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スペイン王国始まりの地、カンガス・デ・オニス

カンガス・デ・オニス(Cangas de Onís)。
スペインに何度も訪れてきた私だが、今回の旅で初めて聞いた地名だった。
今回の駆け足スペイン旅のテーマは、アストゥリアス州。

黄色がアストゥリアス州。
青は行ったことある州

その中でも「コバドンガ」という場所にある美しい湖と山に囲まれた場所が、私の最終目的地である。
コバドンガという不思議な地名を調べると、そこがスペイン王国にとってかなり大きな意味を持つ場所であることが分かった。これまでスペインのグラナダやコルドバなどのアンダルシア州を旅して、その町並みの中でイスラム教とキリスト教の混ざり合った建築や美術や文化に触れた。スペインにおけるレコンキスタの歴史を肌で感じ強く惹かれてしまい、それ以後の私のスペインの旅の視点と言うか、単純にいうとスペインでの楽しみが、自分の中で広がった気がしている。
私が行こうとしている湖と山がある美しい場所コバドンガと、その近くの町「カンガス・デ・オニス」がレコンキスタの始まりの場所だということが分かり、ぜひともその場所に行きたいと思い、コバドンガに行く前に、カンガス・デ・オニスに立ち寄ることにした。

リャネスから乗った電車の車窓から見た朝日。

余談だが(いつものごとく長めの余談となります)、
私自身、これまでよくいろんな人の旅行記などをのぞいてきたが、カンガス・デ・オニスやコバドンガについての旅行記は見たことがない(見たかもしれないけど知らない地名だからスルーしたり、記憶に残っていないだけの可能性もあるけど)。
今回、カンガス・デ・オニスとコバドンガについて綴るには、どうしても前置きとして書いておいた方がいいかなと思うスペインの歴史を、ここに少し書いておこうと思う。
ちなみに、私は世界史が苦手で、これまであまりそういう情報は読まずに飛ばしがちだったから、同じような人がこのnoteを読むことを想定して、なるべく簡潔に書こうと思う。私なりの単純な解釈で、「大体こんな感じの流れっぽいです~」くらい。私がカンガス・デ・オニスやコバドンガの聖地に行く前に、最低限この辺を下調べして頭に入れていたから、現地に行った際に、ちょっと歴史を感じられたし感慨深かったな、知ってて良かったな~程度の情報です。
正確なことや詳しいことを知りたい方は、ご自身でお調べください。
(これで予習しましたが、めっちゃ簡単な本でした↓)

誰も乗ってこない駅



カンガス・デ・オニス(Cangas de Onís)は、こんな場所

赤いピンの場所がカンガス・デ・オニス
(相変わらず綺麗な線が入ってる私のGoogleマップ)

・位置的には、スペイン北部アストゥリアス州にある町。海沿いにあるリャネスから内陸部に電車とバスで移動し、スペインの中でも標高の高い山が連なるカンタブリア山脈があり、山岳地帯の端っこにあるコバドンガという場所に行くための中継地点。コバドンガに行くためには、カンガス・デ・オニスから往復のバスを予約して行く以外に、個人で行く方法は見つからなかった(登山や自転車などのぞく)から、セットで行く人がほとんどかも知れない。

・歴史的な面では、西暦 722年の「コバドンガの戦い」でペラーヨがイスラム勢力に勝利し、アストゥリアス王国の首都としてカンガス・デ・オニスを選んだそれがレコンキスタの始まり。
レコンキスタ?コバドンガの戦い?ペラーヨ?何それ?って人のために以下に簡単に説明。

こちらも車窓から。
アストゥリアス州はグリーン・スペインとも言うらしい。
横長の写真はRICOHのGR


レコンキスタの歴史

レコンキスタ(Reconquista)とは、スペイン語で「再征服」を意味し、キリスト教勢力がイスラム勢力からイベリア半島を奪還するために行った長期的な戦いと運動のこと。
もっと簡単に書くと、
①711年にイベリア半島にイスラム教勢力が攻めてきて、今のスペインの真ん中から南の端までイスラム教が征服。
②718年にペラーヨという人がスペイン北部にアストゥリアス王国(キリスト教)を作る。722年にイスラム勢力が攻め込んできたときに、コバドンガでペラーヨ率いるキリスト教勢力が初勝利。カンガス・デ・オニスを首都とした。ここから800年に渡るキリスト教の反撃が開始。イスラム勢力からキリスト教勢力がイベリア半島を奪い返していく。
③1492年にとうとうグラナダ陥落で、ナスル朝(イスラム)が滅亡。
今のスペインの場所をイスラムに奪われて、キリストがまた奪い返す反撃の始まりの地がコバドンガであり、カンガス・デ・オニスということ。
(キリスト教側から書けば取り返したってことだけど、イスラム教から見たら、異教徒の迫害ともいえる。また、レコンキスタが完了した1492年、スペイン王国は大航海時代の幕開けでコロンブスの航海が始まるけど、歴史は複雑で長いので省略。)

アストゥリアスは涼しい。
涼しい場所は過ごしやすいけど、洗濯物が乾きにくいという面もある。

ペラーヨとは

こちらは、後日コバドンガで撮った
ペラーヨ像

ペラーヨ(Pelayo)は、上に書いた通り、てアストゥリアス王国を建国した人で、スペインの歴史では「レコンキスタの始祖」と呼ばれる人。アストゥリアス王国は、後にレオン王国、カスティーリャ王国へと発展し、スペイン王国の母体となる。山岳地帯のコバドンガで歴史的な勝利をおさめたペラーヨは、「神の加護によって勝利した」とされ、信仰と民族の象徴的存在となって神話化されたっぽい。彼が隠れていたコバドンガの洞窟は「サンタ・クエバ(聖なる洞窟)」と呼ばれ、現在も巡礼地となっている。コバドンガの紹介はまた後日。

効率重視女なので、バスを待つ時間も無駄にせず、生乾きの洋服類をコインランドリーで乾かす。乾燥だけだと3€


ローマ橋と勝利の十字架

それでは、カンガス・デ・オニスの町歩きを開始。
バスターミナルのそばを流れるグエニャ川を渡り町に入る。ここは、こじんまりしたいい感じの町のようで、町の真ん中に店が集まっているような雰囲気。アストゥリアスの郷土料理ファバダとリャネスで食べ損ねたカチョポがメニューにあるのを確認し、後で食べようと決め町を散策。

mahouの車
Church of Our Lady of the Assumption of St. Mary
町の中心にある教会。ペラーヨの像があった。
Dolmen and Church of the True Cross of Cangas de Onís
アストゥリアスで最初に建てられたロマネスク様式のキリスト教寺院。支石墓の上に建てられている。ペラーヨの息子の墓がある。

カンガス・デ・オニスの1番の観光名所のローマ橋(Puente Romano)に向かう。
ローマ時代に起源を持つが、現在の橋は14世紀頃に再建されたものらしい。5つのアーチがあり、真ん中には「勝利の十字架(Cruz de la Victoria)」のレプリカが吊るされている。この勝利の十字架はオビエド大聖堂に保管されていて、今回の旅の後半に立ち寄った。オビエドについてはまた後日紹介するとして、本物の勝利の十字架はもっとゴージャスな十字架ではあったが、レプリカでも、ローマ橋をよりかっこよく魅せている。この十字架からスペインの反撃が始まり、後にスペイン王国になるのだから、やはりスペインはここから始まったとも言える。

縦長はiPhone写真
GRではズームにできないので、
iPhoneで勝利の十字架にズーム。
Αとω
変な形のクッキー
カンガスデオニスの紋章にローマ橋がある。

勝利の十字架が吊るされたローマ橋は、シンプルにルックス的に美しいので、そりゃ名所になるわな、とクッキーを食べながら橋を眺めて思う。
勝利の十字架はアストゥリアス州の旗にも描かれており、十字架にはギリシャ語のΑ(アルファ)とω(オメガ)の文字がついている。A(アルファ)はギリシャ語アルファベットの最初の文字で、「始まり」を象徴し、Ω(オメガ)は最後の文字で、「終わり」を象徴している。
調べたところによるとこの二文字は、キリスト教的な文脈において「神は始まりであり終わりである(Yo soy el Alfa y la Omega)」という聖書の言葉に由来していて、勝利の十字架は神の永遠性と全能性を示すと同時に、信仰の力によって勝利を得たという歴史的・宗教的なメッセージを込めているらしい。
なるほど。
そう思って見ると尚更味わい深い。
スペイン始まりの地は、始まりであり終わりなのか。
大変歴史的な意義のある散策だったので、意義のあるアストゥリアスの料理を食べて締めくくりたい。

アストゥリアス州のおすすめグルメ

まずはファバダ

Fabada Asturiana

見た目は、フランスのトゥールーズで食べた名物のカスレによく似ている。フランスのカスレは白インゲン豆だったが、ファバダはファバ豆という白い豆らしい。正直、豆の違いは分からないが、味付けは似ているようで違う。フランスのカスレは豚肉、鴨のコンフィ、ソーセージを「カソール」という鍋でじっくり煮込んだおふくろの味系。ファバダは、豆が占める割合が多い中、塩漬けの豚とモルシージャ(血入りソーセージ)が入ってて、スモーキーでワイルドな味わい。パプリカも入ってる。カスレの方がメイン料理としての立ち位置だったけど、ファバダは1品目のスープとして美味しくペロリと食べた。

こちらがアストゥリアスのファバダ
こちらがトゥールーズのカスレ

次はいよいよカチョポ(Cachopo)!

赤いパプリカとフライドポテト添え

カチョポとは簡単に言うと、生ハムチーズ入りビーフカツ。似たような感じの豚肉バージョンのロールカツ、フラメンキンというやつを、スペイン南部で食べたことがある。だが、カチョポはビーフである。もうその時点で優勝である。
薄く叩いた牛肉2枚の間に、ハモン・セラーノ(生ハム)とチーズを挟み、衣をつけて揚げている。サイズはめちゃくちゃ大きくてお皿くらい。外はカリッとしていて、中からはとろけるチーズと生ハムの塩気が広がる。とんかつソースはいらない味付け。外はカリッと中からトロッとしたものは、全世界共通で人類を惹きつける構成だと思う。やっとカチョポを食べられて大満足。あともう1回くらい、アストゥリアスのどこかで食べようと思う。

カリ&とろ

アストゥリアス王国のかつての首都、カンガス・デ・オニス。目でも舌でも、いい感じにアストゥリアスワールドへ誘われた。さて、ここからいよいよ、山岳地帯の聖地コバドンガへ上がっていく。
続きはまた後日。

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