見出し画像

M.マクルーハンのホット/コールド・メディアについて(2)...定義と具体例

表紙写真Understanding Media (Wikipedia)より


「M.マクルーハンUnderstanding Mediaのホット・メディアとコールド・メディアについて 」(1)
に続く(2)です。






The Medium is the Messageとの関連で[2]Media Hot and Cold

1章"The Medium is the Message"での分析の流れを受け、2章 "Media Hot and Cold"では、mediaをhot mediaとcold mediaに分け、それぞれがもたらす影響を分析しています。ちなみに、McLuhanはcoldの代わりにcoolという語を頻繁に使っています。恐らく、coldという語が持つ「冷たい」というネガティブな含みを一掃するために、ポジティブな含みを持つcoolという言葉も併用したのでしょう。本稿でもそれに従い2つの言葉を併用します。(*8)

Hot mediaは、一つの感覚のみを延長させ(extend one single sense)、かつ、情報量が多い(in high definition or filled with data)。Cold mediaは、情報量が少い(in low definition or with little data)。例えば、photographは視覚情報が多い(in high definition)のでhot mediaで、cartoonは視覚情報が少ない(in low definition)ので cold mediaであると述べています。

情報量が多いか少ないかは、audienceがどの程度情報を補完(completion by the audience)するかその度合いに関係し、情報補完度が高ければaudienceによる参加度(participation)が増し、低ければ減少すると言います。よって情報満載のhot mediaではaudienceによる情報補完度が低く、それに伴い参加度も低くなる(low in participation)が、逆に情報量が少ないcold mediaではaudienceによる情報補完が必須になり、参加度も高くなる(high in articipation)と主張しています。

例えば、speechはcool mediumで、情報が乏しく聞き手は情報を補完しなければ理解できず参加度を高める。それに対して、photographはhot medium で、十分な情報が提供されており補完の必要も無く参加度は低い。 端的に言えば、“hot media”は一方通行型のコミュニケーションに、cold mediaは両方向型のコミュニケーションに適していると解釈できます。(*9)
以下、McLuhanがhot mediumとcold mediumとする具体例を本文から拾い仕分けてみました。

[Hot media]定義と具体例


[定義]
High in definition, filled with data, low in participation by the audience.

[具体例]
Money, Wheel, Writing, Photograph, Radio, Movie or film media, The phonetic alphabet, Paper for writing, Lecture, Book, Print, Waltz, Hot jazz of radio and movie, Print technology in Renaissance, F.D.R.(Franklin Delano Roosevelt), Newton, Locke,(*10)The specialist technology, etc.

[Cold media]定義と具体例

[定義]
Low in definition, with little data, high in participation by the audience.

[具体例]
Cartoon, TV, Speech, Telephone, Hierographic or ideographic written characters, Stone for writing, Seminar, Dialogue, Twist, Cool jazz, Coolidge (John Calvin Coolidge),William Blake(*11), Humor and play, Aphorism, Organic myth, Practical and participant joke, Pun, The nonspecialist technology, etc,  (Undestnding Mediaより抜粋)

Hot mediaとされるmediaは、機械化時期(the mechanical time)のmechanical mediaと重なります。西洋先進国(advanced countries)(*12)、わけても、都会人(the city slickers)に浸透しているとし、総称してhot cultureと呼んでいます。対照的にcold mediaは、後進国(backward countries)や、先進国でもthe rustic(田舎の人々)に浸透していると主張し、総称してcold cultureと呼んでいます。

M.マクルーハンのホット/コールド・メディアについて(3)に続く


(*8)ご存知のようにcoolという語は“He's cool!”など、良い意味で使われます。“He's cold.”となるとネガティブです。McLuhanの言うcold mediumにはそうしたネガティブな意味合いはありません。むしろポジティブです。よってcold とcoolを交互に使うことによりポジティブな意味合いをサブリミナル的に伝えようとしたのかもしれません。

(*9)本が書かれたのは1960年代初頭です。よって、ここで取り上げられているmediaは当時の状況下のもので、現存するものとは多少の違いがありうることを念頭に入れて判断すべきです。例えば、telephone(cold medium)ですが、1960年代においては固定電話が主流で、現在は携帯電話が主流になっています。固定電話は音声のみですが、現在の携帯電話では音声だけではなく動画で話すことも可能で結構な情報量があり、固定電話とは違ったmediaであるかもしれません。McLuhanのhot media とcold mediaについての議論は大雑把で、疑問をもつのは当然です。

(*10)F.D.R., Newton, Lockeなどは一種のmediaとして取り上げたと解釈できます。もちろん、advanced countriesがhot mediaに慣れ親しんだhot cultureと述べているところから、hot mediaに慣れ親しんだhot peopleという意味でも解釈できます。

(*11)(*6)で述べたように、Coolidge、William Blakeについても、cool mediaかcool peopleのどちらかに解釈できます。F.D.R.とは対照的に、その人となりについてはブランク(blank)であったCoolidgeは、当時の新聞や報道がその空白を埋めなければ理解できず、それがcoolなイメージ(Cool Coolidge)を生む結果になったとあります。2年前の大統領選の候補Hillary Clinton氏とDonald Trump氏をこの視点で分析してみると面白いかもしれません。

(*12)1960年代初頭の先進国は欧米諸国です。日本はまだ発展途上国でした。

For Lifelong English 生涯英語活動のススメ (鈴木佑治Website)


いいなと思ったら応援しよう!

鈴木佑治 N.Yuji Suzuki サポートいただけるととても嬉しいです。幼稚園児から社会人まで英語が好きになるよう相談を受けています。いただいたサポートはその為に使わせていただきます。