AIで業務をどれだけ効率化できるのか
この記事は、2025年2月に発行した「AIがひらく看護管理の未来〜人間にしかできない仕事をするために〜」の内容を投稿記事の形にしたものです。
ここからは、実際の管理業務の一連のプロセスを俯瞰しながら、AIを活用した場合に従来の方法からどのように効率化されるのかについて、詳しく比較していきます。
会議運営(準備~実施~議事録作成)
皆さんは、日々の会議運営にどのような課題を感じていますか? 「会議の目的が曖昧なまま始まり、結果的に何が決まったのかよくわからないまま終わる」「議事録を作成するのに時間がかかり、ほかの業務が後回しになってしまう」——そんな状況に心当たりはありませんか?
このような課題を解決するにも、AIが力を発揮します。
まず、これまでの会議運営を振り返ってみましょう。
目的や議題の曖昧さ:会議のテーマが不明瞭なまま進行し、結論が出ないことが多い。
長時間の会議:明確なゴールがないため、話が堂々巡りになり、会議時間が長引く。
議事録作成の負担:会議後に内容を整理し、議事録をまとめる作業に多くの時間を要する。
こうした状況では、参加者にとっても会議が「ただの時間の浪費」と感じられ、会議そのものの価値が低下してしまいます。そこで、AIを活用した会議運営の新しい形をご紹介します。AIは以下の四つの方向性で、会議にまつわる業務を効率化します。
準備の質の向上:議題の設定や資料作成をAIにサポートしてもらうことで、会議の方向性が明確になります。
会議時間の短縮:十分な準備が整っていれば、議論はスムーズに進み、短時間で成果を上げられます。
議事録作成の効率化:録音データや会議のメモから、AIが必要な情報を整理して議事録を自動作成します。
結果の共有・伝達の迅速化:会議内容を簡潔にまとめ、迅速に情報共有が可能になります。
これらの中でも、最も重要なのは「準備の質を上げる」ことです。質の高い準備があれば、会議そのものが効率化されるだけでなく、その後の議事録作成や結果共有もスムーズに進みます。
例えば、10人が参加する1時間の会議を30分に短縮できた場合、合計で5時間もの時間を節約できます。参加人数が多い会議ほど、効果は顕著です。準備に多少時間をかけたとしても、結果として会議全体の効率が大幅に向上します。

研修計画立案
研修計画を効果的に立案することは、組織や人材の成長に欠かせない重要なプロセスです。しかし、現場の多忙さや経験の蓄積度合いによっては、計画を立てる時間が限られ、試行錯誤しながら進めざるを得ないこともあります。
これまでの研修計画の課題を整理すると、次のようになります。
目標と対象の曖昧さ:大枠の目標や対象を設定しつつも、具体的な達成基準を詰める時間が十分に取れない場合がある。
学習項目の選定の難しさ:過去の研修内容を参考にして学習項目を選定するが、計画の一貫性や学習順序の判断が難しいことがある。
学習方法の決定の難しさ:講義やグループワークなどを導入するものの、最適な学習方法を十分に検討できていない場合がある。
事前・事後学習の設計の難しさ:適切な分量で、研修での学習内容に合った課題を考えるのは難しく、計画から漏れることも多い。
AIを活用することで、こうした計画の負担を軽減し、より効率的な研修立案が可能になります。
目標と現状のギャップを明確化:AIが対話的に情報を整理し、学習課題をより具体的に設定する支援をします。
学習内容や時間配分の最適化:優先順位を考慮し、バランスの取れた研修設計を提案します。
学習方法の選定をサポート:過去の成功事例をもとに、研修目的や対象者に適した学習スタイルを提示します。
事前・事後学習の計画も支援:事前学習教材の提案や研修後のフォロー方法などもAIが提案します。
研修計画書をスムーズに作成:計画書を自動生成することで、作業時間を大幅に軽減できます。
研修計画立案の流れを、以下の図のように六つのステップに整理してみました。

この中でも特に、「②目標と現状のギャップを分析」をしっかり行うと、優先度の高い学習課題が明確になるため、以後のプロセスを合理的に進められます。結果として研修の効果が高まり、参加者のモチベーションも上がりやすくなります。
とはいえ現場では、「何を研修すべきか明確にしたいが、時間が足りない」「分析まで手が回らない」と感じることも少なくありません。そのような場合は、まずは「①3W1Hを設定」し、AIに計画を提案させた上で(下記⑥)、調整するという方法もあります。
もちろん手順をスキップした場合、研修の質の向上は期待しにくいかもしれません。しかし、担当者が時間的・精神的な負担を感じるよりも、まずAIを活用してたたき台を作り、そこから検討を深めていくという方法も、実務的な解決策の一つです。
アンケート調査の実施
アンケート調査は、対象者の意見や実態を把握するうえで欠かせない手段です。看護組織でも、日々多くのアンケートが実施されていますが、業務の忙しさや時間的な制約の中で、設計や分析に十分な時間をかけるのが難しい場合もあります。その結果、集めたデータを十分に活用できなかったり、自由記述の分析が後回しになってしまうこともあるかもしれません。
アンケート調査の実施・集計業務における課題は以下のように整理できます。
目的や質問項目の曖昧さ:調査目的や質問項目を練る時間が十分に取れず、回収したデータを十分に活用しきれないことがある。
自由記述の分析の負担:回答者の貴重な意見を集めても、集計や解釈に時間がかかり、十分に活用されないケースがある。
レポート作成の負担:データを整理し、適切なレポートとしてまとめる作業に多くの時間と労力を要する。
回答者の負担増加:調査目的が明確でないアンケートが増えると、回答者の負担が増し、回答の質や回収率に影響が出ることも。
こうした課題に対してAIを活用することで、負担を軽減しながら、より効果的なアンケート調査を実施できるようになります。
質問設計の質向上:AIが過去のデータや事例を基に質問項目を提案し、表現やバイアスをチェックすることで、わかりやすく公平なアンケートを作成可能。
自由記述データの効率的な分析:AIによるキーワード抽出や感情分析により、自由記述の集計が迅速かつ精度高く行える。
レポート作成の効率化:AIが調査結果の概要やグラフを自動生成し、得られる示唆を提案することで、レポート作成が迅速化。
回答者の負担軽減:質問項目設計の改善により、最小限の質問で目的に沿ったデータ収集ができる。
特に、自由記述のテキスト分析は人力では負担が大きい部分ですから、AIの力を積極的に借りることで、より多くの意見を有効に活用できるようになります。
アンケート調査については、以下のような六つのステップに分解しています。適切なプロセスを踏むことで、調査の質を高めつつ、担当者の業務負荷を大きく削減することが期待できます。

アンケート調査は、データを集めるだけでなく、その結果をどのように活用し、組織の改善につなげるかが重要です。今後はさらに、高度なAI解析や自動レポート作成ツールが充実していくことで、看護組織をはじめとした多くの現場で、より質の高いアンケート調査が行われることが期待できます。
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