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あなたの“才能”は、それを受け止める“環境”がなければただの“奇行”である【ホールディング環境入門】

結論:あなたのユニークな才能や個性が職場で活かせず、「浮いている」と感じるのは、あなたの能力が低いからではありません。

その才能を優しく抱きしめ、育んでくれる「ホールディング環境」が、その場所に欠けているだけなのかもしれないのです。

理由:精神分析家のドナルド・ウィニコットは、母親が赤ちゃんを物理的・心理的にしっかりと抱きしめる「ホールディング」が、人の心の成長に不可欠だと考えました。

この「守られている」という絶対的な安心感がない環境では、人は失敗を恐れて萎縮し、本来の能力を発揮することなど到底できないからです。

今回は、この「ホールディング環境」という概念を手がかりに、多くの人が悩む「職場の心理的安全性」の本質に迫り、個人と組織が共に成長していくためのヒントを探ります。


こんにちは、文翔です。

以前、私が働いていた職場で、斬新なアイデアを次々と出す、少し風変わりな先輩がいました。

彼の提案は、今思えば非常に的を射ていたのですが、当時の保守的なチームの中では「また突拍子もないことを言っている」「現実が見えていない」と、まともに取り合ってもらえませんでした。

彼は次第に口を閉ざすようになり、その才能は輝きを失い、やがて会社を去っていきました。

数年後、彼が別の会社で大成功したという噂を耳にしました。
彼の才能は何も変わっていなかった。
ただ、その才能を受け止め、育む「土壌」が違っただけなのです。

この経験は、私に強烈な教訓を与えました。
人の才能とは、真空では存在できない。
それを受け止める「環境」という名の“器”があって初めて、その価値を発揮できるのだと。

このアプローチの提唱者

ドナルド・ウィニコット(Donald Winnicott)
出典 wikipedia

この「ホールディング」という、現代の心理学や組織論に絶大な影響を与えた概念を提唱したのが、イギリスの小児科医であり、精神分析家でもあったドナルド・ウィニコットです。

彼は、生涯で6万人以上もの母子を診察する中で、赤ん坊の心の成長にとって、母親による「抱っこ」がいかに重要であるかを発見しました。

彼が言う「ホールディング」とは、単に物理的に抱きしめることだけではありません。

赤ちゃんの欲求や不安を敏感に察知し、それに応え、「ここにいていいんだよ」という無条件の安心感を与える、母親のあらゆる関わりを指します。

ウィニコットは、この原初的な体験が、人が生涯にわたって他者を信頼し、自分自身を安心して探求するための「心の安全基地」の土台になると考えました。

彼の功績は、この母子関係のミクロな観察から、「人が健やかに育つための環境とは何か」という、組織や社会全体にも通じる普遍的な原理を導き出した点にあるのです。

あなたの才能を殺す“非ホールディング環境”

では、この「ホールディング環境」が欠如した職場では、一体何が起こるのでしょうか。

そこでは、私たちの才能や個性は、価値あるものどころか、排除されるべき「異物」として扱われてしまいます。

科学が解き明かす「才能が死ぬ」メカニズム

あなたの素晴らしい個性が、いかにして「奇行」へと貶められてしまうのか。
その悲劇のプロセスを3つのステップで見ていきましょう。

手順1:脳が「脅威モード」に切り替わる

心理的に安全でない、つまり「ホールディングされていない」環境では、私たちの脳は常に「脅威」を警戒しています。
「何か変なことを言ったら、馬鹿にされるんじゃないか」「失敗したら、厳しく非難されるんじゃないか」。

このような状態では、脳の扁桃体が過剰に活性化し、常に「闘争か逃走か」のサバイバルモードに入ってしまいます。

このモードでは、創造性や大局的な思考を司る前頭前野の働きが抑制されてしまいます。

つまり、心理的安全性のない職場にいるだけで、私たちは本来の知的能力を全く発揮できなくなってしまうのです。

安心して意見を言えない環境は、社員全員のIQを強制的に下げているようなものなのです。

心理的安全性のない環境では、脳は常に脅威を警戒する「サバイバルモード」になります。これにより、創造性や論理的思考を司る脳の機能が低下してしまいます。

手順2:「良い子」を演じ、才能を封印する

サバイバルモードに入った私たちは、その環境で生き延びるための戦略をとります。
それが、「目立たないこと」「普通であること」「上司の意に沿うこと」です。

新しいアイデアを出すことは、拒絶されるリスクを伴います。
異論を唱えることは、対立を生むリスクを伴います。
リスクを避けるための最も簡単な方法は、自分の個性や才能を心の奥底に封印し、周囲に合わせて「良い子」を演じることです。

これは、まるで『新世紀エヴァンゲリオン』で、主人公のシンジが「逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせながら、他人の期待に応えるためだけに戦う姿に重なります。

出典 新世紀エヴァンゲリオン

しかし、他人の期待に応え続けるうちに、彼は自分が何者なのか、何のために戦っているのかを見失っていきます。
組織に過剰に適応しようとすることは、自分自身の魂を殺す行為に他ならないのです。

手順3:才能が「奇行」として排除される

もし、あなたがこの同調圧力に屈せず、勇気を出して自分のユニークなアイデアや意見を表明したとします。
しかし、「ホールディング環境」でない組織は、その「異物」を理解しようとはしません。

あなたの斬新な提案は、「前例がない」「リスクが高すぎる」と一蹴される。
あなたの鋭い問題提起は、「空気が読めない」「和を乱す」と煙たがられる。

こうして、本来であれば組織のブレークスルーに繋がったかもしれない「才能の芽」は、単なる「奇行」として処理され、その価値を認められることなく摘み取られてしまうのです。
そして、組織は変化の機会を失い、緩やかに衰退していく。
これは、個人にとっても組織にとっても、計り知れない損失です。

ホールディング環境でない組織では、新しいアイデアやユニークな才能は「異物」と見なされ、理解されることなく「奇行」として排除されてしまいます。

まとめ

あなたの才能は、決してあなた一人のものではありません。
それは、あなたが所属する組織や社会にとっても、かけがえのない「宝」なのです。

もし今、あなたが自分の居場所がないと感じ、個性を押し殺しているのなら、それはあなたのせいではありません。
ただ、あなたの才能を受け止めるだけの「器」が、その場所になかっただけ。

私たち個人にできることは、まず、自分自身にとっての「ホールディング環境」とは何かを理解し、それを与えてくれる場所を主体的に選ぶこと。
そして、組織の中にいる人間としては、自分が他者にとっての「ホールディング環境」の一部になるよう努めること。
誰かの小さな勇気を、決して笑わない。
誰かの風変わりなアイデアに、一度耳を傾けてみる。

その小さな「ホールディング」の連鎖が、やがては組織全体の心理的安全性を高め、誰もが安心して才能を発揮できる、創造的な環境を生み出していくのですから。

今すぐできる3つのこと

  1. 過去に自分の意見やアイデアが受け入れられず、傷ついた経験を書き出してみる。それは能力の問題だったか、環境の問題だったか振り返る。(5分)

  2. 職場の同僚が何か意見を言った時、すぐに評価・判断せず、まず「面白い視点だね」と、その存在を受け止める言葉をかけてみる。(1分)

  3. ドナルド・ウィニコットの「移行対象(安心毛布など)」の概念について調べてみる。安心感の重要性がより深く理解できる。(5分)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が、あなたが自分らしく輝ける場所を見つけ、また、誰かにとっての「安全な場所」となるための一助となれば嬉しいです。

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参照元

#ライフハック #自己啓発 #心理的安全性 #ホールディング環境 #ウィニコット #働き方 #組織論 #才能

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