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肝煎り屋 狐行燈

「…とっくに閉店してるよ!」
「おもての札、"商い中"になってたが…」

「なんだい、まーた亀乃進のやつ、さぼりやがって。
札、ひっくり返してからさぼりやがれ!」
「亀乃進? 誰だよ?」

「…誰かと思ったら、BAR noteのマスターじゃないか。
亀乃進は、こないだから弟子入りしてるクサガメの息子だよ。」
「のほちゃん、うちに来る時とのキャラギャップが激しいよ?」



「そうかい? そりゃあんたんとこみたいな小洒落たBAR行く時は、多少背伸びもするだろが」
「多少…ね (笑) 
繁忙期に、手伝ってくれてる人達はどうしたの?」

「あぁ、彼らはニホンオオカミ由来だからね。
今年は来られない。」
「なんで?」

「あちこちで熊が出てるじゃないか。
唯一奴らと対峙できる気概があるんじゃないのかね?
スカウトされまくってるようだからね」
「ニホンオオカミって明治の時代に絶滅してるよね? 由来人としたって、気概が継続してるか不明だろうに」

「藁にもすがる、ってやつじゃないのかい?
そもそも日本にゃ熊の天敵なんぞ、おらん。奴らの天下になっちゃ、困るのは人間だけではないわの〜」
「まもなく冬眠だろう」

「それがさ"生活習慣変えようキャンペーン"で、決起集会してるって話さ」
「なんだそれ?」

「冬の間…冬眠してる間に世の中変わって、起き出した時にゃ、毎度微妙な時代遅れ感が拭えずで、悔しがってたらしいのさ。
人里来りゃ〜冬でも食いもんあるんだし、
寝る必要、ないんじゃね? ってことらしい。
まぁ多少リスクはあるだろうが、チャレンジしてみる価値はある、ってのが、大方の意見のようだよ」
「詳しいじゃないか、
熊ネットの傍受に成功したのか?」

「うわさだよ、うわさ。昔ながらの田舎のクチコミネットさ。
それより、なんか用かい?」
「そろそろ"新"銀杏の"狐の肝煎り"分けて貰えるかなーって」


「まだちょっと早いよ」
「そっか、残念。
ね、のほちゃんは、海亀由来って見たことある?」

「ないよ。レアじゃないか、そもそも」
「それがさ、うちに来てくれたんだよ」

「へえぇ、幸運を呼ぶ海亀由来って言うからねぇ〜、
みてくれはどんなだい? 福々しい恵比寿様みたいなもんかい?」
「あんなにずんぐりはしてないな。
背はそんなに高くないけど、刈り込んだ髪から見える首が浅黒くてずいぶんと太い、男だったね。」

「へぇー、仙人由来のマスターさえもが、興味津々…ってことかい?
……それとも、あんた、そういう趣味があったのかい?」
「想像に任せるけどさ、そこは…

『柔道とかやってるんですか?』って聞いてみたの、そしたら『いや、太ってるだけなんです』って言うから、そんなつもりじゃなかったから『太ってなんて💧首が逞しくてらっしゃるので、もしかしたら、って思ってしまって。ごめんなさい』って、あわてちゃったわ。

『あー、柔道ではなくて、高校までサッカーはやってました』
って、ちゃんと不愉快じゃなかったよオーラで話合わせてくれたの。
海亀なのに、サッカーですって🤭
キーパーやってたらしいけど、首の太さと関係あると思う??
そう言った時のちょっと照れた感じの目が、
海亀らしくて優しげなのよぉ〜💓」

「………マスターこそ、言葉使いとキャラ変わってるよ? 
妙に拘ってるけど、首フェチなのかい?🤣

銀杏なんて食べたことないんじゃないかなぁ〜? 食べさせてあげたいなぁ〜?
で、うちへ来た……で、合ってる?」
「あらぁ〜🤭💕」

「そのうち亀乃進に持って行ってもらうよ」
「え…亀乃進って、由来人じゃなくて、ほんまもんのカメだろ? しかもさぼりぐせ付きの…待てど暮らせど…待ちぼうけになるんじゃ🙄」

「大丈夫、横断歩道はちゃんと渡れる👌
亀界じゃエースだ👍」



📝見出し画像は、優谷美和様の作品です。ありがとうございます😊



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