スケッチブックの初恋【全9話】|vol.2|がりがり ~部活で起きた思わぬ事件
――本作品は、真由美(まゆ)と大輔が過ごした中学時代の、淡くて少し不器用な初恋を描いた全九話の記録です。
私はバスケ部に入部した。
体育館は一面しかなく、
バスケ、バレー、剣道・卓球で交代に使う。
三年生は引退して、一、二年生だけの
新チームが始まった。
練習はきつかったけれど、
クラス以外の友達もできた。
部室でみんなと話す時間が、
だんだん楽しくなってきた。
バスケ部で同じ一年の史子と邦子と仲良くなった。
史子はふーちゃん、邦子はくーちゃんと
呼ばれていた。
「まゆと同じクラスに大輔いるでしょ?」
「うん」
「面白いやつでしょ?」
「毎日うるさいけどね。
でも、なんなのあれ?笑」
みんなで笑っていた、その時。
――がりがり。
壁の向こうにある男子バレーの部室から、
変な音がした。
一瞬、部室が静かになる。
――がりがり。
その瞬間、
「きゃっ!」と誰かが叫んだ。
みんな慌てて服を着る。
隣のバレー部の部室から、
壁に穴をあけて覗こうとしていたのだ。
うそ。
信じられない。
すぐに先生がやってきた。
男子バレー部の全員が、
部室の前に並ばされていた。
「お前たち、何をしてるんだ」
全員で謝らされた。
その列の中に、
大輔もいた。
目が合った瞬間、
「やばっ」って顔をしていた。
壁は十センチ以上あるのに、
穴をあけるなんて信じられない。
やっぱり男の子には
気をつけなくちゃね。
翌日。
学校で大輔と顔を合わせた。
昨日のことなんて、
まるで忘れたみたいに平然としている。
「ねえ」
「ん?」
「何か言うことないの?」
「何のこと?」
「部室で……」
すると大輔は、
私をじっと見て言った。
「ピンク」
一瞬、何のことかわからなかった。
でも次の瞬間――
「見たのー!?」
「最低!!もう!!」
顔が一気に熱くなった。
ほんっと、男の子って信じられない。
……でも。
なんでだろう。
大輔は、ちょっとだけ楽しそうに笑っていた。
笑うと、目がなくなる。
……ほんと、もう。
私は思わず、
目をそらした。
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