あやが付くこと 最後まで➃
諦めて、早めのお昼にしよう。
大内宿は「ねぎそば」が有名という。
根元が曲がった一本ネギを
お箸代わりに食べる。

キュウリの漬物も美味
糠漬けでも浅漬けでもない

お蕎麦が引っ掛かってくれる
初めて食べた「ねぎそば」は
二八蕎麦でコシがある。
濃いめのおつゆに、
花鰹と大根おろし。
シンプルで、味わい深い。
手打ち蕎麦の喉ごしと、
鼻に抜けていく風味に癒される。
その間に自家発電いや、
自家発熱を発揮しようと、
手持ちのタオルを二枚使い、
濡れたズボンをサンドして、
微妙な冷たさを忘れられず(笑)
ケアしながら、
あっという間に平らげる。
ハイッ、食欲の勝ち〜!
主婦の物差しを持って21年目。
煩わしいことには、
いつまでもこだわりを持たないのが
一番だと思う習慣が身に付いた。
このお店の店先で、
物腰穏やかなおばあさんが
七味唐辛子やマタタビの枝、
それに丸ごと1本の
キュウリの漬物を売っていた。
「これね、じゃが芋で漬けたのよ」
え?じゃが芋ですと?
「さっき、お蕎麦と一緒に、
小皿に有ったお漬物がこれですか?」
「そだよ〜、じゃが芋を煮て、
潰したらそれに塩して、
キュウリ漬けるの」
へぇ〜!驚いたわ。
それに…
「これは?マタタビの枝ですか?」
道すがら沢山見掛けたから、
訊けば、
「んだよ〜、猫の薬だぁ〜」
予想通りの返事が返った。
「田舎は面白いだろう〜」
ニコニコしながら、
お店番をされていたおばあさん。
この方との出会いも忘れ難い。
他のお店も葡萄細工
(山葡萄のツル)の籠や
会津漆器、 起き上がり小法師、
会津木綿等々の
工芸品を扱っていたり、
お蕎麦とその他の飲食店や、
店頭で食べ歩ける軽食も
売られていた。

この色合いが好き
そもそも何故に、
夫が大内宿に来たかったのか?
どうも美味しい地酒に
おいでおいでされたからのようだ。
はるばる、土砂降りの雨の中で、
ずぶ濡れになりながら、
不機嫌な言葉もシャワーされて、
私には何だったんだろうね?の旅。
目的が叶ったから、
ご満悦かと思えば、
試飲させて貰ったのに、
文句を言っている。
気に入らなければ、
無理に買わずに良いと思うが、
天邪鬼だからNOはYES なのだ。
真っ当な答えを、
夫に期待してはいけない。
ここで2升と5合瓶を購入した後、
会津田島の大型スーパーでも買い、
金沢の蔵元からもこの間6升
注文して届いている。
「うわばみ」なのかしら?笑
何方かに差し上げるのも一部は
有ると思うが、感覚がおかしい。
それでも、異を唱えないのは、
地雷を踏みに行きたくないが故だ。
アルコール依存症なのか?
触らぬ神に祟りなし。
取り敢えず私には、
付き添いのバイト代の様に、
食事とお土産を提供したのだから、
それで良いだろう…
というところだろうか。
不器用なぶっきらぼう。
ぶれないよね。そこだけは。
そして、迎えのバスが来る駐車場へ
また一段と降りしきる雨の中を歩く
大きく回り込んで、
反対車線で待つ私達の前に、
バスが滑り込んで来る。
傘を畳みながら、ステップを上ると
先に席に着いた人達の傘から流れた
水が床に広がっていた。
気を付けながら、奥の席に座る。
走り出した帰りの車窓から、
向かう時には気付かなかったが、
オオウバユリが、
沿道に一列に並んで咲いていた。
結露した車窓からでは、
その姿を撮れずに残念だったが、
駆け抜ける道に、
この柔らかな黄緑色が、
笑うように咲き揃っていたことを
忘れないと思う。
湯野上温泉駅に着いた。
まだザーザー降りで、
軒先から、滝のように
雨が落ちてくる。

漸く雨が止んで、少しずつ空も
明るくなってきた。
来た時に出来なかった駅舎の撮影を
今なら出来そうだ。

外気は寒くないけれども、
濡れネズミが長くて、意外と冷えた
足湯が有ることもリサーチ済みの
幹事(夫)は電車の時間を考えて、
「10分ね」と制限時間を設け、
入るのを許可した。
中心部から、温泉が湧いている。
ズボンの裾を膝上まで引き上げて、
ちょっと熱めのお湯に、
両足を沈める。
ふぅ〜。
どうせなら、
日帰り温泉旅にして欲しかったな。
…なんて思ったけど足湯でも十分。
身体が温まっていく。
うっすらと額に汗が浮く。
自家発熱で、乾燥を目指せるかも?
まだ「ズボン乾燥ミッション」を
諦めてはいなかった。
そう思ううちに…
合い向かいの席に腰掛けた3人。
小柄な妙齢の女性と、
両脇に息子さんご夫婦と
見受けられるお二人。
やはり、あの土砂降りの大内宿に
居たらしくて、少し話をした。
その方は、
同じ福島県の浜通りから来て、
その日が三度目の来訪という。
会津に来るのには、少しハードルが
高いようだった。
「私達が帰ってきたら、
止むなんてね〜。
もう一度行ってくる?ワハハハ」
「本当にそうですよね。
ずぶ濡れで、酷い目に遇いましたね」
なんて和やかに話して、この駅では
甘酒がおすすめなことと、
秋に来た方が良いと聞いた。
先の芦ノ牧温泉で会えるらしい、
ネコ駅長の話も出たけれど、
その方はタイミングが合わず、
まだ叶っていないそう。
温まったし、電車の時間もあるから
そろそろ出ようという時に、
ご挨拶して別れた。
最後にそんな一期一会を楽しんだ。



大内宿を離れたら、止むなんて。
さっきの方とも話したが、
なんとも皮肉なものだ。
「それはね、きっと
またおいでってことなのよ」
もしも、そういうことだとしたら、
ホントに人招きが上手な雨だわ。
また長くなったので
⑤へ続きます。
