なぜ組織では、まじめな人ほど消耗していくのか
組織で長く働いていると、ある光景に何度も出会う。
仕事に真面目で、実力もあり、責任感も強い人ほど、
なぜか評価されず、静かに疲弊していくという現実だ。
一方で、必ずしも仕事の本質に向き合っているとは言えない人が、
上に上がっていく場面も少なくない。
これは偶然でも、個人の資質の問題でもない。
構造的に、そうなりやすい仕組みがある。
評価は「仕事の質」では決まらない
組織で力を出し続けるためには、
努力や能力そのものよりも、
「認められ、報われること」が不可欠になる。
報酬、昇進、裁量。
形はさまざまだが、評価されなければ、人は力を抜いていく。
問題は、その「評価」を誰が握っているかだ。
評価するのは、常に上にいる人間である。
そこに、人間的な感情──
保身、嫉妬、不安、自己正当化が入り込む。
自分より優秀な部下を、
素直に評価できる上司ばかりではない。
組織は「異論」を嫌う
もう一つ、決定的な要因がある。
組織は本質的に、
「ノー」や「違和感」を嫌う。
下から出てくる正論は、
ときに上の判断を揺るがす。
それは、組織にとって“面倒な存在”になる。
だから、
空気を読む人
波風を立てない人
事なかれで動く人
が「扱いやすい人材」として評価されやすくなる。
逆に、
仕事の本質に忠実で、
ズレに早く気づき、
それを言葉にする人ほど、
「うるさい」
「面倒」
「問題児」
というラベルを貼られやすい。
成果は、奪われやすい
さらに現場では、こんなことも起きる。
部下の成果を、上が自分の実績として語る
失敗は下に押し付け、責任を取らない
表に出る仕事だけが評価される
真面目な人ほど、
裏側の仕事、調整、フォローを引き受ける。
だが、そうした仕事は見えにくく、
評価にも残りにくい。
結果として、
「真面目な人ほど消耗する」循環が生まれる。
問題は能力ではない
ここで重要なのは、
これは能力の問題ではないということだ。
むしろ逆だ。
仕事が見えている
現場を理解している
本質を外さない
そういう人ほど、
組織の歪みに早く気づいてしまう。
そして、それを無視できない。
だが組織は、
歪みを指摘する人よりも、
歪みを見ないふりができる人を守る。
真面目な人が壊れていく理由
結局、理由は一つだ。
組織は、仕事の正しさよりも、
組織の安定を優先するから。
安定とは、
上にとって都合のいい秩序の維持である。
そこに適応できる人は残り、
適応できない人は、静かに削られていく。
真面目な人ほど、
最後まで踏ん張ろうとする分、
消耗が深くなる。
最後に
この構造は、
一つの会社や一人の上司の問題ではない。
多くの組織に、程度の差こそあれ、組み込まれている。
だからもし、
「自分が悪いのではないか」と感じている人がいるなら、
一度、視点を変えてみてほしい。
それはあなたの欠陥ではなく、
構造の問題かもしれない。
真面目な人が壊れていく社会は、
決して健全ではない。
