【第373回】 Salesforce 認定 Marketing Cloud Engagement Foundations 資格試験 合格体験記
2025 年 7 月の Salesforce 資格試験システム変更により、日本のアカウントでも「英語のみ提供されている資格試験」を受験できるようになりました。
その流れで挑戦したのが Marketing Cloud Engagement Foundations と呼ばれる試験でしたが、無事合格しました。

名前に「Foundations(基礎)」と付いていますが、決して侮れません。試験問題はとても良く設計されていて、考えさせる問題もあります。単なるマーケティングの一般知識だけで解けるものではなく、日常的に Marketing Cloud Engagement を活用していなければ合格は難しい です。
一般的なマーケティング知識だけで対応できるのはせいぜい 3 〜 4 問程度という印象で、それ以外は Marketing Cloud Engagement 特有の知識を問うものになっています。試験名からも推測できるように、Marketing Cloud Next や Marketing Cloud Account Engagement に関する出題は一切ありません。
「マーケティング一般の知識だけで解ける問題」の例を挙げると——
例えば、『送信履歴にはメールが残っているのに受信者には届いていない。作成時にもビルドエラーは出ていないが、これはどういう状況なのか?』といった内容や、『ダブルオプトインキャンペーンにはどのような狙いがあるのか?』といった内容です。これらは、一般的なメールマーケティングの知識があれば十分に答えられる内容ですね。
では、それ以外の内容はどのような機能に関連するかというと——
アカウントと送信管理
ビジネスユニット:組織内の部門やブランドごとに分けてマーケティング活動を管理する単位です。データやユーザー権限を分離できるほか、共有フォルダを通じてコンテンツを他のビジネスユニットと共有できます。
送信プロファイル:送信元(From アドレスや送信者名)など、メール配信時の送信者情報を定義する設定です。
配信プロファイル:メール送信に利用する IP アドレスなど、送信インフラを定義する設定です。
送信定義:繰り返し利用できる「送信設定テンプレート」です。CAN-SPAM の分類(コマーシャル/トランザクション)、送信プロファイル、配信プロファイルなどをまとめて管理します。
送信リレーションシップ:データエクステンションと Subscriber Key を関連付ける設定です。通常は顧客 ID などを Subscriber Key と紐づけます。
プライマリーキー:データエクステンションでレコードを一意に識別するキーです。重複防止やデータ更新に活用されます。複数のプライマリーキーを設けることも可能です。
サブスクライバーキー:Email Studio で購読者を一意に識別するキーです。通常は顧客 ID などを利用し、注文 ID などを使うことはほとんどありません。プライマリーキーと混同しないよう注意してください。
コンタクトキー:サブスクライバーキーが「メール専用の一意キー」であるのに対し、コンタクトキーは SMS やアプリなども含めたマルチチャネル全体での識別に用いられます。
データ管理
フィルター済みデータエクステンション:既存のデータエクステンションを条件で絞り込み、自動生成される派生データエクステンションです。SQL を使わずに作成できるのが特徴です。
ランダムデータエクステンション:元データからランダムに抽出したサンプルを格納するデータエクステンションです。例えば、1 つのデータエクステンションを 3 つに均等分割することができます。
送信ログとデータリテンション:送信履歴や開封・クリックデータを保持する仕組みです。データ保持期間(データリテンション)を設定し、不必要に長くデータを残さないことが推奨されます。
メール作成とコンテンツ
プレビューとテスト:実際の受信者データを差し込んでメールを事前確認できます。最大 5 件のメールアドレス宛てに直接送信するか、5 名以上のテストでは専用のデータエクステンションを利用できます。
コンテンツブロックメール:ドラッグ&ドロップのビジュアルエディタで作成する方式です。一貫性のあるデザインを簡単に実現できます。
HTML 貼り付けメール:HTML コードを直接編集して作成する方式です。独自デザインや細かい制御が可能です。
カルーセルブロック:複数のヒーロー画像をスライド表示できるコンテンツブロックです。
配信制御・オプトイン管理
パブリケーションリスト:購読者が受け取りたいメールの種類を選択・管理できるリストです。オプトイン/オプトアウト管理に利用されます。
購読ステータス:購読者が「購読中」「配信停止中」など、どの状態かを示す属性です。Active(アクティブ)、Bounce(バウンス)、Held(配信停止)、Unsubscribed(購読取り消し)の 4 種類があります。
CAN-SPAM:米国のメールマーケティング規制法。オプトアウトにログインを要求してはならない、送信者の会社住所を明記する義務がある、などの規定があります。
GDPR:EU 一般データ保護規則。個人データの取得・利用・保存・削除に関する厳格なルールを定め、「忘れられる権利」などを含みます。
テストと最適化
Email Studio - A/B テスト:件名、送信者名、コンテンツなどを比較し、効果の高いパターンを検証できます。
Journey Builder - Path Optimizer:複数のパスをテストし、自動的に効果の高いルートを選択する機能です。A/B テスト相当の機能はこの Path Optimizer です。
エンゲージメント分岐:開封やクリックなどの顧客行動に基づいてジャーニーを分岐させます。
判断分岐:特定の属性や条件に基づき、顧客を異なる経路へ進ませるアクティビティです。
ジャーニー管理
ジャーニーの停止/一時停止:進行中のジャーニーを完全停止する、または一時的に停止し後で再開できる機能です。
ジャーニーダッシュボード:エントリー数、進行状況、目標達成率などを可視化する管理画面です。
レポートと分析
Intelligence Reports:ダッシュボード形式で高度な分析が可能です。ピボットテーブルを使ってカスタムレポートも作成できます。
Email Studio Tracking:送信済みメールの送信数・開封数・クリック数・バウンス数などを確認できます。
標準レポート:事前に用意された定型レポートです。基本的な分析に活用できますが、カスタマイズはできません。
ランディングページとフォーム
CloudPages - Smart Capture:Marketing Cloud Engagement 専用のランディングページ(= CloudPages)に Web フォームを作成し、入力データを直接データエクステンションへ保存できます。
このような内容ですので、まずはこれらの言葉の意味をすべて暗記しておくことが大切です。そして、さらに時間に余裕がある方は、以下の Trailmix にも取り組んでみてください。そこまでできればより良いです。
いかがでしたでしょうか。
この試験に取り組むうえでは、単なる知識として理解しているだけではなく、コンサルトのように「あるユースケースにおいて、どの機能を選択するか」といった実務的な判断力も求められます。その視点を意識して学習を進めておくとよいでしょう。
また、現時点では「英語のみ」での受験となります。そのため、英語で出題される問題文を正しく読み取り、内容を理解できるよう準備しておく必要があります。
試験は全 40 問で、65 %以上の正答率で合格です。選択肢はすべて 3 択形式で、複数回答はありません。その点では比較的取り組みやすい試験といえるでしょう。ぜひ、挑戦される方は心構えをもって臨んでください。
今回は以上です。
