“特許取得”と書かれていたけど…中身が違った話
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「“特許取得”と書かれていたけど…中身が違った話」をお伝えします。

1.エンジンチューンの記事を見て
先日、自動車のエンジンチューンに関するネット記事を見ていまして、「特許取得」と書かれていました。
どんな特許だろうと思って、確認してみたのですが、私が探した限りでは「特許」の事実は確認できませんでした。
出願自体は見つかったのですが、「出願審査請求」がされておらず、みなし取り下げとなっていました。
どこで齟齬が生じたのかはわかりませんが、実はこういったことは散見されます。
以前に投稿した「特許出願していればと思うもの」の記事でも、「ネット記事では「いちご大福」で実用新案権取得とか書かれているが、実際は拒絶査定になっている」ということを書いています。
2.なぜ間違った情報が出るのか
では、なぜ間違った情報が出回るのでしょうか。
それは、出願人、記者、執筆者のいずれかが特許の制度にあまり詳しくなく、勘違いが生じているからなんですね。
以下、複数のパターンに分けて説明します。
3.出願だけが事実のとき
特許というのは、出願→出願審査請求→審査→登録査定(又は拒絶査定)→設定登録という流れになります。
あまり詳しくない人だと、出願=特許と思ってしまうことがあります。
しかし、実際は出願から3年以内の出願審査請求をせずに、みなし取り下げになることがあります。
また、審査で拒絶査定となることもあります。
ですので、出願の経過をきちんと確認することが重要です。
4.特許として登録されているけれど
次に、特許としては登録されているのだが、少しずれている場合の話をします。
特許の権利範囲は、「特許請求の範囲」に記載されている「請求項」の記載内容で決まります。
この「請求項」の記載内容が、ネット記事とずれていることがあるのです。
例えばですが、ネット記事ではエンジンの「強度アップ」について「特許取得」と書かれているのに、実際の特許の内容はエンジンの「摩耗低減」だったという場合です。
5.自分たちにできること
同業者であればネット記事を見て、「これは特許取得だから真似してはいけないのだ」と思いがちです。
しかし、上述したように実際は特許とは関係ないことがけっこうあるのです。
製造現場の掟ではないですが、「自分の目で見て確認しろ!」ですね。
6.警告を受けても先ずは確認
これは、他人から特許権侵害といわれたときにも当てはまります。
先ほど、請求項の話をしましたが、一般的には「請求項1」の内容を全て実施すると、特許の実施となります。
これを知らずに、例えば請求項3の文言だけを抜き取って、侵害だと言う人もいます。
具体的に説明します。
請求項1~3が次の構成になっているとします。
請求項1 A+B
請求項2 A+B+C
請求項3 A+B+C+D
ここでは、請求項1のA+Bを実施すると侵害となります。
しかし、全然知らない特許権者が、他人がDのみを実施しているだけで侵害だと言うことがあるのです。
酷いときには、登録料未納で特許権が抹消されているのに侵害と言う人もいます。
7.まとめ
いかがでしょうか。
他人の言うことは当てにならないということが、わかっていただけたでしょうか。
余談になりますが、私も若い頃に製造業の仕事で前番のいうことを鵜呑みにして、エライ目にあったことがあります。
もう一度書きます、「自分の目で見て確認しろ!」です。
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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