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星のアイスクリーム|#3つのお題に空想のひらめきを


郵便受けに手紙が入っていた。
封筒は夜空そのものを切り抜いたように美しい。
角度を変えるたびに、無数の小さな光の粒がひそやかに瞬いた。
一瞬だけ流れ星がキラリと流れたような。
宛名は「流れ星より」
流れ星の手紙?!
新手のラブレターか?

ちょっとだけ期待しながら、中身を開くと
「鍵のかかったアイスクリームを助けてください」
これだけ。

そんなに期待はしていなかったが、やはり肩の力が抜けた。
なにかのイタズラかな
アイスクリームに鍵がかかるって、溶けないのかな
だから、「たすけて」ってことか。

妙に納得しながらもなぜか興味がでた。
なにかヒントが書かれていないか他にも入っていないか探してみる。

封筒をもう一度見てみると、星空の下は見慣れた町並みだった。

流れ星がまた一瞬流れた
流れた先はこの町の駅だった。

急いで駅に向かった。

日が落ちかけていた。
紅く染まる夕日がジリジリと町を焦がしていく

商店街を抜け、曲がり角のパン屋の香ばしい匂いを横目に、踏切の音が遠くで鳴る。

急がなきゃ。溶けたアイスクリームは誰も食べたがらないだろう?

駅に着くと、駅の広場にピアノが置かれていた。
イベントでもあるのだろうか。

夕暮れの駅ピアノの前に立つと、鍵盤の上に小さな南京錠がかかったアイスクリームカップが置かれていた。

バニラの白い表面はまだ溶けていない
不思議と冷たさを保っているようだった。

「これが…鍵のかかったアイスクリーム?」

南京錠には小さなメモが結ばれている。

『音楽の鍵で開けてください』

ピアノなんて、いつも音楽の授業のときに遠巻きに見ていた記憶しかない。

恐る恐るピアノの前に座り、鍵盤に指を置いた。
何を弾けばいいのかわからない。
でも、なぜかメロディーが頭に浮かんできた。

きらきら星。

シンプルな旋律が夕暮れの駅に響く
一音一音、まるで星が瞬くように。

最後の音を弾き終えると、カチリと小さな音がした
南京錠が開いている
アイスクリームのフタをゆっくりと開けた。

中から小さな光る粒が舞い上がった。

それは本物の星屑だった。
一粒一粒が温かな光を放ちながら、サラサラと流れるように夜空へと帰っていく。
最後に残った一粒が私の手のひらで囁いた。

「ありがとう。やっと故郷に帰れる」

握っていたはずの流れ星の手紙も跡形もなく消えていた。

夕暮れの駅ピアノから立ち上がると、空にはもう一番星が輝いていた。​​​​​​​​​​​​​​​​

(おわり)



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片桐 みかん様 主催
第14回 「3つのお題に空想のひらめきを」
こちらに参加させて頂きました。
ありがとうございました。

🍊第14回 3つのお題
🎈お題①:「流れ星の手紙」
🐾お題②:「鍵のかかったアイスクリーム」
⏳お題③:「夕暮れの駅ピアノ」


第13回参加(初)
雨宿り

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