視点が変わると物語が変わる、不思議な事件簿_ぎんなみ商店街の事件簿【Sister編とBrother編】/井上真偽
今回は「視点が変わると物語が変わる、不思議な事件簿」の紹介です。
同じ舞台で同じ事件が起こりますが、探偵役が違うと事件の見え方が違ってくる、そんな作品です。
「これからあなたが目にするのはある事件のひとつの側面にしかすぎません」
これから本を読む方も既に読んだ方も記事を読んでいただけると幸いです。
以下、「作者」「概要」「物語のあらすじ」「感想」が続き、ネタバレはありません。
『ぎんなみ商店街の事件簿/井上真偽』
【Sister編】
【Brother編】
作者
井上真偽さん
生年月日:不明
出生地:神奈川県
最終学歴:東京大学工学部卒業
主な受賞歴:2014年 第51回メフィスト賞 『恋と禁忌の述語論理』
私が2025年読んだ作品で一番面白かった作品、『アリアドネの声』の作者さんです。
こちらの作品も本当に面白いので是非とも読んでみてください!
概要
単行本発売日:2023年9月
文庫本発売日:2025年11月
出版社:小学館
物語のあらすじ
前代未聞の“パラレル・ミステリー”
古き良き商店街で起きた不穏な事件に〈Sister編〉では三姉妹が、〈Brother編〉では四兄弟が探偵役に挑みます。
手がかりは同じでも、導き出される真相はまったく別で……事件に隠された、もうひとつの真実を知るには両面読みするしかありません。
【Sister編】
ぎんなみ商店街に店を構える「串真佐」の娘、佐々美、都久音、桃。
ある日、近所の商店に車が突っ込む事故が起きた。
運転手は、食べていた焼き鳥の串が喉に刺さり即死。詮索好きの友人を止めるため、都久音は捜査に乗り出す。
まずは現場で目撃された謎の人物を捜すことに。
(第一話「だから都久音は嘘をつかない」)
交通事故の謎を解いた三姉妹に依頼が。
中学校で起きた器物損壊事件の犯人を捜してほしいという。
現場には墨汁がぶちまけられ、焼き鳥の串が「井」の字に置かれていた。
これは犯人を示すメッセージなのか、それとも?
(第二話「だから都久音は押し付けない」)
「ミステリーグルメツアーに行く」と出掛けた佐々美が行方不明に!?
すわ誘拐、と慌てる都久音は偶然作りかけの脅迫状を見つけてしまう。
台風のなか、姉を追う二人に、商店街のドンこと神山が迫る!
(第三話「だから都久音は心配しない」)
【Brother編】
ぎんなみ商店街近くに住む元太・福太・学太・良太の兄弟。
母親は早くに亡くなり父親は海外赴任中だ。
ある日、馴染みの商店に車が突っ込む事故が発生。
運転手は、食べていた焼き鳥の串が喉に刺さり即死した。
唯一の目撃者は末っ子の良太。
だが、弟が何かを隠していると直感した福太と学太は調査に乗り出すことに
(第一話「桜幽霊とシェパーズ・パイ」)。
中学校で手作りの楽器が壊される事件が起きた。
現場にはぶちまけられた墨汁と、「井」の形に置かれた焼き鳥の串が。
学太の所属する書道部に疑いがかかり……
(第二話「宝石泥棒と幸福の王子」)。
長男で料理人の元太は商店街主催の「ミステリーグルメツアー」に随行している。
学太が偶然脅迫状の断片を見つけたことから、元太が誘拐事件にかかわっている可能性が浮上。
台風のなか兄を追う福太たちに、ある人物が迫る!
(第三話「親子喧嘩と注文の多い料理店」)
感想
『ぎんなみ商店街の事件簿』は、同じ事件を異なる視点から描く構成が非常に印象的なミステリー作品です。
「Sister編」と「Brother編」は舞台や出来事を共有しながらも、登場人物の立場や考え方の違いによって、物語の見え方が大きく変わっていきます。
そのため、読み進めるほどに「視点が変わること」の面白さを強く実感させられます。
商店街という身近な舞台設定も親しみやすく、日常の延長線上に潜む違和感や謎が丁寧に描かれている点が魅力的です。
そして最大の魅力は、「Sister編」と「Brother編」の登場人物が所々で交わっていく点かと思います。
ミステリーとしての読み応えはもちろん、登場人物同士の関係性や感情の揺れも印象に残り、読み終えた後には、自然ともう一方の物語にも手を伸ばしたくなること間違いないでしょう。
構成の妙を楽しみたい方に、ぜひ勧めたい作品です。

私なりのオススメの読み方は、1作ずつの交互読みで、「Sister編」→「Brother編」と読み進める方法です。
①「Sister編」第一話「だから都久音は嘘をつかない」
➁「Brother編」第一話「桜幽霊とシェパーズ・パイ」
③「Sister編」第二話「だから都久音は押し付けない」
④「Brother編」第二話「宝石泥棒と幸福の王子」
⑤「Sister編」第三話「だから都久音は心配しない」
⑥「Brother編」第三話「親子喧嘩と注文の多い料理店」
各作品の解説には解説者のオススメの読み方が書いてあります。
が、少しネタバレもあるのでその点はご注意ください。
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