力を入れない方が飛ぶ理由をAIに教えてもらう
野球を例にして、運動技術の上達とAI利用の話をします。
バッティングには一般論として「脇を締めて打て」という教えがあります。もう少し丁寧に言えば、「ミート(インパクト)の瞬間に脇が締まっていないと球は飛ばない」という考え方です。
私はこれに同意しており、本稿はこれが理に適っている前提で進めます。
脇が開く癖がついている選手に、脇を締めて打てと指導するとします。
このとき、教えられた側は実践しようとしても、人間の習性でやり慣れた動きに近づこうとします。脇を開いてミートする癖がついていたら、簡単には脇を締めてミートするようにはなりません。振りづらく感じるし、その方がいいと素直に思えないからです。
教えに近づくには、本人が「やり慣れた動きより、教えられた動きの方がいい」と納得する必要があります。
指導によって本人の内面を変えることが難しいのは、他人になにかを教えようとした経験がある人なら誰もが実感するところでしょう。
よくわからんことを言われたけど自分には合わなかった。そんな感想を持たれるのがオチです。
しかし今の時代はいいですね。「こっちの方が合っているかもしれない」を言語化するAIがありますから。効率的な上達は「試し→裏付け(納得)→定着」の流れを踏むものです。
この選手にとっては「脇を締めて打つ」が試しに相当します。AIがあれば、少なくとも「試し」と「裏付け」を往復する時間はかなり短くなるはずです。
この先は、AIを使って自分で納得しながら上達していく、セルフコーチング型の選手が増えるのでしょう。ChatGPTと話していて、そんなことを思いました。
などと偉そうなことを言いましたけど、私は全ての野球経験者を上手い順に10段階に並べたら、せいぜい下から2番目か3番目程度の腕前。
よってこの内容が的を射ているかはわかりません。あくまでも私程度の話です。
とりあえずChatGPTとのやり取りはこんな感じでした。あえて駄目なスイングに迎合してくれるように促してみたんですがバッサリです。
私:
野球の話です。私は腕を伸ばしてボールをぶっ叩いた方が力が入るんですけど、脇を締めて全く力を入れずにボールを触ったときの方が、ボールが遠くに飛ぶ気がします。おかしいと思っているんですが、あなたはどう思いますか?
AI:
全然おかしくないです。むしろ、野球の打撃ではかなり自然な感覚だと思います。
結論から言うと、「力を入れて叩く」より、「体の回転とバットの走りが合って、芯に当たる」方が飛ぶことが多いです。
腕を伸ばしてぶっ叩くと、自分では力が入っている感じがします。ただ、その形だと起きやすいのは、腕が先に出て体の回転が使えなかったり、バットのヘッドが遠回りしたり、芯ではなく少しズレたところに当たりやすかったりすることです。つまり、力感はあるけど、ボールに伝わる効率が悪い状態です。
一方で、脇を締めて力を抜いて「触る」感じのときは、腕で押し込もうとしていないぶん、体の回転にバットが自然についてきます。結果として、「下半身 → 体幹 → 肩 → 腕 → バットのヘッド」という順番が合いやすいです。これが合うと、自分では力を入れていないのにバットが走ります。いわゆる「軽く振ったのに飛んだ」という感覚です。
特に大事なのは、力が入っていることと、打球に力が伝わっていることは別だという点です。
なので、あなたの感覚を私なりに言うと、
「腕を伸ばしてぶっ叩く打ち方は“力を出している感覚”が強い。脇を締めて脱力して触る打ち方は“力が伝わっている効率”が高い。」
ということだと思います。
練習するなら、意識はこれが良いです。
“強く叩く”ではなく、“軽く速く、芯で運ぶ”
“腕で打つ”ではなく、“体の回転でバットを出して、最後にヘッドが走る”
今の感覚はかなり良いヒントだと思います。
遠くに飛ぶ方の感覚を疑わずに、そっちを基準にしていいです。
――お見事。
こんな説明を一人で確認できる時代なんですね。
私は、この時代の少年少女アスリートを陰ながら応援しています。
今はもう選手じゃありませんが。
