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【エッセイ】99年、命の勝利者。母が教えてくれた「最後の授業」

年末の、世の中が新しい年を迎える準備で慌ただしい中、母は静かに、本当に静かに息を引き取ったよ。

最後に見せたその顔は、長年の人生の重荷をすべて下ろしたような、穏やかで、そして何よりも「生き切った」という、安らかな勝利者の顔だった。

私はね、深い悲しみと同時に、母のその見事な最期に、息子として誇らしい気持ちでいっぱいなんだよ。

「還るべき大地」だった人

母の99年の人生は、決して穏やかな春の日差しばかりじゃなかった。 戦後の混乱の中、病を抱えた父を支えながら、5人の子供を育てる日々。朝から晩まで内職の編み機を回し続けるその背中を、私は今でも鮮明に覚えているよ。

「子供たちにだけは、ひもじい思いをさせたくない」

その一心で、母は自分の苦労を涙も見せずに飲み込んで、私たちを守り抜いてくれた。そんな母の姿は、私にとって、どんな時でも安心して戻ることができる「還るべき大地」そのものだったんだ。

私が故郷を離れて50年。どんなに忙しくても毎年必ず帰省していたのは、その大地に触れて、生きる力を分けてもらうためだったんだね。

最後まで貫いた「生きる姿勢」

この最後の1ヶ月、母は私たち家族に、壮絶な、けれど美しい「命のドラマ」を見せてくれたよ。

お医者様から「年を越せないかもしれない」と告げられた翌日、なんと母は、何事もなかったかのようにデイサービスに行く準備を始めたというんだ。最後の瞬間まで「自分の足で立って生きる」という姿勢を崩さなかった。この生命力には、ただただ頭が下がる思いだよ。

「死んだらどんな世界が見えるのか楽しみだ」

生前、そう語っていた母。死を恐れず、一日一日を懸命に生き抜いた人だけが到達できる、境地だったのかもしれないね。

愛のバトンは続いていく

母さん。99年間、本当にお疲れ様でした。 あなたが私たちに注いでくれた海よりも深い愛は、私たち5人の子供、そして孫たちへと、確実に受け継がれているからね。

向こうの世界では、懐かしい父さんや、みんなと再会できただろうか。これからは、すべての重荷を下ろして、ゆっくりと休んでおくれ。

みんな、最後まで読んでくれてありがとう。 命というのは有限だけれど、そこから生まれた愛や思い出は、永遠に続いていくバトンなんだね。

君たちも、もし今、大切な人がそばにいるなら、その手の温もりを、その笑顔を、当たり前だと思わずに大切にしてほしい。

さあ、私も、母が教えてくれた強さと優しさを胸に、また明日から一歩ずつ歩いていくとしよう。


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磐 田井(ばん たい) 貴重なサポートをありがとうございます。これからも「現場のリアル」と「役立つ知恵」を誠実にお届けできるよう、活動に邁進します。