【第311回】 Data Cloud : エンゲージメントベースのセグメントと有効化対象
これまで Data Cloud のセグメントにおける 「セグメント対象(Segment On)」 は、プロファイルカテゴリのデータモデルオブジェクト(DMO)に限定されていました。しかし 2025 年 6 月のアップデートにより、エンゲージメントカテゴリの DMO もセグメント対象として利用できるようになりました。
これにより、エンゲージメントカテゴリの DMO を元にセグメントを作成し、そのまま Marketing Cloud Engagement へアクティベートすることが可能 になります。従来は、関連属性のデータを Marketing Cloud Engagement 側へ渡すことが難しく、運用面で課題となっていましたが、今回の変更によって 大幅な業務効率化が期待できます。
ただし注意点として、プロファイルと同様に、メールアドレスや電話番号といったコンタクトポイントが紐づくレコードのみが対象 となります。つまり、エンゲージメントデータを “何でもかんでも” 丸ごとアクティベートできるわけではなく、実際に配信に活用できるエンゲージメントレコードだけが送信(有効化)対象になる という設計です。
それでは、具体的なユースケースを通して、この新機能の活用イメージを見ていきましょう。
ユースケース
プロファイルデータとして以下のものを用意します。9 名分のデータです。

エンゲージメントデータとしては購入データとして以下を用意します。
プロファイルデータのうち、3 名が購入している状況です。

これで Data Cloud でエンゲージメントベースのセグメントを作成して、各購入商品ごとに購入日の翌日に、名前入りで何らかのメッセージを送りたいと考えています。以下のようなセグメントを遅れればゴールになります。

Journey Builder のイメージは下記のような形です。

Data Cloud への取り込みとマッピング
プロファイルデータは、取り込み後、Id、名前、苗字 を Individual にマッピングしまして、Email は Contact Point Email オブジェクト側にマッピングしました。最もシンプルです。

購入データは、取り込み後、今回のために作成したカスタムデータモデルオブジェクト(Purchase Data Test)にマッピングしました。

購入データは Individual オブジェクトとのリレーション設定を済ませました。Id と Individual Id をキーとして、多:1 で紐づけています。

セグメント設定
続いて、セグメント対象では、先ほど作成したエンゲージメントデータである「Purchase Data Test」を選択します。

今回はあまり余計なデータが入っていないので、条件なしで完了します。

有効化の設定
Marketing Cloud Engagement への有効化を開始します。

有効化メンバーシップはエンゲージメントデータのままにします。

続いて、連絡先(メールアドレスや電話)のパスを選択します。これは様々なパスが表示されてしまうので、慎重に今回のメールアドレスが取れるパスを選択する必要があります。
上で前提として述べた通り、メールアドレスが取得できた場合だけ、連携ができる形になります。メールアドレスが NULL の状態で連携はできません。

続いて、属性を選択します。現在、属性データとして Purchase Id と メールアドレスが連携されています。もし、このままアクティブ化しても Subscriberkey(=Individual Id)は自動で連携されますので安心ください。

以下の形が、今回の目標ですので、属性として追加します。
Product
PurchaseDate
FirstName
LastName


Subscriber Key 以外の項目が決まったら、次へをクリックします。

アクティベーション名を決めて、上書き更新で保存します。

有効化が設定できたら、セグメントに戻って、セグメントを公開します。Marketig Cloud Engagement への連携はセグメント「公開」のタイミングごとに行われます。

データエクステンションの確認
15 分~ 30 分程度で Marketing Cloud Engagement にデータが連携されます。確認しますと以下の通りです。先ほどのエクセルが再現できました。

ジャーニーを起動しても、結果通り分岐されて、6 通のメールが送信されました。成功です。

いかがでしたでしょうか。
ちなみに、Data Cloud の Bring Your Own Lake(BYOL)データ共有では、
複合キー(複数項目で構成されるプライマリキー)を持つデータレイクオブジェクトを作成することが可能です。
ただし、複数のプライマリキーを持つデータエクステンションをセグメント対象にした場合、正しい結果が返らず、保存のたびに異なる値が返ってしまうという既知の事象があります。
そして、このまま無理に公開しようとするとエラーが発生します。
そのため、このようなケースでは、
複合キーを CONCAT などの数式で 1 つの値に結合し、単一項目のプライマリキーとして再定義することを推奨します。
具体的な作成方法については、Salesforce のヘルプページで案内されている手順に従って設定してください。
さて、これまでは Marketing Cloud Engagement へは プロファイルベース でしかレコードを送信できず、データ活用の幅に制限がありました。
しかし今後は、エンゲージメントベース でレコードを送信することが可能となり、Marketing Cloud Engagement と Data Cloud を積極的に連携しているユーザーにとって、大きな利点となるはずです。
このアップデートは、データ活用の可能性を大きく広げる ゲームチェンジャー となります。ぜひ活用してみてください。
今回は以上です。
