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北京ドタバタ旅行(25)

聞いてみるとこう言うことでした。
「マイレージサービスの申込書をもらってほしい」
というのです。

 私はその時までマイレージサービスの詳しいことを知りませんでしたが、この会員になると、同じ会社の飛行機に乗った航続距離に応じて、いろいろなサービスが受けられるそうで、加入はそれぞれ航空会社毎なのだそうす。この乗り合わせた中国国際航空専用の申込用紙があるので
「語学の天才であられるあなた様にお願いしたい」
ということでした。

 私が語学の天才かどうかは、同じ中国語講座に通う同僚に聞いてもらえればよーーく分かるのですが、何分長い間中国のスチュワーデスと話が出来る人は語学が出来ると決めてかかってる女性に、わざわざ正体を見せることもないので
「ではなんとか頼んでみます」
などと、さも中国語で交渉するようなそぶりで承諾したのでした。

 運がいいことに彼女の席と私の席はかなり離れていますし、機内というのは結構うるさいので、私が「THIS IS A PEN」
と言っていようが聞こえませんし、英語というのは日本人にも中国人にも外国語ですので、ネイティブなアメリカ人やイギリス人なら目を回すような表現でも、結構通じ合ったりするものですから、何とかなるだろうとたかをくくっていました。それにはるか向こうからは熱いまなざしで私を見つめる中年婦人の視線もあります。

 私は先ほど英語で話した綺麗なスチュワーデスを
「你好」
と呼び止めて、英語で
「マイレージって分かりますか?」
と聞きました。

 そのマイレージの発音が悪かったのか、彼女は困惑しています。そこでマイレージの説明をしようと
「同じ航空会社の飛行機に、2、3回乗ったら・・・」
と言いかけたとたん、恐ろしく勘のいいこの美人のスチュワーデスは、私のいわんとすることを理解し、保管してある棚から申込書を私に持ってきてくれたのです。


 私は尊敬のまなざしで見つめるご婦人に甲子園で優勝した高校野球のキャプテンのような晴れがましい心境で、優勝旗をいやマイレージの申込書を手渡したのでした。

北京ドタバタ旅行(26)
 

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