あなたの中にいる“複数の人格”と仲良くする方法【インターナル・ファミリー・システム(IFS)入門】
結論:あなたの心の中には、唯一無二の「本当の自分」がいるわけではありません。
そこには、傷ついた「子ども」や、真面目な「管理者」、衝動的な「消防士」といった、複数の人格(パーツ)が同居する、一つの家族(システム)が存在しているのです。
理由:最新の心理療法「インターナル・ファミリー・システム(IFS)」が、これらのパーツを問題視するのではなく、それぞれの役割と善意を理解し、対話することで、心の対立を解消し、内なる平和を取り戻すという、画期的なアプローチを提唱しているからです。
今回は、自分の中にいる厄介な部分とも仲良くなれる、この新しい自己理解のツールについて、その仕組みと実践法を徹底解説します。
こんにちは、文翔です。
「ダイエット中なのに、深夜にラーメンを食べてしまった…」「大事なプレゼンの前なのに、なぜかSNSを無限に見てしまう…」。
そんな、自分の中の「天使と悪魔のささやき」のような、矛盾した行動に悩まされた経験はありませんか?
私はしょっちゅうです。
「やるべきだ」と思っている自分と、「やりたくない」と駄々をこねる自分が、常に頭の中で綱引きをしている感覚。
そして、そんな自分を「意志が弱いダメなやつだ」と責めて、自己嫌悪に陥る…。
しかし、IFSという考え方に出会って、私はハッとしました。
彼らは「悪魔」ではなかった。
ただ、私を守ろうとして、不器用なやり方しか知らなかった「家族」だったのだ、と。
このアプローチの提唱者

出典 wikipedia
この革新的な心理療法「インターナル・ファミリー・システム(IFS)」を開発したのが、アメリカの家族療法家、リチャード・シュウォーツ博士です。
彼は長年、摂食障害のクライアントのカウンセリングを行う中で、ある共通点に気づきます。
それは、クライアントたちが皆、自分の中に複数の「部分(パーツ)」が存在し、それらが互いに対立し合っている、と語ることでした。
従来の心理学では、これらのパーツを「問題行動」や「認知の歪み」として修正しようとします。
しかし、シュウォーツ博士は、それらのパーツを無理やり押さえつけようとすると、かえって抵抗が強まることを発見しました。
そこで彼は、発想を転換します。
「これらのパーツは、敵ではない。それぞれが、本人を守るためのポジティブな意図を持っているのではないか?」と。
彼の功績は、私たちの内面を、対立するパーツたちがひしめく「戦場」としてではなく、対話と理解によって調和を取り戻せる「家族会議」の場として捉え直した点にあるのです。
あなたの心の中で開かれている“家族会議”
では、私たちの心の中にいる、個性豊かな「家族(パーツ)」たちを紹介しましょう。
そして、彼らとどうすれば仲良くなれるのか、その方法を探っていきましょう。
自分の中の“厄介者”の正体
あなたの心を動かしている、主要な3つのパーツの役割を理解することから始めます。
手順1:傷つきやすい“追放者(Exiles)”
まず、心の奥深くには「追放者」と呼ばれるパーツがいます。
これは、過去のトラウマや拒絶によって傷ついた、幼い「子ども」の部分です。
孤独、悲しみ、無価値感といった、耐え難い感情を抱えています。
これらの感情が表面化すると、私たちは精神的なバランスを崩してしまうため、他のパーツによって心の地下室に「追放」されているのです。
しかし、彼らは消えてしまったわけではありません。
時折、地下室のドアを叩き、「寂しいよ」「助けてよ」とシグナルを送ってきます。
手順2:真面目な“マネージャー(Managers)”
次に、この「追放者」が暴れ出さないように、常に目を光らせているのが「マネージャー」です。
これは、社会に適応し、傷つくことを未然に防ごうとする、真面目で計画的なパーツです。
「完璧にやらなければ」「人に嫌われてはいけない」と、私たちを駆り立てます。
先延ばしを責めたり、常に自己批判をしたりするのも、このマネージャーの仕業です。
彼らの目的は、追放者が抱える辛い感情を、二度と経験しなくて済むように、先回りして危険を回避すること。
そのやり方は少し窮屈ですが、根底には「あなたを守りたい」という善意があるのです。

手順3:衝動的な“消防士(Firefighters)”
しかし、マネージャーの努力もむなしく、追放者の痛みが溢れ出しそうになる時があります。
そんな緊急事態に駆けつけてくるのが「消防士」です。
彼らの任務は、ただ一つ。
「どんな手を使っても、今すぐこの苦痛を消すこと」。
そのために、彼らは非常に衝動的で、破壊的な手段を選びます。
過食、過度な飲酒、SNSへの逃避、衝動買い、激しい怒り…。
これは、まるで『ドラゴンボール』で、仲間を傷つけられた怒りから、後先を考えずにスーパーサイヤ人に変身してしまう孫悟空のようです。

その瞬間は圧倒的な力で苦痛を忘れさせてくれますが、後には大きな代償(自己嫌悪や罪悪感)が残ります。
ですが、彼らもまた、あなたを耐え難い苦痛から守ろうとしている、不器用な救助隊員なのです。
まとめ
これまであなたが「自分の嫌な部分」「直すべき欠点」だと思っていたものは、実は、あなたを必死に守ろうとしてきた、忠実な家族(パーツ)たちだったのかもしれません。
IFSが教えてくれるのは、彼らを責めたり、追い出したりすることではありません。
まず、彼らの存在に気づき、その声に耳を傾け、「今まで守ってくれてありがとう」と感謝を伝えること。
そして、これらのパーツたちの奥には、誰にでも、穏やかで、好奇心に満ち、思いやりのある「セルフ(Self)」という中心的な存在がいると、シュウォーツ博士は言います。
この「セルフ」の視点から、対立するパーツたちの言い分を聞き、家族会議の議長を務めること。
それこそが、内なる対立を終わらせ、本当の意味での自己受容と心の平穏を手に入れるための、唯一の道なのです。
あなたも、自分の中の家族会議を、一度、覗いてみませんか?
今すぐできる3つのこと
何かネガティブな感情が湧いた時、「これはどのパーツの声だろう?」と自問してみる。(1分)
自分の中の「マネージャー(自己批判する声)」に対して、「いつも見張ってくれてありがとう。でも少し休んでいいよ」と心の中で声をかけてみる。(1分)
リチャード・シュウォーツ博士のTEDトーク「How to find yourself, and why you won't like what you find」を検索して観てみる。(5分)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が、あなたが自分自身の内なる世界を、より深く、より優しく理解するための一助となれば嬉しいです。
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参照元
参照元:Richard C. Schwartz "No Bad Parts: Healing Trauma and Restoring Wholeness with the Internal Family Systems Model" (書籍)
参照元:IFS Institute (https://ifs-institute.com/)
参照元:Psychology Today "Internal Family Systems (IFS) Therapy" (https://www.psychologytoday.com/us/therapy-types/internal-family-systems-therapy)
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