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「支える」は“技術”ではなく“在り方”

― ジャニス・モースの苦悩理論と、支えるということ ―


「“今はあなたと関わりたい”と伝えた日、看護の本質を知った。」

「他の患者さんのところにも行ってあげて」
「私のところばかり居させてごめんなさい。
他の患者さんのところにも行ってあげて。」

忙しい病棟の中で、
患者さんからそう言われたことがある人は少なくないと思う。

その言葉の裏には、
▶️遠慮
▶️申し訳なさ
▶️自分は後回しでいいという感覚

が含まれていることが多い。

そのとき、あなたはどう答えるだろうか。

私は、
「いや、今は〇〇さんと関わる時間にしたい。
他の患者さんも大事だけど、〇〇さんとの時間も私は大事にしたい。」

と、伝えている。


なぜ、そう伝えるのか

この言葉は、励ましでも、優しさのつもりでもない。

ただ一つ、

“あなたを後回しにはしない”という意思表示だ。

患者はとても敏感だ。
🔜自分がどれくらい優先されているか
🔜流れ作業の一部になっていないか
🔜本当に関わってもらえているのか

そういったことを、言葉以上に感じ取っている。

だからこそ私は、

関わる“時間”ではなく、“姿勢”を伝えたいと思っている。

「支える」という言葉の違和感

看護の中で、私たちはよく「支える」という言葉を使う。

しかし、この言葉には時々違和感を覚えることがある。

なぜなら、

「支えますね」と言いながら
本当に支えられていない関わりを、私たちは知っているからだ。

👄目を見ずにかけられる言葉
💦タスクの合間に流れるように行われる対応
🗣️共感している“つもり”の声かけ

それは決して悪意ではない。
むしろ忙しさの中で精一杯の関わりだと思う。

それでも患者は感じてしまう。

「自分は処理されているのかもしれない」と。


姿勢は、言葉より先に伝わる

私は思う。

姿勢は、言葉であり、表情であり、雰囲気をつくるものだ。

人は言葉だけで安心するわけではない。
▶️声のトーン
▶️視線
▶️身体の向き
▶️間(ま)

そういった非言語的な要素から、

「この人は安全か」
「ここにいていいのか」


を無意識に判断している。

だからこそ、

どんな言葉を使うか以上に、
どんな在り方でそこにいるかが問われる。



ジャニス・モースの「苦悩理論」

この感覚は、看護理論の中でも説明されている。

Janice M. Morseは、患者の苦しみを「苦悩」として捉え、
その状態を2つに分けている。

① 耐え忍ぶ状態(Enduring)

患者は感情を切り離し、ただ耐えている。
▶️表情が乏しい
▶️「大丈夫です」と言う
▶️本音を語らない

これは我慢ではなく、
心が壊れないための防御反応だ。

② 感情的苦悩(Emotional suffering)

感情があふれ出る状態。
😢泣く
😡怒る
😔「なぜ自分が」と問い続ける

この状態は苦しいが、
同時に回復へ向かうプロセスでもある。


苦悩の中にある「希望」

モースはこう示している。

「苦悩を耐え忍ぶことと、希望を見出すことは、地続きのプロセスである。」

つまり、
▶️耐えている状態も
▶️感情があふれている状態も

どちらも無意味ではない。

むしろその中にこそ、

人が再び生きていくための力が宿っている。


看護師にできることは何か

ここで重要なのは、

苦しみを“なくすこと”ではないということだ。

苦悩は、簡単に取り除けるものではない。

無理に励ますことも、
前向きにさせることも、
時には患者を孤独にする。


では、何ができるのか。


「支える」と「共にいる」

モースは、苦悩の状態によって関わり方を変える必要があると述べている。
⚫️耐えている人には「支える(Support)」
⚫️感情が出ている人には「共にいる(Be with)」

しかし現場では、これが逆になりやすい。
🟡耐えている人に無理に気持ちを聞く
🟡感情が出ている人を落ち着かせようとする

それは、患者のペースではなく、
医療者側の安心のための関わりになってしまうことがある。

家族もまた、苦悩の中にいる

忘れてはならないのは、家族の存在だ。

家族にとって入院は非日常であり、
▶️何もできない無力感
▶️状況が分からない不安
▶️大切な人を失うかもしれない恐怖

を抱えている。

その不安は、時に患者以上に深い。

看護師の姿勢は、家族にも届く

家族は見ている。
▶️どのように関わっているか
▶️大切にされているか
▶️安心して任せられるか

あなたが患者に向けるまなざしは、

そのまま家族の安心になる。

「この人に任せて大丈夫」

そう思ってもらえることは、
医療の質そのものに関わる。

看護とは何か

看護とは、

正しいことを伝えることでも、
問題を解決することでもない。

人が苦悩の中にいるとき、
その人のそばに在り続けること。


そして、

その人が再び自分の力で立ち上がるまで、
静かに支え続けること

だと思う。

"本当にこれでいいのか"
"もっとできることがあるのではないか"


その答えは、難しい理論の中ではなく、

目の前の患者との関係の中にあるのかもしれない。

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7010nsous|看護師×公認心理師×第一種衛生管理者 応援いただきありがとうございます❗️ いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます‼️ 今後ともよろしくお願いします。