフローからコンタクトを自動除外

新たに追加された「Exit from a Flow」要素を利用することで、特定の条件や目標を満たしたコンタクトに対して、不要なコミュニケーションの配信を自動的に停止できるようになりました。

これまでは、コンタクトの除外には手動対応や複雑なカスタムロジックが必要でしたが、よりシンプルかつ柔軟に制御できます。さらに、対象フローのすべてのバージョンから除外するか、最新バージョンのみから除外するかを選択することも可能です。


⑩ 複数フローを横断した高度なジャーニー設計を実現

顧客の進行状況を維持したまま、別のフローへシームレスに誘導できるようになりました。新たに追加された「Send to a Flow」要素を使用することで、複数のフローを連携させた、より高度で柔軟なカスタマージャーニーを構築できます。

この要素は、顧客の識別子を遷移先フローへ引き渡し、元のフローと遷移先フローは非同期で並行実行されます。そのため、元のフローを継続しながら、別のフローでも同時に処理を進めることが可能です。これまでは、複数フロー間での連携には複雑なカスタムロジックや API 連携が必要でしたが、よりシンプルに実現できるようになりました。

「Send to a Flow」権限を持つユーザーが利用可能です(この権限はデフォルトで有効化されています)。


⑪ すべてのマーケティング関連フローで要素と機能を統一

マーケティングフローの種類に関わらず、利用できる要素や機能が統一されました。これにより、「待機」や「決定(判断分岐)」といった主要なフロー要素を、すべてのマーケティングフロータイプで一貫して利用できます。

この統一により、フロー間の移行や設計変更がスムーズになり、要素の互換性や機能制限を意識することなく、柔軟にフローを構築・運用できるようになります。


⑫ フローバージョンの編集履歴を確認・復元

フローバージョンの保存履歴を確認し、過去の状態へ簡単に戻せるようになりました。フローを保存するたびに履歴が記録され、保存日時、実行ユーザー、追加・変更・削除された要素の概要を一覧で確認できます。

編集履歴を活用することで、新しいバージョンを作成することなく過去の状態へロールバックでき、監査対応やコンプライアンスの強化、安全な改善サイクルの実現につながります。

  • フローを保存すると、その時点の状態が履歴として記録されます。未保存の変更がある場合は、履歴を開く前に保存してください。

  • 「Flow Edit History」パネルを開くと保存履歴の一覧が表示され、任意の保存時点を選択して内容をプレビューできます。復元する場合は、対象を選択して「Restore」をクリックします。


⑬ フローと連携して、LinkedIn 運用を自動化

特定の LinkedIn のアカウントに対して、即時、またはスケジュールを作成して投稿することができるようになりました。これによりマーケターは Marketing Cloud Next から直接、接続済みの LinkedIn アカウントにコンテンツを投稿できるようになりました。

キャンペーンの一部として LinkedIn 投稿を組み込むことで、施策全体の中で一貫した運用が可能になります。

これにより、投稿ごとのエンゲージメントやキャンペーン全体のパフォーマンスを一元的に把握でき、データに基づいた改善と最適化を進めやすくなります。


⑭ フロー依存関係を一般ユーザーでも確認可能に

Automation アプリにおいて、管理者権限を持たないユーザーでも、自身のマーケティングフローの依存関係を確認できるようになりました。

これまでは「Manage Flow」権限を持つユーザーのみが参照可能でしたが、より多くのユーザーがフロー構成や関連要素を把握できるようになり、運用の可視性と効率が向上します。


オーディエンス関連

① フローテンプレートからリード獲得キャンペーンを作成

これまでは、サインアップフォームを含むリード獲得キャンペーンを作成する際、キャンペーンフローの「クイックスタート」タブから「サインアップフォーム」を選択し、サインアップフォーム → フロー → ランディングページという形で、各ステップごとに個別の設定を行う必要がありました。

今回、フローテンプレートから開始できるようになった ことで、これら一連の設定を一つひとつ構築する手間や複雑さが解消され、よりシンプルかつスムーズにリード獲得キャンペーンを作成できるようになりました。


② 簡単に送信可能なアクション可能リストの作成

「誰に配信したいか」が明確な場合、Data 360 のセグメントを使った複雑な条件設定は不要 です。アクショナブルリストを活用することで、特定のリードや取引先責任者に対して、ピンポイントでキャンペーンを配信できます。

CSV のインポートや手動でのメンバー追加 により、リストは簡単に作成可能です。たとえば、展示会で獲得したサインアップ情報をもとにリードのリストを作成し、そのリストに対してウェルカムメールやプロモーションを送信する、といった活用ができます。


③ CRM レコードを直接検索する新しいオーディエンス送信

CRM レコードクエリフローは、「開始要素上で CRM レコードに対して直接条件を設定し、配信実行直前に CRM レコードから 該当オーディエンスをリアルタイムに取得して送信する、新しいフロータイプです。

この CRM レコードクエリフローでは、従来のセグメントベース配信のように「統合個人(Unified Individual)」を起点として送信するのではなく、CRM 側で保持している最新のレコードをデータソースとして、スケジュール配信を行うことが可能になります。

検索条件は、AND や OR の他、カスタムロジックも利用できる ので、例えば、「(1 AND 2 AND 3) OR 4」のような 複雑な検索条件も設定可能 です。


Agentforce 関連

① 新しい Agentforce Builder でエージェントを再デプロイ

Campaign Creation エージェントJourney Decision エージェント のテンプレートが、Agent Script を用いてエージェントを構築できる「新しい Agentforce Builder」で利用可能になりました。これにより、より柔軟かつ効率的にエージェントの設計・構築を行うことができます。

なお、既存のエージェントは新しい Agent Builder へは自動移行されないため、管理者による再デプロイが必要です。

移行が完了するまでは従来のエージェントも引き続き利用可能ですが、今後の拡張性や運用性を考慮すると、新しい Agentforce Builder への移行が推奨されます。


② Agentforce Journey Decisioning で顧客体験を最適化

Journey Decision エージェントにコンテキスト情報を与えることで、リアルタイムの行動データやプロファイルデータをもとに状況を判断し、最適なキャンペーンフローを動的に選択できるようになりました。

これにより、画一的なシナリオではなく、顧客の状態やタイミングに応じた柔軟なコミュニケーションが可能となり、成果の最大化につながります。


③ Account Discovery Agentで購買グループを特定

Account Discovery Agent は、マーケティングチームと営業チームが購買意欲の高い案件に注力できるよう支援します。既存のアカウントにおける購買グループを特定し、主要なコンタクトのエンゲージメントに関するインサイトを提供するとともに、アカウント全体の状況や傾向を要約します。

チームで Account Discovery Agent を利用するには、Agentforce Builder で新たに提供されているエージェントテンプレートを使用してデプロイします。


Distributed Marketing 関連

① コンプライアンスを維持しながらエンゲージメントを可視化

Distributed Marketing & Alerts の運用時に、メールテンプレートで使用できる 画像やフレーズを事前に承認・管理 できるようになり、ブランドガイドラインやコンプライアンスを保ったまま運用が可能になりました。

また、特定ユーザーの代理送信権限を設定することで、組織全体で統制の取れたコミュニケーションを実現できます。さらに、営業ユーザーはデフォルトのマージフィールド値を事前にプレビューできるほか、新しい「Distributed Sends」ダッシュボードを通じて、1 対 1 メールや一斉配信の成果を一元的に把握できます。


② Distributed Marketing メッセージのインサイトを強化

新たに追加された Distributed Marketing Agent により、営業ユーザーはエンゲージメントデータをもとにインサイトを得ながら、マーケティング部門が承認したメールテンプレートを活用できるようになりました。

さらに、あらかじめ用意されたフローやキャンペーンを活用することで、テンプレートを柔軟にパーソナライズしつつ、効率的にメッセージ配信を行うことができます。


モバイル 関連

① バーチャル名刺でブランド認知を強化

Virtual Contact Cards(バーチャル名刺)を MMS メッセージとしてその場で作成・送信することで、購読者は連絡先情報を簡単にモバイル端末へ保存できます。これにより、顧客との接点をスムーズに確立できます。

一度保存された連絡先カードは、その後のすべてのコミュニケーションでブランド名やロゴが表示されるため、継続的なブランド想起を促し、認知度の向上につながります。

MMS メッセージの送信は、米国とカナダでのみサポートされています。


② パーソナライズされた MMS メッセージで表現力を強化

テキストだけにとどまらず、画像・GIF・動画・パーソナライズされた連絡先カードなどを組み合わせることで、より視覚的で訴求力の高いメッセージを作成できます。これにより、受信者の関心を引きつけ、エンゲージメントの向上が期待できます。

MMS メッセージの送信は、米国とカナダでのみサポートされています。


③ Meta の Click-to-WhatsApp 広告のコンバージョンを可視化

Meta の「Click-to-WhatsApp」広告経由で発生した WhatsApp の会話を自動的に追跡・紐付けし、コンバージョンを正確に把握できます。リファラルデータは Data 360 に連携されるため、広告投資の効果を可視化し、データに基づいたマーケティング最適化が可能になります。


④ WhatsApp 上で支払いオプションを送信(インド向け)

WhatsApp チャット内で支払いオプションを直接送信することで、購入までの導線を短縮し、コンバージョン率の向上を実現できます。支払い方法としては、UPI Intent または支払いリンクを設定可能です。

このメッセージテンプレートは現在、インドでのみ利用可能です。


⑤ リッチコミュニケーションサービスでメッセージングを強化

リッチコミュニケーションサービス(RCS)をマルチチャネルマーケティングに組み込むことで、ブランドの世界観を反映したインタラクティブなモバイル体験を提供できます。RCS の設定および送信者 ID の認証が完了すると、マーケターは Salesforce CMS の RCS メッセージコンテンツタイプを活用し、テキストに加えて画像・動画などのメディア、リッチカード、インタラクティブな提案を組み合わせた、エンゲージメントの高いメッセージを作成できます。

※ RCS メッセージは米国、英国、メキシコ、ブラジル、ドイツ、フランスの顧客に配信可能です。

RCS(Rich Communication Services)とは、従来の SMS を拡張したメッセージング規格で、

  • 画像・動画の送信

  • ボタン付きメッセージ(予約・購入など)

  • カルーセル(横スクロールカード)

  • 既読表示

  • ブランド認証(企業名・ロゴ表示)

といった、LINE や WhatsApp に近い体験を“標準メッセージアプリ”で実現するものです。


⑥ WhatsApp の同意を外部システムで管理

WhatsApp の購読者に対する同意を Marketing Cloud Next ではなく、外部システムで管理できるようになりました。

この方法を利用すると、Marketing Cloud Next 側でコミュニケーションサブスクリプションを設定することなく WhatsApp メッセージを送信できます。

これにより、Marketing Cloud Next へのオンボーディング時に必要な設定を減らせるだけでなく、Flow Builder 内部で行われる同意検証も省略できるため、外部ですでに同意管理の仕組みを持っている企業が、その仕組みを活かしたまま WhatsApp を利用しやすくなります

もちろん、外部で適切に同意を取得・管理していることが前提となります。


⑦ BSUID を使用して WhatsApp ユーザーにメッセージを送信

WhatsApp では、ユーザーがプライバシー保護のために電話番号を非表示にし、ユーザー名を利用する仕組みへの移行が進められています。

Marketing Cloud Next では、この仕組みに対応するため、Meta の Business-Scoped User ID(BSUID) をサポートします。

BSUID を含む連絡先情報をインポートしておくことで、電話番号を利用できない WhatsApp ユーザーに対してもメッセージを送信できます。また、電話番号と BSUID の両方をまたいでメッセージエンゲージメントを追跡できます。

これにより、WhatsApp ユーザーが電話番号を非表示にした場合でも、継続して同じユーザーとのコミュニケーションを維持できます。

2026 年 6 月から、Marketing Cloud Next は BSUID をサポートし、WhatsApp のユーザー名・プライバシー対応後も継続してメッセージを送信できるようになります。


⑧ 電話番号を E.164 形式へ自動変換

SMS や WhatsApp などのモバイルメッセージングでは、電話番号のフォーマットが正しくないことが配信エラーの原因になることがあります。

Summer ’26 では、電話番号を国際的に標準化された E.164 形式へ自動的に変換できるようになりました。

管理者がこの設定を有効にすると、国番号が含まれていない電話番号について、設定されたデフォルトの国番号を使用して E.164 形式へ自動変換します。

例えば、日本をデフォルトの国として設定している場合、国内形式の電話番号を国際的に利用できる形式へ変換して扱えるようになります。

変換後の電話番号は同意レコードに保存されている電話番号との照合にも使用されるため、電話番号のフォーマット違いによる同意確認やメッセージルーティングの問題を減らし、より確実なメッセージ配信につなげることができます


分析関連

① マーケティングフローで送信ログデータを保持

Send Marketing Cloud Engagement Email」要素では、送信ログに対応し、「送信ログデータを保持(Retain send log data)」オプションを利用できるようになりました。

これにより、Marketing Cloud Next のフローからの送信であっても、「Send Marketing Cloud Engagement Email」の送信ログを保持し、レポートやトラブルシューティングに活用できます。


② フロー要素の分析を日付範囲で絞り込み

フロー要素の分析データを、指定した日付範囲でフィルタリングできるようになりました。選択した期間に応じて各要素の指標が更新されるため、直近のパフォーマンス分析や期間比較、キャンペーン期間に合わせた評価が容易になります。

日付フィルターの導入により、要素ごとに詳細画面を開いたり、データをエクスポートする手間を減らし、より効率的に分析を行えます。


③ パス試験の成果指標を可視化

分析ダッシュボード上で、パス試験要素ごとの成果指標を確認できるようになりました。各パスのパフォーマンスを比較しながら、より適切な判断で最適なパス(勝ちパターン)を選択できます。

パスごとの成果を可視化することで、実験の結果を把握しやすくなり、実行中・実行後を問わず、データに基づいた意思決定が可能になります。

利用手順:パス実験要素を含むフロー(実行済みまたはアクティブなフロー)を開きます。「Analytics」タブから分析ダッシュボードを表示し、「Open Details」をクリックします。表示される「Outcome」列で、各パスの成果を確認できます。


④ 商談レコード上でマーケティングエンゲージメントを可視化

商談に関連付けられたコンタクトが、マーケティング施策(メール、フォーム、Webページなど)にどのように反応しているかを、商談レコード上から直接確認 できるようになりました。営業担当者は「Unified Engagement Historyダッシュボードを活用することで、各種エンゲージメントデータを視覚的に把握し、より効果的なアプローチにつなげることができます。


ビジネスユニット関連

① マーケティング運用をスケーラブルに管理

Summer ’26 のアップデートにより、マーケティング管理者はビジネスの拡大に合わせた柔軟な運用が可能になり、各ビジネスユニット間でコンテンツを効率的に共有できるようになりました。

主な強化点は以下のとおりです。

  • 最大 150 のビジネスユニットを作成可能

  • 不要になったビジネスユニットの無効化に対応

  • ビジネスユニットごとに Web カスタムフォントを割り当て可能

  • コンテンツを共通アセットライブラリに公開し、他のビジネスユニットが自分のワークスペースへコピー可能

これにより、ブランドの一貫性を保ちながら、組織全体でのコンテンツ活用と運用効率を大きく向上させることができます。

※ ビジネスユニット機能は Marketing Cloud Advanced Edition のみで利用可能です。


セットアップ関連

① 次世代機能の発見と設定をシンプルに

Salesforce Go の一元化された画面から、Marketing Cloud Next の機能を簡単に発見・設定・構成できるようになりました。まずは「Initial Setup」カードを活用することで、Marketing Cloud Next のインストールやデータストリームの設定といった基盤構築をスムーズに進められます。

さらに、各マーケティングチャネルごとに用意された機能カードでは、ガイド付きのセットアップ手順を確認しながら設定を進めることができ、進捗状況も可視化されます。


② アシスタントホームから Slack と RCS の設定を簡単に

設定 >「アシスタントホーム」から、Slack およびリッチコミュニケーションサービス(RCS)の設定に直接アクセスできるようになりました。

  • Slack をマーケティングキャンペーンと連携し、チーム内のコラボレーションを一元化

  • RCS を設定することで、モバイル中心のユーザーに対してリッチなメッセージングを提供

これにより、主要チャネルの設定と活用をより迅速かつ効率的に進めることができます。


Marketing Cloud Engagement+ 関連

① エンゲージメント側の SMS コードを Next で利用可能に

Marketing Cloud Engagement の米国およびカナダの SMS ショートコードとロングコードが Marketing Cloud Next で使用できるようになりました。

コードを再取得する必要がなくなったため、メッセージング戦略を統合し、Journey Builder と Flow Builder の両方の発信トラフィックと受信トラフィックを単一のコードから管理できます。

設定方法:Marketing Cloud Next の設定から Marketing Cloud Engagement > Connect Data に移動して、以下の管理画面からコードを共有します。


② MCE と MCN の同意の同期設定が可能に

Marketing Cloud Engagement の購読者リストとパブリケーションリストの同意情報を Marketing Cloud Next の「コミュニケーション購読」にマッピングできるようになりました。リストをマッピングすると、購読者が同意を更新するたびにステータスが自動的に同期されます。

この変更により、どちらのアプリからメッセージを送信する場合でも、コンプライアンスを維持できます。


いかがでしたでしょうか。

かなり盛りだくさんだったのでキャッチアップが難しいかもしれませんが、個人的には予想通りの機能ばかりでした。リリースされたら可能な範囲でレビューしてみたいと思います。

今回は以上です。


次の記事はこちら

前回の記事はこちら

私の note のトップページはこちら