『ふりかえりカンファレンス2026』ワークショップ運営の学びとワークの解説
前がき
年に一度開催される「ふりかえりの祭典」に2年連続で参加&登壇させていただきました。去年は20Talkとして一人で話をするだけでしたが、今回はワークショップの企画を採択いただきました。
※昨年の参加記事はこちら。
今回開催したワークショップは、個人的に以前から使えるかどうかを検証してみたいと考えていたワークを2つ組み合わせたものをやりました。
チームの形成期に有効ではないか?でも、いきなり業務で使うのはハードル高いし、今のチーム状況や自分の役割的に「これやろう!」と言い出すのは・・・。といった背景もあり外部イベントで試験的に実施させていただきました。
上手くいくかわからず、「もし失敗して参加者に満足してもらえなかったらどうしよう。イベント自体の参加者体験を自分のせいで下げてしまったらどうしよう。」そんな葛藤とYoutubeのワンピース考察動画のせいで前日はなかなか寝付けず、Badコンディションで当日を迎えました。
ワークショップの概要・進め方
ワークショップの概要や進め方については、下記のプロポーザの文章や、実際に当日使用した公開資料をご確認ください。
プロポーザル
コミュニティ仲間や職場の同僚と共に過ごす中で、意外な一面やバックボーンを垣間見ることってありますよね?自然な流れで相手から開示してくれるなら良いですが、知らないうちに地雷を踏んだことをきっかけに知ってしまった・・・。なんて経験はないでしょうか?最初のパーソナルエリアも距離感のつめ方は人それぞれだからこそ、早く相手の価値観やバックボーンを知ることが大切です。
一方で、大人になればなるほど、なぜか相手の価値観やバックボーンを知ることに踏み込めなくなりませんか?特にも、昨今はハラスメントに過度に怯えて踏み込めない人が多いのではないかと感じています。今回のワークでは、そういった相手の価値観やバックボーンに合法的に踏み込むための機会創出として、転ばぬ先の杖として2つのワークが有効かどうかを実験します。
※1グループ5人程度でのワークを想定しているため、参加する会場全体や大人数に対して自己開示を強いられることはありません。
当日使用した資料
サークルテストの解説
時間の概念を、自分の中でどのように捉え、それらがどう関連し合っているかを視覚化することができる心理テスト手法(ツール)です。
私がこの手法(心理テスト)をはじめて知ったのは、大学生の頃でした。当時の私は「造形教育と哲学」のゼミに所属していました。手を動かしてものづくり(粘土〜映像まで)をすることもあれば、哲学や教育学の書籍を読んで、ディスカッションをする。そんな良い意味でイカれたことをしていました。そんなゼミで、教授が「これやってみようよ!」と言ってきたのがサークルテストでした。
やり方は簡単で、「過去・現在・未来」のそれぞれをイメージしながら円を描くだけ。
「こんなのやって正直、何が楽しいんだ?粘土捏ねさせろ!木を掘らせろ!」と、心の中で思っていたような気がします。
しかし、描き終わった円を友人たちと見比べると、個性がそのまま円に表れており、私は一瞬にしてサークルテストに引き込まれました。
ワークショップを運営した際にも、皆さんに同様の感覚を少しでも味わって欲しいと思い、あえて雑な説明で「じゃ、やってみましょう!」と促しました。案の定、戸惑いの表情を見せる方や最初は筆が動かない方もいましたが、最後には全員がそれぞれの円を描き、その円についてグループごとに会話をしていました。
下記では、ワークショップ中には時間の都合もありお話できなかった解説を記載します。
1. 円の大きさから見る時間的優位性
巨大な円は、その時間枠に強い関心や比重があることを示しています。
極小の円は、その時間を軽視しているか、無意識に避けたい(抑圧したい)と感じている可能性があります。
2. 4つの基本タイプ
円が重なっているかどうか、あるいは一方が他方を飲み込んでいるかによって、あなたの「時間のつながり方」が見えてきます。サークルテストには、大きく4つの型とよくある2つのパターンがありますので、簡単に解説します。
① 原始型
3つの円がバラバラで、どこも重なっていない状態です。過去・現在・未来がそれぞれ独立しており、連続性を感じにくい状態を指します。「今、ここ」に集中しているとも言えますが、過去の経験を未来に活かしたり、未来の見通しを立てたりすることに心理的な距離があるかもしれません。

② 包含型
大きな円の中に、小さな円がすっぽりと入っている状態です。特定の時間枠が他の時間を支配していることを示します。例えば「未来」の中に「現在」が入っていれば、将来の目標のために今を捧げている、あるいは未来の不安が今の行動を制限しているといった解釈ができます。

③ 交わり型
円同士が重なり合い、鎖のようにつながっている状態です。最も一般的で、時間の連続性を調和的に捉えられている状態です。過去があるから今があり、今の積み重ねが未来を作るという一貫性を感じられています。

④ 複合型
円が重なったり離れたり、あるいは複雑に絡み合っている状態です。特定の時間同士はつながっているが、ある時間だけは独立しているなど、個別の心理状況を反映します。

3. 2つ代表的なパターン
特定の円だけが極端に離れていたり、サイズが違ったりする2つの代表的なパターンがありますので、それぞれ説明します。
① 未来のみ違うパターン
過去と現在は重なっているが、未来だけが離れていたり、もしくは、極端に未来が小さい場合などが該当します。
現状の維持や過去の延長線上に満足しているか、「将来の展望がまだ描けていない」状態かもしれません。また、大きな変化を控えていて、未来が予測不可能なものとして切り離されている時にも現れます。
② 過去のみ違うパターン
現在と未来は密接だが、過去だけが離れている場合や、過去が極端に小さい場合などが回答します。
「過去との決別」や「再出発」を象徴することが多いです。過去の出来事をあえて切り離し、前向きに未来を見据えようとしているエネルギーの表れでもあります。
モチベーショングラフの解説
同様に、実施したワークのモチベーショングラフについても簡単に仮説します。このワークでは、過去の出来事とその時の心の動きを可視化することで、自分のモチベーションの源や折れない心の作り方をメタ認知できるとともに、グループで行うことで、相互にも理解できるという一石二鳥なワークにもなっています。
人それぞれ違うグラフが出来上がるのが醍醐味ではありますが、サークルテスト同様にいくつかの型に分類するころができるので、解説を後述します。
① 山あり谷あり型(ジェットコースター型)
起伏が激しく、高い時と低い時の差が明確なパターンです。感受性が豊かで、環境の変化や出来事の影響を強く受けるタイプです。充実感を得やすい反面、落ち込んだ時のダメージも大きいため、「どうやって谷から這い上がったか(回復のきっかけ)」に強みが隠されています。

② 右肩上がり型(成長・希望型)
過去から現在にかけて、徐々にグラフが上昇しているパターンです。努力が成果に結びついている実りある状態、あるいは「今が一番楽しい」という前向きな心理状態です。過去の苦労を「必要な経験だった」と肯定できている時に多く見られます。

③ V字回復型(再生型)
大きな挫折や困難(深い谷)を経験した後、急激に上昇しているパターンです。人生における「ターニングポイント」が明確です。どん底の経験が価値観を大きく変え、現在のエネルギーの源になっていることが多いです。「何が回復のスイッチを押したのか」が、今後の困難を乗り越えるヒントになります。

④ 一定・安定型(フラット型)
大きな波がなく、比較的穏やかな線を描くパターンです。感情のコントロールが上手で、安定したメンタルを持っているタイプです。一方で、自分の本心や感情の揺れを抑え込んでいる可能性もあります。「小さな変化」の中に、自分の興味の芽が隠れていないか細かく分析するのがコツです。

⑤ 右肩下がり型(停滞・模索型)
過去の栄光や成功体験が大きく、現在はエネルギーが低下しているパターンです。過去の自分と比較して「今は本来の自分ではない」と感じている可能性があります。「新しい価値観への脱皮期間」でもあります。何が原因で下がったのかを直視することで、次の一歩が見えてきます。

やってみて・・・
自己開示と形成期のチームの関係性構築を主目的とした検証でしたが、実際にやってみた方々からの感想で「チームを主語にして定期的にやるのも良さそう」といったご意見もいただけ、自分の想定していなかった新たな気づきも得られました。
また、ワークの内容とは別に今回は25名の参加でしたが、ワークを回すための場の設計やファシリテーション、コーチングに自分なりの新たな課題も見つけることができました。
もう一回くらい試してみたいな〜・・・。ということで、早速7月に開催されるスクラムフェス仙台にもエントリーしたので、もし採択されて、ご都合よければ遊びに来てください〜。

