第2話: 葉っぱが光る理由
シーと出会ったあの日から、
私は時々、
あの小さな気配を感じるようになりました。
姿が見えるときもあれば、
ただ風の中に、
やさしい存在を感じるだけのときも
あります。
けれど、ひとつだけ
はっきりと気づいたことがありました。
シーの尻尾の先にある葉っぱは、
私の気持ちが揺れると、
ほんの少しだけ光を強めるのです。

一つじゃない
ある日の帰り道。
仕事の帰りで、
身体も心も少し疲れていました。
まぶたの奥に、
うすく重たい疲れが残っているような
感覚でした。
誰かに責められたわけでも、
大きな出来事があったわけでもありません。
ただ、
言葉にならない小さな感情が、
胸の奥に静かに積もっていました。
その夜、
部屋の窓際にふと目を向けると
シーが、そこにいました。
いつものように、
静かに立っているだけ。
けれど、
尻尾の葉っぱは、
今まで見たことがないほど
やわらかく輝いていました。
まるで、
月の光を集めたような
淡く、やさしい光。
その光を見つめていると、
シーは、
少しだけ安心したように、
静かに目を細めました。
その仕草を見た瞬間、
胸の奥にあった重たいものが、
ゆっくりと溶けていくのを感じました。
言葉をかけられたわけでもないのに、
ただそこにいるだけで
「もう大丈夫」
そう、
心の奥から、
そっと声がした気がしました。
そのとき私は、
自然に理解しました。
シーの葉っぱは、
人の感情に触れると光るのだと。
悲しみや疲れ、
言葉にできない想いを吸い取り、
それを
静かに還しているのだと。
だからシーは、
心が少し疲れているときにだけ
そっと現れるのでしょう。
しばらくして、
シーの光はゆっくりと弱まり、
いつもの穏やかな輝きへ戻りました。
そのとき
初めて、
言葉ではない声のようなものが、
心の中に響きました。
やさしく、
風のように軽い声。
⸻
「ココロリーフは、
ひとつじゃないよ。」
⸻
私は思わず、
小さく息をのみました。
シーのような精霊が、
他にもいるということ…?
そう考えた瞬間、
シーはいつものように
静かに微笑むような気配を残し、
風の中に溶けるように
姿を消しました。
その夜から私は、
時々、思うようになりました。
もしかしたら
私たちが気づかないだけで、
この世界には、
たくさんの小さな精霊たちが
そっと寄り添っているのかもしれない。
そう思ったのです。
🌙 この物語について
ココロリーフは、
大人のための心のファンタジーです。
無理をしてしまう日も、
言葉を飲み込んでしまう夜も、
すべてが心の揺れ。
その揺れに触れたとき、
精霊は姿を持ちます。
光だけでなく、
影も抱きながら。
🌙次回予告
ココロリーフは、
シーだけではなかった。
次に現れる精霊は、
心のどんな感情を司るのだろう。
そして私は、
新しい出会いを迎えることになる。
