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【恋】キミとの、切ない恋物語|第2話「あの日」

sakiと付き合い始めた、

中学1年。

僕らはいつも外でデートをしてた。

あの日も、いつものように。

僕らは家から2番目に遠いカラオケ店を選んだ。

一曲目に選んだのは、

BUMP OF CHICKENの「天体観測」。

見えない物を見ようとして

望遠鏡を覗き込んだ

sakiと一緒にマイクを持って歌った。

sakiの歌声は少し音程がズレてて。

でも、それが可愛くて。

見えない未来を、

僕らは見ようとしてた。

この恋がどこへ向かうのか、

分からないまま。

でも、それでも良かった。

二曲目は、

MONGOL800の「小さな恋のうた」。

ほ〜らあなたにとって

大事な人ほど すぐそばにいるの

sakiが嬉しそうに歌う。

その横顔を見ながら、僕は思った。

本当に大事な人は、すぐそばにいるんだって。


歌なんてそっちのけで。

初めてのキス。

甘くて、ドキドキして。

思春期だもん。

好きな子と2人きり。

当然だよね。

sakiの髪からシャンプーの匂いがした。

石鹸みたいな、優しい香り。

手を繋ぐと、少し汗ばんでて。

でも、離したくなかった。

夏の熱気みたいに、

僕らの気持ちも抑えきれなくて。

コンコン…

「この店はそんなことする所ではありません。やめてください」

店員さんの声が、氷水みたいに冷たく響く。

「はい、すいません」

顔が真っ赤になった。

夏の夕焼けより赤く。

sakiも恥ずかしそうに俯いてる。

その仕草が、また可愛くて。

「大丈夫だよ、ken」

sakiが小さく笑った。

でも、恥ずかしさより、

sakiと一緒にいられる嬉しさの方が大きくて。

また歌を歌い始めた。


そして、また…

気持ちが抑えられなくて。

コンコン…

「出てってください!」

今度は店員さんの怒った声。

ドアが勢いよく開いた。

そして、店長まで出てきた。

「どこの中学校だ?」

その一言で。

全てが終わった気がした。

夏の入道雲が崩れるみたいに、

僕らの幸せが崩れていく。



帰り道。

sakiと手を繋いだまま、

もやもやした気持ちで歩いた。

アスファルトからの照り返しが、

やけに眩しかった。

「ごめんね、ken」

sakiが小さく言った。

「ううん、僕のせいだよ」

違う。

誰のせいでもない。

僕らが、好きだっただけ。


次の日。

学校の廊下は、いつもより蒸し暑く感じた。

休み時間になると、クラスがざわついた。

「聞いた? kenとsakiのこと」

「え、何? 何?」

僕は、まだ何も知らなかった。

昼休み。

廊下で友達に呼び止められた。

「なあ、昨日カラオケにいたろ?」

「うん、まあ…」

「3年の先輩も同じ店にいたらしいぞ。追い出されたの、見られてたって」

心臓が凍りついた。

噂はあっという間に広がった。

夏の夕立みたいに。

突然で。

激しくて。

止められなくて。

「kenとsaki、カラオケで何かあったらしいよ」

「追い出されたんだって」

「マジで?」

廊下を歩けば、ヒソヒソ話す声。

授業中、チラチラ見られる視線。

夏の蝉の声みたいに、ずっと耳に残る囁き。

sakiの周りでも、同じことが起きてた。

休み時間。

sakiは友達に何か聞かれて、困った顔をしてた。

その顔を見て、胸が痛くなった。

「大丈夫?」

放課後、僕が聞くと。

「うん、大丈夫。kenこそ、大丈夫?」

sakiは笑ってた。

でも、その笑顔は少し無理してるように見えた。

最初は気にしないようにしてた。

「まあ、そのうち忘れるよ」

sakiも「うん、そうだね」って言ってた。

でも、僕らは中学1年生。

思春期で。

繊細で。

周りの目が怖くて。

息が詰まっていった。

夏の湿気みたいに。

重くて。

苦しくて。

教室にいるのがしんどい。

学校に行くのが辛い。

sakiと目が合っても、以前みたいに自然に笑えない。

あんなに輝いてた夏の日々が、急に色褪せていった。

なんでだろう。

好きなだけなのに。

僕らは、もう限界に近づいていた。

(第3話へ続く)


この記事は共同マガジンの企画記事です🤭

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