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選択のパラドックス〜狐行燈の日常から〜

📝狐行燈とは、狐由来の人間"のほ"とクサガメの小僧"亀乃進"が暮らす庵のことである。


「ちょいと、亀乃進」

「ぁん?」

「ぁん? じゃないよ!
ほらそこ! 丸く掃いてるんじゃないよ!」

「…丸く? 掃く、とは??」

「部屋の真ん中しか掃いてないじゃないか、端の隅っこまでしっかり掃くんだよ!
でないと、隅っこに埃が溜まっちまうだろが。
……ほら、こういうふうに掃くの!」

「…だったら、最初から丸い部屋にしときゃ良くね?」

「‼️  確かに🙄
ふーん、いい案っちゃーいい案じゃないか。
ってねぇ、ご先祖さまから譲り受けてる庵なんだ、そう簡単に建て直せないんだよ!

それに、このテーブルの上!
あんたのために、わざわざ棚にラベリングもしたのに、なんであちこち散らばってるんだい?
使った物は元のところに戻すんだよっ!」

「しまうの面倒じゃね? どうせすぐ使うんだし? あんま、カッカしすぎると血管切れやしない?」

「はぁ?💢
まったく、亀のくせに生意気だよ!
そんなんじゃー、クサガメ由来の人間に…なんて、いつまで経っても推薦できやしないからね!」

「なんだよ、弱みにつけ込んで脅しかよ。
だけどさぁー、この頃思うんだよねぇ、人間になった方がいいのか、このまま亀の方がいいんじゃないか、とか…って」

「へー、そうなのかい? 人間は自由じゃないか」

「ほんとにそうなのかなぁ…
人間になって死ぬ時に、亀のままのが良かったかな、とか思うかも、とか、亀のままだったらやっぱり死ぬ時に人間になっときゃ良かったかな、とか思うかも…とかって、どっちにしても思うのかもしれないなぁ〜ってさー」

「あ〜、わかるわかる!
あたしゃゴスロリが好きなんだけどさ、まぁ、流行った時にゃすでにトウがたってたし、この通りキツネ顔だから、似合やしない。着たこたぁないし、どこで売ってるんだかも知りやしない」

「なんのはなしだよ?」

「例えば、だ! 
あたしが南の島の裸族みたいなとこに生まれてたら、ゴスロリなんぞ知らないわけだ、死ぬ時に"あ〜着てみたかったな〜"なんてぇ後悔は存在しないわけだ!

今だって、本気で着たいと思やー実現もするだろが、そうしねぇのは、まぁそうする気がないんだろね、しかしながら一抹の忸怩たる思いは持ちつつ、あの世に行くんだろうと思うわけだな。
知ってしまったがゆえ、可能性があるゆえ…だわなぁ〜🤔つまりはそういうことだろ?」

「………ずいぶんと、どうでもいい"忸怩たる思い"だな」

「ふん、ずいぶんとっ! ばかにしてくれるじゃないか」

「"選択のパラドックス"ってやつだよなー」

「なんだい今度は…せんたく?
洗濯パラダイス?? 確かにいい天気だねぇ☀️ 掃除のあとは洗濯するかねぇ〜」

「……ちげぇよ、いっつも物知りぶってるのに、知らねぇのかよ! 選ぶ方のせ・ん・た・く!
選択肢が多い方が嬉しいでしょ? だけど、多けりゃ多いほど、選ばなかった方が何気に気になっちゃって、あっちが良かったかも、こっちが良かったかも、って100パーひゃっほーい💃ってなれねぇ部分を引き摺っちまう…みたいな話さ」

「へえぇー、亀のくせに、小難しいこと知ってるじゃあないか🤷‍♀️  マウントのつもりかい?」

「さっきからさー、亀のくせに、亀のくせにって、それ偏見じゃないか!」

「だって亀じゃないか😆
まぁいいさ、あんたはどうするか、ゆっくり考えりゃいいよ、自分のことなんだ、即断即決する必要もないさ〜」

「けど、あんまり居候してんのも…」

「ぁん? とか言ってる口で、なに遠慮してんだい。
あんたの餌代、あんたの一族の長老がたんまりはずんでくれるってたからね」

「え? 俺を見込んで弟子にしてくれたんじゃないのかよ?」

「どこの亀の骨とも分からんやつなんぞ、見込むもへったくれもないだろ?
餌代💰目当てに決まっとろーが😆
さぁ、とっとと掃除終わらせるよ! 丸くじゃなくて、四角く、掃いとくれよ! これには選択肢はないんだよっ!」


山根あきらさんのお題に参加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。



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