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その「慢性的な痛み」、脳の誤作動かも?【ニューロプラスティック・ペイン】という新常識

結論:あなたが長年悩まされている原因不明の腰痛や頭痛は、体の組織が壊れているのではなく、あなたの「脳」が痛みを勘違いして作り出しているだけかもしれません。

理由:最新の研究では、慢性痛の多くは、脳が過去の痛みの記憶を誤って再生し続ける「ニューロプラスティック・ペイン」であることが分かってきたからです。

今回は、この痛みの新常識と、脳にアプローチして痛みからの解放を目指す画期的な治療法をご紹介します。


こんにちは、文翔です。

病院で何度も検査したのに「特に異常はありませんね」と言われる腰痛。

薬を飲んでも気休めにしかならない、長年の頭痛。そんな「原因不明の痛み」と、終わりが見えない闘いを続けている方はいませんか? 私も、デスクワークが続くと現れる謎の背中の痛みと、長年付き合ってきました。

まるで、家の中にいるはずのない幽霊の気配に、毎日おびえて暮らしているような感覚。

この「痛みの幽霊」の正体を突き止め、それを消し去る方法を教えてくれたのが、ペインサイコロジスト(痛み専門の心理療法士)である、アラン・ゴードン氏です。

提唱者について

アラン・ゴードン(Alan Gordon, LCSW)出典:Pain Reprocessing Therapy Center

彼は、米国ロサンゼルスにあるペインサイコロジーセンターの創設者です。彼自身も長年、原因不明の慢性痛に苦しんだ経験を持ち、その苦しみから解放される過程で、痛みの本質についての画期的な洞察を得ました。

ゴードン氏は、慢性痛の多くが、脳の「可塑性(ニューロプラスティシティ)」、つまり学習し変化する能力が、ネガティブな方向に働いた結果生じる「誤作動」であると提唱。

この「ニューロプラスティック・ペイン」という概念と、その治療法である「ペイン・リプロセシング・セラピー(PRT)」を確立しました。

彼の著書『The Way Out』は、多くの人々を長年の苦しみから解放するための、まさに「出口」を示しています。

 あなたの痛みは「火災報知器の誤作動」


ゴードン氏の研究の核心は、「慢性痛の多くは、体の組織の損傷シグナル(危険信号)ではなく、脳が作り出した誤った安全信号である」という点にあります。

急性的な痛み、例えば足を骨折した時の痛みは、これ以上動かすと危険だということを知らせる、重要な「火災報知器」です。

しかし、骨が治った後も痛みが続く場合、それは火事(組織の損傷)はもう起きていないのに、報知器だけが鳴り響いている状態。

脳が過去の痛みの経験から、「この動きは危険かもしれない」と過剰に防衛的になり、痛みの信号を勘違いして作り出し続けているのです。

これが「ニューロプラスティック・ペイン」の正体です。

ニューロプラスティック・ペインは、実際の組織損傷ではなく、脳が誤って生成する痛みの信号を出している可能性

 「痛みへの恐怖」が痛みを再生産する

この誤作動を維持、強化している最大の要因は、「痛みそのものへの恐怖」です。

「またあの痛みが来たらどうしよう」「この動きをしたら、きっと痛くなる」…こうして痛みを恐れ、常に意識を向けていると、脳は「やはり、ここは危険な場所なのだ」と学習を強化し、さらに痛みの信号を送りやすくなります。

この「痛み→恐怖→さらなる痛み」という悪循環こそが、慢性痛のループの正体なのです。

これは、一度ドラゴンに襲われた村人が、その後、ただのトカゲを見ても「ドラゴンだ!」とパニックに陥り、村中に警報を鳴らし続けるようなもの。

恐怖が、存在しないはずの脅威を作り出しているのです。

それでは、この痛みの悪循環を断ち切り、脳を再教育するための画期的なアプローチ「ペイン・リプロセシング・セラピー(PRT)」の3つのステップをご紹介します。

 1. 痛みの原因が「脳」にあると心から理解する

まずは、あなたの痛みが、体の構造的な問題ではなく、脳の誤作動である可能性を、知的な理解だけでなく、感情レベルで受け入れることから始めます。

医師から「検査では異常なし」と診断されていることが、その強力な証拠です。あなたの体は、あなたが思っているよりもずっと健康で、強い。

痛みは、危険信号ではなく、脳からの「間違ったメッセージ」なのだと、自分自身に言い聞かせます。

この認識の転換が、すべての始まりです。

 2. 痛みの感覚を「安全なもの」として再認識する

次に、痛みを感じた時に、パニックになったり、恐怖を感じたりするのではなく、その感覚を冷静に、そして好奇心を持って観察します。

このテクニックを「ソマティック・トラッキング」と呼びます。痛みを「敵」と見なすのではなく、「ただの身体感覚」として捉え、「ああ、今、脳が古いパターンで信号を送っているな。でも、私の体は安全だ」と、心の中で実況中継するのです。

このプロセスを通じて、脳に対して「この信号は危険ではない」という新しい情報を送り、痛みのループを断ち切っていきます。

ソマティック・トラッキングを通じて、痛みの感覚を安全なものとして脳に再学習させてみる

 3. ポジティブな感情と感覚で脳を上書きする

脳の注意を、痛みから、安全で心地よい感覚へと意図的に向けていきます。

安心感、感謝、喜び、楽しさといったポジティブな感情を思い出し、その感覚に浸ってみましょう。

あるいは、痛みがない体の部分の心地よさや、温かいお風呂の気持ちよさといった、ポジティブな身体感覚に意識を集中させます。

これにより、脳に対して「世界は安全で、心地よい場所だ」というメッセージを送り、痛みの回路よりも、安全の回路を強化していくのです。

 まとめ

ニューロプラスティック・ペインという概念は、原因不明の痛みに苦しむ人々にとって、まさに革命的な希望だと感じます。

痛みの原因が、自分ではどうしようもない「体の故障」ではなく、自分の力で変えられる「脳の癖」にあると知るだけで、絶望的な状況に光が差し込むようです。

私自身、このアプローチを知ってから、デスクワークで背中が痛み始めた時に、「ああ、また脳がいつもの癖で騒いでるな。

でも大丈夫、私の背中は壊れてない」と、心の中でつぶやくようになりました。すると、不思議なことに、痛みに振り回されるのではなく、痛みを客観的に眺められるようになり、スッと痛みが引いていくことが増えたのです。

私たちは、自分の脳の最大のトレーナーになれる。その可能性に、大きな勇気をもらいました。

 今すぐできる3つのこと

1. もし今、体に痛みがあるなら、その部分に手を当てて「ここは安全だ」と心の中で3回唱えてみる(1分)

2. 今日一日の中で感じた、小さな「心地よい感覚」(例:美味しいコーヒーの香り、気持ちいい風など)を一つ思い出してみる(2分)

3. アラン・ゴードン氏のTEDx Talkなど、関連動画を一つ見て、さらに理解を深めてみる(15分)


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

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参照元:

  •    Pain Reprocessing Therapy Center (https://www.painreprocessingtherapy.com/)

  •    Gordon, Alan, and Alon Ziv. The Way Out: A Revolutionary, Scientifically Proven Approach to Healing Chronic Pain. Vermilion, 2021.

  •    The Wall Street Journal "A New Treatment for Chronic Pain" (https://www.wsj.com/articles/a-new-treatment-for-chronic-pain-11632840001)

  •    JAMA Psychiatry "Effect of Pain Reprocessing Therapy vs Placebo and Usual Care for Patients With Chronic Back Pain" (A study validating PRT's effectiveness)

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