🎮寄り道ギルドクエスト#03
※ここは、「帰れない夜」にだけ辿り着ける場所。
その名を――寄り道ギルド。
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📖 ギルドクエスト記録 No.1
依頼:
📜 落とし物を届けてください。
同行者:
ギンコ
ひよこ
風の猫
旅人
(プルちゃん?)
進行状況:
▶ 橋へ到着
ぴょん。
ぴょん。
ぴょん。
プルちゃんは、
迷うことなく橋へ向かっていた。
「ほんまに、
こっちで合ってるんやな?」
ギンコさんが楽しそうに笑う。
ぷる。
返事はない。
* * *
森を抜ける道には、
小さな灯りが、
ぽつり、ぽつりと続いていた。
空は深い群青色。
少し欠けた月が、
森の梢を静かに照らしている。
森は、
夜に静かに包まれていた。
灯りだけを頼りに、
一歩ずつ進んだ。
不思議と迷わなかった。
その灯りに導かれるように進むと、
古い木橋が、夜の中から静かに姿を現した。
橋は、
思っていたより古かった。
夜の中で、
ただそこにあった。
誰かが毎日渡っているようにも見える。
でも、
長い間、
誰も歩いていないようにも見えた。
木の欄干には、
雨の跡が何度も重なり、
ところどころ、
月明かりだけが白く浮かんでいる。
欄干には、
小さな灯りが等間隔に並んでいた。
一つでは心細いほど小さな灯り。
でも、
不思議と橋の先まで、
夜はちゃんと見えていた。
橋の下を流れる川は、
音もなく夜を運び、
向こう岸だけが、
夜に溶け込んでいた。
ギンコさんは、
橋の欄干を軽く叩いた。
「……境界っていうのは、
いかにも怪しい場所より、
普通に見える場所の方が怪しい🤣」
「経験談ですか?」
「迷った回数なら、それなりにな🤣」
「橋イベントですね🐣」
「橋イベントってあるんですか?」
旅人が尋ねると、
ひよこさんは静かに首を振った。
「分かりません🐣」
「分からんのかい🤣」
小さな笑い声が、
夜の橋へ溶けていく。
そのやり取りを聞きながら、
風の猫は静かに橋を見つめた。
旅人も、
その橋を見上げて、ぽつりと呟いた。
「……なんか。」
「ん?」
ギンコさんが振り向く。
「橋って、
渡る前が一番緊張しません?」
旅人は少し笑う。
「向こうに、
何があるか分からないから。」
「……そやから、そう思う橋は大体なんかある。」
ひよこさんは静かに頷く。
「それはあるかもしれません🐣」
風の猫は、
ギンコさんの横顔を見た。
境界を前にした時だけ、
少しだけ表情が変わる。
……今日もそうだった。
風の猫は記録帳を、そっと閉じた。
「……不思議な橋ですね。」
* * *
川の音だけが消えた。
それに気づいた瞬間、
辺りの音も消えていた。
そんなに大きな橋ではないはずなのに、
思ったより長く歩いている気がした。
でも、
足を止める人もいなかった。
旅人は何気なく欄干へ目をやる。
さっき見えていたはずの木が、
まだ同じ場所にある気がした。
旅人が辺りを見回しながら
小声で呟いた。
「……なんか変ですよね。」
「気にしたら余計長く感じるで🤣」
旅人は苦笑いして、
もう一度前を向いた。
その時だった。
「……」
何か聞こえた気がした。
全員が足を止める。
「聞こえました?」
風の猫が辺りを見回す。
「いや。」
ギンコさんは首を振る。
「私も聞こえませんでした🐣」
ひよこさんも静かに答える。
旅人は、きた道を振り返る。
「あれ?」
さっきまで見えていた景色が、
どこか違って見えた。
ギンコさんが笑う。
「振り返るなとは言わへん。
でも、見つからんもんを探そうとすると迷うで。」
旅人は慌てて前を向き直した。
「……さらっと怖いこと言わないでください😱」
ギンコさんは少しだけ真面目な顔になる。
「境界っていうんはな。」
「向こうにあるもんやない。」
「……近づいた時に、初めて現れるもんや。」
旅人は首を傾げた。
「この橋が、境界なんじゃないんですか?」
ギンコさんは笑う。
「逆やで。」
「境界があるから橋が現れるんや。」
ひよこさんは橋の先を見つめたまま、小さく頷いた。
「境界は、人を選びません🐣」
「その人が、何を見ようとしているかだけです。」
誰も、次の一歩を急がなかった。
風が変わる。
冷たくはない。
でも、
暖かくもない。
“空気が一枚変わる”
そんな感覚。
風の猫だけが、記録帳を開いた。
・橋中央付近で風向きが変わる。
・同行者全員、進行方向以外を見る時間が減少。
・橋の長さは変わらない。
※体感時間のみ一致せず。
……そう記録した。
プルちゃんだけ迷わない。
みんなが足を確かめるように歩く中、
ぴょん。
ぴょん。
ぴょん。
普通に飛び跳ねている。
旅人が声をかける。
「怖くないの?」
ぷる。
旅人は、
プルちゃんの後ろ姿を見つめた。
プルちゃんは、
迷うことなく前へ進む。
その時だった。
ぷる。
プルちゃんが、
橋を渡ったところで止まった。
* * *
橋の向こう。
並んでいた灯りとは別に、
小さな灯火が、
ひとつだけ揺れていた。
風に揺れているのに、
不思議と消えそうには見えない。
その灯りだけが、
こちらを知っているように揺れていた。
橋の向こうは、
ただ静かだった。
風だけが、
橋の上を、
静かに通り過ぎていく。
コト……。
もう一度だけ、
小さな音が聞こえた気がした。
* * *
📖 ギルドクエスト記録 No.1
現在位置:
古い木橋
クエスト状況:
▶ 橋の向こうに灯火を確認
次の目的地:
橋の先の灯り
同行者:
変化なし
※プルちゃんは、
もう橋の向こうで待っていた。
ぷる。
* * *
橋の向こうに景色があったのか。
それとも、
橋を渡ったから景色が変わったのか。
誰も、その答えは教えてくれません。
だから今日も、
誰かが橋を渡ります。
* * *
📚 前回の記録
小さな切り株でひと休みを終えた一行は、
プルちゃんのあとを追って森の奥へ。
たどり着いた先には、
夜の中へ静かに続く一本の木橋がありました。
▶ 寄り道ギルド|ギルドクエスト #02
📚 クエスト更新
橋の向こうで揺れていた、
あの小さな灯り。
その灯りの向こうで、
一行は思いもよらないものと出会うことになります。
▶ 寄り道ギルド|ギルドクエスト #04に続く🌿
