その「小麦が体に悪い」、原因はどれ?─ グルテンとグリホサートを混同しないために
パンやパスタを食べると調子が悪い。
ネットには「小麦は危険」という言葉があふれています。
曰く「発達障害の原因」「グルテンが腸を壊す」「輸入小麦の農薬が問題」。
これらは別々の話が一本の糸に見えているだけのことが多いのです。
医学者の立場から、小麦という食品をめぐる論点を「確実に分かっていること」と「まだ推測の段階のこと」に分けて整理します。
結論を先に言えば、混ざりやすい3つの層をほどくことが理解の鍵です。
第一章 まず、よくある2つの言葉を区別する
議論が混乱する最大の原因は、性質のまったく違う2つを同じ「小麦の害」として語ってしまうことです。
• グルテン:小麦そのものに含まれるタンパク質(グリアジン+グルテニン)。小麦の「自前の成分」です。
• グリホサート:畑で撒かれる除草剤(herbicide)の化学物質。収穫後の小麦に残る「後付けの残留農薬」です。
医療にたとえるなら、グルテンは「臓器そのものを作っている成分」、グリホサートは「外から投与された薬剤」。カテゴリーがまるで違います。同じ小麦という食品に同居しているために、話がひとまとめにされてしまうのです。
なお、しばしば「殺虫剤」と言われますが、グリホサートは殺虫剤ではなく除草剤です。作用の対象が虫ではなく植物なので、ここは正確に区別しておきます。
第二章:グルテンと「セリアック病」──ここは事実
小麦の害として最も確立しているのがセリアック病です。これはグルテン(正確にはグリアジン)に対する自己免疫疾患で、遺伝的素因(HLA-DQ2/DQ8)を持つ人が発症します。
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