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【第507回】 Marketing Cloud Next : コンテンツ変数によるパーソナライズ

Marketing Cloud Next Growth & Advanced Editions の Summer '26 新機能リリース では、「コンテンツ変数という新しいデータソース に基づいた差し込み項目をメッセージに追加できるようになりました。

「コンテンツ変数」と聞くとマーケターの方は、少し戸惑うかもしれませんが、私の理解では、Marketing Cloud Engagement における、その都度定義して利用する「パーソナライズ文字列」のようなもの と考えると、イメージしやすいと思います。

もちろん、Marketing Cloud Next にはデータグラフによるパーソナライズも存在しますが、コンテンツ変数を利用することで、よりリアルタイムに値を取得・利用できる点が特徴 です。

そして、以前の記事では、『ケースがクローズ ⇒ 取引先責任者へパーソナライズメールを即時送信する』シナリオを試した際に、「Apex-Defined変数 を作成し、コンテンツ側で Apex Class Data Provider を利用して値を受け取る構成 を採用していました。

しかし、この方法は 開発者主体のアプローチ となっており、マーケターにとっては扱いづらい部分がありました。

Summer '26 の新機能リリースで追加された「コンテンツ変数」により、この一連の処理を Apex なしで実装可能となり、ローコードでパーソナライズを実現 できるようになりました。

これにより、マーケター自身が顧客データを活用しながら、より柔軟かつ主体的にメッセージをコントロールできる ようになります。

今回は、前回の記事とまったく同じ「ケース完了通知メールのシナリオ を利用して、この新機能を試してみます。


設定手順

コンテンツの設定

1. 前回の記事では、まずフロー側から準備を開始しましたが、今回の機能では、最初にコンテンツ側を設定します。

今回も、以下のメールテンプレートを利用します。

件名:
【完了】お問い合わせ対応が完了しました({{CaseNumber}})

本文:
{{LastName}} {{FirstName}} 様

平素よりお世話になっております。
このたびお問い合わせいただきました内容につきまして、
対応が完了いたしましたのでご連絡申し上げます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ ケース番号:{{CaseNumber}}
■ 件名   :{{CaseSubject}}
■ 完了日時 :{{ClosedDate}}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本件につきましてご不明点や追加のご質問等がございましたら、
本メールへご返信いただくか、サポート窓口までお気軽にご連絡ください。

今後ともより良いサポートをご提供できるよう努めて参りますので、
引き続きよろしくお願いいたします。

2. パラグラフコンポーネントへの入力が完了したら、「データソース」タブを開きます。

3. 「コンテンツ変数の追加」セクションから、「追加」ボタンをクリックします。

4. 今回利用する「コンテンツ変数」は以下の 5 つです。画面上からそれぞれ作成します。

  • ケース番号:CaseNumber(テキスト型)

  • ケースの件名:CaseSubject(テキスト型)

  • 完了日時:ClosedDate(テキスト型)

  • 苗字:LastName(テキスト型)

  • 名前:FirstName(テキスト型)

※ 完了日時は、日付型ではなくテキスト型を利用することで、表示形式を自由に制御できます。

5. コンテンツ変数を設定すると、メールメッセージ上で差し込み項目として利用可能になります。

6. 差し込み後は、以下のようになります。

なお、今回のようなケースでは、差し込み項目から挿入しなくても、「$content.」を直接記述することで利用可能です。

7. メッセージが完成したら、保存して公開します。


フローの設定

1. 「Build Your Own」タブから、「イベントトリガーフロー」を開きます。

2. Flow Builder を開きます。

3. 開始要素をクリックして、イベントライブラリから「Prospect, Lead, Contact or Related Record Change」 を選択します。

4. 今回も「ケース(Case)」オブジェクトを選択し、その下では「Contact ID」を指定します。

5. そして、ケースが「完了(Closed)」になったタイミングでフローが起動するよう、エントリー条件を設定します。

Tips:トリガーされたレコード自体の項目は、変数として自動生成 され、後続のアクション内でそのまま参照可能になります。「{!$Input.***}」で表示されます。※ このフロータイプでは、関連オブジェクトの項目は利用できません。

6. 続いて、このフローでは取引先責任者の情報へ直接アクセスできないため、「レコードの取得(Get Records)」要素を配置し、ケースに紐づく Contact ID から取引先責任者情報を取得 します。

7. 次に、Marketing Cloud メールのアクションを設定します。
表示名を決定し、先ほど作成したメールメッセージを選択します。

8. 「コンテンツ変数」を設定したメールを選択すると、下部に「コンテンツ変数」の入力エリアが表示されます。

ここで、それぞれの変数へリソースを割り当てます。

各リソースの説明

  • ① CaseNumber ・・・ Case オブジェクトから「Case Number」を利用

  • ② CaseSubject ・・・ Case オブジェクトから「Subject」を利用

  • ③ ClosedDate ・・・ 数式リソース
    ※ 
    日本語表示(yyyy年MM月dd日 HH:mm)

    • API 名:fxCompletedDateTimeJp(任意)

    • データタイプ:テキスト

TEXT(YEAR(DATEVALUE({!$Input.LastModifiedDate} + (9/24)))) & "年" &
RIGHT("0" & TEXT(MONTH(DATEVALUE({!$Input.LastModifiedDate} + (9/24)))), 2) & "月" &
RIGHT("0" & TEXT(DAY(DATEVALUE({!$Input.LastModifiedDate} + (9/24)))), 2) & "日 " &
RIGHT("0" & TEXT(HOUR(TIMEVALUE({!$Input.LastModifiedDate} + (9/24)))), 2) & ":" &
RIGHT("0" & TEXT(MINUTE(TIMEVALUE({!$Input.LastModifiedDate} + (9/24)))), 2)
  • ④ FirstName ・・・ 上で「レコードの取得」した「First Name」利用

  • ⑤ LastName ・・・ 上で「レコードの取得」した「Last Name」利用

9. 「コンテンツ変数」の割り当てが完了したら、「送信元アドレス」を選択し、必要に応じて「コミュニケーション購読」を設定します。

10. 最後にフローを保存し、有効化してください。


ケースを完了してメールを送信する

1. フローを有効化できたら、ケースのステータスを「Closed」に変更します。すると下記の通り、フローがトリガーされます。

2. 実際にメールも送信され、パーソナライズされた内容になっていることを確認できました。成功です。


いかがでしたでしょうか。

個人的な感想としては、実装工数そのものは Apex を利用する場合と大きく変わらない印象 です。ただし、Apex に抵抗感のあるマーケターにとっては、コード開発なしでパーソナライズメールを構築できる点は非常に大きなメリットだと感じています。

また、この仕組みはさまざまなフロータイプで利用可能ですが、フローごとに利用できるリソースの種類や挙動に癖があります。そのため、実際にテストを行いながら、利用可能なリソースや送信条件を確認していくことをおすすめします。

さらに、このような通知メールに対して「会話型メール」を組み合わせることで、返信による追加質問や問い合わせにも自動対応できるようになります。会話型メールについては、以下の記事で詳しく解説しています。

今回は以上です。


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