生き残るとは何か。読後に問いが残る社会派ミステリー小説_スワン/呉勝浩
今回は「生き残るとは何か。読後に問いが残る社会派ミステリー小説」の紹介です。
2025年に映画公開された『爆弾』を書いた作者の文学賞2冠を果たした作品です。
これから本を読む方も既に読んだ方も記事を読んでいただけると幸いです。
以下、「作者」「概要」「物語のあらすじ」「感想」が続き、ネタバレはありません。
『スワン/呉勝浩』
作者
呉勝浩さん
生年月日:1981年9月14日
出生地:青森県八戸市
最終学歴:大阪芸術大学芸術学部映像学科 卒業
主な受賞歴:
2015年:第61回江戸川乱歩賞『道徳の時間』
2018年:第20回大藪春彦賞『白い衝動』
2020年:第41回吉川英治文学新人賞『スワン』
2020年:第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)『スワン』
概要
単行本発売日:2019年10月31日
文庫本発売日:2022年7月21日
出版社:角川文庫
主な受賞歴:
2020年:第41回吉川英治文学新人賞
2020年:第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)
物語のあらすじ
銃撃テロを生き延びた五人。
彼らは何を隠しているのか、何を恐れているのか
ショッピングモール「スワン」で無差別銃撃事件が発生した。
死傷者40名に迫る大惨事を生き延びた高校生のいずみは、同じ事件の被害者で同級生の小梢から、保身のために人質を見捨てたことを暴露される。
被害者から一転して非難の的になったいずみのもとに、ある日一通の招待状が届いた。
5人の事件関係者が集められた「お茶会」の目的は、残された謎の解明だというが……。
文学賞2冠を果たした、慟哭必至のミステリ。
感想
物語は、大型ショッピングモール「スワン」で発生した無差別銃撃事件から始まります。
日常が突然破壊される衝撃的な導入で、読者は一気に物語へ引き込まれます。
本作の特徴は、事件そのものよりも「事件後に残された人々の心」に深く焦点が当てられているところです。
生き残った人々が抱える罪悪感や、社会の中で向けられる視線がどれほど重く、痛烈なものなのかが丁寧に描かれています。
特に、被害者として守られたはずの人物が、逆に“責められる側”に立たされてしまうという構図が印象的です。
生存の意味や人間の脆さについて強く考えさせられ、読み進めるほど胸が締めつけられるような感覚があります。
心理描写は非常にリアルで、重いテーマながらも物語としての推進力が強く、一気に読ませる力を持っています。
暴力描写にやや刺激の強い部分もありますが、それを上回る問いと深さを備えた作品だと感じました。
読後には「もし自分が同じ立場だったらどうしただろう」という思いが自然と湧き上がり、しばらく作品世界が頭から離れませんでした。
長く心に残る社会派ミステリーだと思います。
まだ読んでない方に是非とも手に取って欲しい作品です。
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