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第5話:第2部 寂しさを溶かす温もり

LINEを交換してから、彼女とは驚くほど自然にやりとりが続いた。
「今日は仕事おつかれさま」「また週末飲みにいこうね」
そんな軽いやりとりが、気づけば毎日の習慣になっていた。

週末になると、彼女と約束をして街に出た。
彼女はお酒が大好きで、飲み屋の暖簾を見つけると「ここ入ろ!」と無邪気に笑った。
ビールの泡がグラスから少しこぼれても気にせず豪快に飲み干し、
「次は日本酒にしよか」と楽しそうに顔を赤らめる。
その姿を見ると、こちらまで肩の力が抜けて、
「まぁ、悪くないな」と思えてきた。

正直、強く惹かれているわけじゃなかった。
でも、会うたびに埋められていくような感覚があった。
一人で部屋にいると押し寄せてくる空虚さ。
それを、彼女と過ごす時間が少しずつ和らげてくれる。

ある週末、彼女を紹介してくれた年上の友人と数人で集まることになった。
場所は、彼女の最寄り駅近くの居酒屋。
いつものように賑やかに飲んで笑い、気がつけば終電を逃していた。

「もう電車ないなぁ」
友人がそう呟いたとき、冗談めかして「じゃあ泊まっていきなよ」と言った。
彼女は少しだけ迷った表情を浮かべた後、
「うん、大丈夫やで」と笑ってくれた。
その瞬間、胸の奥で何かが軽く跳ねた。

彼女の家に着くと、想像していたよりも小さなワンルームだった。
壁際に本棚と観葉植物、テーブルの上には飲みかけのワインボトルが置いてある。
生活感と女性らしさが入り混じった空間。
不思議と落ち着く匂いがした。

「ベッドしかないけど、いい?」
そう言われて、頷くしかなかった。
ぎこちなく隣に横になり、天井を見つめた。
心臓の音がやけに大きく響いていた。

しばらく沈黙が続いた。
でも、ふとした瞬間に彼女が寝返りを打ち、顔がこちらに向いた。
薄暗い部屋の中で目が合う。
その瞳が、ほんの少し潤んでいるように見えた。

気づいたら、唇が触れていた。
彼女も拒むことなく受け入れた。
そこからは自然の流れだった。
不安もあった。過去の経験から、どうしても緊張は拭えなかった。
でも、彼女の柔らかい声と体温が、少しずつその不安を溶かしていった。

「なんか、意外と優しいな」
彼女がそう笑った瞬間、緊張がふっとほどけた。
そして気づけば、夜は深く更けていった。

次の日の朝、カーテンの隙間から射し込む光で目を覚ました。
彼女はまだ眠っていて、小さな寝息を立てていた。
その横顔を眺めながら、不思議な感覚に包まれていた。

本気で好きではない。
でも、確かに今、この温もりに救われている。
恋なのか、ただの寂しさの埋め合わせなのか、自分でもわからない。

ただ一つ確かなのは、彼女との関係がここから始まったということだった。


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