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【駐在員の本音】アジェンダなきオンライン会議に戸惑った日

第32話

配られた資料もなく、議論だけが走り出していた

初めて参加したアメリカ本社とのオンライン会議。
画面に並ぶ十数人の顔、背景はバラバラ。開始の合図と同時に、誰かが意見を言い出し、それに別の人が返す。
テンポは速い。けれど、どこに向かっているのかは誰にも分からなかった。

日本で慣れていた「資料とアジェンダをもとに、結論を確認する会議」とはまるで違う。
ただひたすら英語のやりとりを追いかけながら、「これは一体どんな会議なんだろう」と頭の中で繰り返していた。


“議題はどこにあるのか?”

オンライン会議は便利だが、議題が曖昧だと一気に混乱する。
気づけば話題は横道にそれ、誰かが自分の思いだけをコメントする。
そして、不思議なことにそのまま会議が進んでしまう。

さらに厄介なのは、全員が同じ理解で会話していないことだ。
会議が終わったあと、ローカルメンバーに確認すると「実はよくわからなかった」と打ち明けられることが何度もあった。
画面越しだからこそ、“理解していない顔”が見えない。これは日本との大きな違いだった。


日本とアメリカ、会議の文化の違い

  • 日本:事前に資料やアジェンダを共有 → 会議は“確認の場”

  • アメリカ:アジェンダが曖昧なままスタート → 会議は“考える場”

日本の会議は「土台を固めてから本番」。
アメリカの会議は「走りながら土台をつくる」。
オンラインになると、その違いがさらに鮮明になった。


私が実践した2つの工夫

混乱を減らし、会議を“前に進める”ために、私は次の2つを取り入れた。

  1. 事前に議題を明確にする
     会議招待やSlackに、最低限のアジェンダを数行でも添える。
     これだけで脱線しても戻れる“軸”になる。

  2. 最後に理解を確認する
     会議の終わりに「私の理解はこうだが合っているか?」と発言する。
     画面共有で要点を1枚にまとめて見せると、全員の認識が揃いやすくなる。


心に残ったこと

オンラインの画面越しで、言葉だけが飛び交う。
誰が理解していて、誰が置いていかれているのか分からない。
あの不安と戸惑いは、今でも鮮明に覚えている。

けれど、その違和感こそが、私にとっての学びになった。
「沈黙するより、確認すること」
「勢いに流されるより、準備で軸をつくること」

小さな工夫を積み重ねることで、ようやく会議に“居場所”を見つけられるようになった。
文化の違いに揺れながら、それでも前に進もうとする――それが駐在員としての、正直な本音だった。


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