見出し画像

【駐在員の本音】英語を話すと性格が変わる? ─ 二つの自分に揺れる夜

第34話

朝、ガラスに映る影

出社前のオフィスビルの窓に、まだ眠そうな自分の影が映る。
「今日も英語で答え続ける一日が始まる」
そうつぶやいた瞬間、胸の奥で何かがきしむ。


昼、会議室の声

英語で発言すると、声は半音高くなる。
“Yes, that’s right.”
即答を求められ、余白を許されない。
テーブルの向こうにいるのは相手だけでなく、もうひとりの自分だ。
結論を急ぐ私は、鏡の中で知らない顔をしている。


夕方、日本語の温度

会議が終わり、同僚の日本人と話す。
「なるほどね」
その一言のあとに訪れる沈黙が、心をゆるめてくれる。
肩の力が抜け、呼吸が深くなる。
窓ガラスに映る影は、ふたたびひとつに戻る。


夜、問いかける自分

英語の私、日本語の私。
どちらも確かに私なのに、どちらかが偽物のように思える夜がある。
デスクの明かりに照らされたガラスには、二つの影が並んで揺れている。
「どちらが本当の私なんだろう」
問いは声にならず、静かに部屋に溶けていった。


深夜、レンズの比喩

そんな違和感を抱えたまま過ごす私に、友人が言った。
「二人の自分がいるんじゃなくて、二枚のレンズで同じ自分を見ているだけだよ」
その言葉が心に落ちたとき、二つの影は重なり合い、光の向こうにひとりの私が立っていた。


結び、揺れながらひとつに

駐在生活は、言葉と一緒に自分を揺らす。
でも揺れながらこそ、自分の輪郭は少しずつ鮮やかになっていく。

英語の声も、日本語の声も。
どちらもずっと、私自身の声だった。


✈️ 駐在員の本音シリーズを読んでいただきありがとうございます。

このシリーズでは――
・駐在準備のリアル(手続き/お金/暮らし)
・アメリカ生活で直面する文化の違い
・「給料1.5倍でも心は満たされない」そんな駐在員の本音
を発信しています。

👉 フォローすると、毎週2本以上の“駐在のリアル”をまとめて読めます。
 ▼関連記事はこちら


💬 共感や疑問はコメントでどうぞ
🔁 役立ったらシェアで広めてもらえると嬉しいです
👤 フォローすると次回以降も見逃しません!


いいなと思ったら応援しよう!

駐在員の本音|戦略企画・海外人事の視点でつづる海外のリアル 読んでくださりありがとうございます。スキ/フォローだけでも励みになっています。無理のない範囲で応援いただけたら嬉しいです。