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「やってみたい!」を子どもたち自身で――笑いあり、葛藤ありのリアルな挑戦

放課後NPOアフタースクールでは、子どもたちの「やってみたい!」の声を起点に、その願いや思いを応援する“スキを応援企画”をスタートし、昨年の夏には、全国の子どもたちからたくさんの声が寄せられました。
 
その中から、ある「やってみたい」を形にしていこうと、子どもたちとともに実現に向けた取り組みを行いました。今回、その舞台となったのが、東京都青梅市にある子ども第三の居場所「みらくる」です。

▼スキを応援企画2025|前編の記事はこちら

子どもたちの「やってみたい」の声をもとに、その実現のプロセスも含めて、一緒に考え、つくっていく——そんな挑戦がいよいよ始まります。

今回の記事では、実際に子どもたちとともに取り組んだ様子や、その中で生まれたリアルな変化をお届けします。



「もっとみんなで遊びたい」を出発点に

小学生〜高校生まで誰でも無料で利用ができる、子どもたちの居場所「みらくる」。

みらくるでは、子どもたちのその時々の気持ちを尊重し、過ごし方を子ども自身が選べる環境づくりが行われています。 

“大人は、できるだけ指示や抑制の言葉は使わず、あくまでも「決めるのは子ども自身」という前提を持ちながら子どもと関わる”

子どもたちの話を聞いていると、そんなみらくるに魅力を感じて日々通っていることがよく伝わってきました。

それと同時に、今回の「スキを応援企画」を通して、みらくるに通う子どもたちの中にある思いがあることも見えてきました。

それは、「もっと友達と一緒に過ごしたい」「みんなで遊びたい」という思いでした。

みらくるでは、普段は子ども一人ひとりが自分の「やりたい」を大切に、自由に過ごせる一方で、学校や学年を超えてみんなで遊ぶ機会はあまり多くはありませんでした。

それぞれの「やりたい」が守られているこの場所だからこそ、「みんなで一緒にやってみる」という選択肢をひらいていくことには、大きな意味があります。

これは、子どもたち自身の「実はこういうふうにも過ごしてみたかった」という声をもとに、居場所での過ごし方の選択肢を広げる試みでもあるのです。


「子ども発案の企画を子ども主導で実施する」ステップへ

子どもの声を聴きながらつくる居場所を、次の3つの段階で整理してみます。

・ステップ1:日々の運営の中で、子どもたち一人ひとりの声が大切にされる
・ステップ2:子どもたちの「やってみたい」をもとに、大人が機会を用意する
・ステップ3:子ども発案の企画を、子どもたち自身が中心となって進めていく

これまでみらくるでは、子どもたちの「やってみたい」の声を丁寧に受け取り、大人が実現の機会を用意することが多く、ちょうどステップ2の段階にありました。

それに対して、スキを応援企画は、子どもたちの声を出発点に、その実現までの過程も含めて子どもたちと一緒につくっていく取り組みです。

みらくるにとっても、ステップ2からステップ3へと一歩踏み出す、新しい試みとなりました。


大人が先回りするのではなく、子どもたちのペースで

いよいよ、「みんなで遊びたい」という子どもたちの思いを形にする一歩が始まりました。ここからは、大人が進めるのではなく、子どもたち自身が考え、動き、企画をつくっていきます。

まず最初に行なったのは、リーダー決めです。

中学生たちが投票箱や用紙を作ってくれ、小学生5人が立候補。投票の末にリーダーが決まると、準備をしてくれた中学生たちも「作った甲斐があった!」と嬉しそうでした。

しかし、リーダーが決まったからといって、すぐに全てが動き出すわけではありませんでした。

子どもたちの意思を大切にしているみらくるでは、大人が先回りして進めることはしません。だからこそ、時には立ち止まる時間もあります。なかなか次の動きが見えない中で、大人たちは少しやきもきしながらも、そのプロセスごと見守ります。

ある日、リーダーに立候補していた子の一人が、「この企画って、いつまでにやったらいいのかな?」とぽつりと声をかけてくれました。

その一言をきっかけに、「それなら今いるメンバーで話してみようか」と、自然な流れで第1回こども会議が開かれることに。

集まった子どもたちは、「どこに行く?」「何をする?」「いつにする?」というテーマについて、少しずつ意見を出し合っていきます。

話し合いの場では、司会や書記など、自然と役割分担をしながら、「〇〇さんの意見に賛成です」といった声も飛び交い、驚くほどスムーズに進んでいきました。

普段は甘えん坊な一面を見せる子が、リーダーとしてしっかりと自分の考えを伝えている姿に、「こんな一面があったんだ」と周りの大人が気づかされる場面も。

話し合いの末、「みらくるの近くにある桜がきれいな公園と神社で、お花見も兼ねてみんなで遊ぼう」という案にまとまり、ポスターづくりなど準備が進められていきました。

そして、印象的だったのは、「企画当日も、みらくるにいたい人のために、ここも開けておきたい」という声が子どもたちから自然にあがったことでした。

普段から一人ひとりの気持ちを尊重するみらくるでは、子どもたちの中に「全員で企画に参加するのではなく、みらくるにいたい人はみらくるにいられること」が当然の選択肢として存在していたのです。

その声を受けて、スタッフ側も、当日の人員を増やすなどして体制を整え、子どもたちが選べる形を一緒に実現していきました。


笑いあり、葛藤ありの企画当日

迎えた当日。子どもたちが楽しみにしていた時間が、いよいよ始まります。

しかし、「何をしてみんなで遊ぶか」をひとつに決めることは、簡単ではありませんでした。それぞれにやりたいことがある中で、どうやってひとつにまとめるのか。

リーダーを中心に話し合いを進め、最終的には「けいどろ」をやることに決定。いよいよ、遊びがスタートです。

全力で走り周り、息を荒げながらも思いっきり楽しむ子どもたち。「楽しいね」「悔しい!」などの声をあげながら、みんなで楽しみます。

笑い声もあふれる一方、ルールがはっきり決まらないまま始まったことで、途中で子どもたちの意見がぶつかり始めます。

「それは違うんじゃない?」「さっきこう言ったよね」——そんなやり取りが重なり、空気が少しざわつく瞬間も。
それでも、大人はあえて口を出さず、子どもたち自身が気づき、考える時間としてそっと見守ります。

さらに、大人が「この遊具の周辺では小さな子も遊んでいるから気をつけようね」と声をかけると、「ここはみんなの公園なんだから、僕たちだって遊具で遊ぶ権利があるよね」——そんな率直な声が上がり、実際に公園内のルールが記載された看板を確かめに行く場面もありました。

自分の考えを持ち、それを表現する。その姿からは、日頃の「否定されない」関わりの中で育まれてきた力が感じられました。

子どもたちが同じ目的に向かって動き出すとき、意見がぶつかったり、迷ったりする場面が出てくるのは自然なこと。

その一つひとつの経験こそが、子どもたちにとって大切な学びになっていくのだと感じました。


企画を終えてー子どもたちの中に残ったもの

企画を終えたあと、主にリーダーとして進めてくれた子どもたちからは、こんな声が聞かれました。

「普段あまり遊ばない人たちとも一緒に遊べて、すごく楽しかった」
「みんなの意見をまとめるのは難しかった」
「でも、みんなの意見をちゃんと聞こうとチャレンジできた」

楽しかったという気持ちとともに、うまくいかなかったことや難しさも、しっかりと自分の言葉で振り返る姿が印象的でした。

さらに、「次は公園にボールも持っていきたい」「今度はみんなで折り紙をやりたい」といった、次につながる「やってみたい」も自然と出てきていました。

また、企画を陰ながら支えてくれた中学生の子は、「今回の企画がとても楽しみで、それをモチベーションにいろんなことを頑張ろうと決めて過ごしてきた」と話してくれました。

「学校に行けない期間もあったけれど、この企画を楽しみに、行くと決めて通うことができた。当日もみんなと遊べて、とても楽しかった」——そんな言葉からは、この時間がその子にとって大きな支えになっていたことが伝わってきます。

ひとつの「やってみたい」から始まった取り組みが、それぞれの心に確かな変化を残していました。


子どもの声を聴く取り組みでわかったこと

スキを応援企画に取り組んでみての気付きや感想について、子どもたちを近くで見守ってきた、みらくる運営スタッフの炭谷さんと鶴岡さんに伺いました。

「当日を迎えられるか不安もありましたが、まずは実際にやってみることができた。それ自体が大きな一歩だったと思います」――そう振り返ります。

さらに、お二人は、当日は子ども同士の意見のぶつかり合いもあったが、それも子どもたちにとって「必要な経験」として受け止めていると語ります。

大人が先に介入すればスムーズに進む場面もあるものの、それでは子どもたちが自分で気づき、考える機会を奪ってしまうかもしれない——だからこそ、あえて見守ることを大切にしていると話されていました。

さらに、普段から大切にしている「意見を否定しない関わり」が、子どもたちの発言のしやすさにつながっていると実感したと話します。

実際に当日も、子どもたちはそれぞれの思いを率直に言葉にしながらやり取りしており、その姿から日々の積み重ねの大切さを感じたといいます。

スキを応援企画の取り組みを終えて、これまで大切にしてきた一人ひとりの「やりたい」に加えて、「みんなと一緒に何かをやってみる」という新しい選択肢が、みらくるにそっと加わりました。

それは、子どもたち自身がこれからも選び取っていける、大切なひとつの選択肢です。

子どもたちの「やってみたい」の声を起点に、その願いや思いを真摯に受け止め、実現に向けて一緒に考え、つくっていく。その過程で生まれる一つひとつの経験が、子どもたちの中に確かな手応えとして残り、新しい一歩へとつながっていきます。今回の取り組みは、その可能性を教えてくれる時間となりました。


子どもたちの「やってみたい」を支えるために

スキを応援企画は、株式会社エポスカードとのコラボレーションによって実現しています。「アフタースクールカード」のご利用を通じて集まる寄付金が、子どもたちのアイデアを形にする活動を支えていきます。子どもたちの“やってみたい”を応援する一歩として、ぜひご検討ください。 

▼アフタースクールカードの詳細はこちら 

文・コミュニケーションデザイン事業部/伊藤