時をかけるテレビ〜今こそ見たい!この1本〜日野原重明 100歳 いのちのメッセージ (ドキュメンタリー NHK)
医師、日野原重明さんは2011年10月で100歳。今も精力的に様々な活動をし、“スーパー老人”ぶりを発揮する。番組は1年にわたってプライベートや家族に密着し、これまで知られてこなかった日野原さんの姿を記録した。患者とのドラマ、突然の病に倒れた最愛の妻との日々。いのちと向き合う中で紡ぎだされる日野原さんのメッセージを伝える。ゲストは、日野原さんと親交のあったノンフィクション作家、柳田邦男さん。
(以上公式サイトより)
医者というのは物凄い仕事だと常々思ってきた。
まず医学部や医師国家試験という最難関に合格する頭脳が必要。病気の患者を診察しつつ感染しない為の体力。そして最も過酷だと思うのが、生死を目の当たりにした時の精神力。自分の診断や治療で相手の生き死にが左右されるなんて、私には耐えられない。
これまでも医療や医師についてのドキュメンタリーは見てきたが、今回も深く感じ入った。日野原重明氏は100歳超えの現役医師で、新聞やテレビなどでもそのご活躍のアウトラインはなんとなくわかっている気がした。
しかしこの番組で、実際に患者に向き合う姿やご家族との関わり方、その心情を知る事で、氏に対してより深く尊敬の念を抱いた。
今回の凄いところは、日野原医師だけでなく患者さんの生き死にも映し出されているところだろう。
60代の男性と40代の女性。御二方とも緩和ケアを受けており、おそらく退院できないこともお分かりだろう。なのに日野原医師の診察を受け、明るく会話して笑顔を見せる。カメラのないところでは涙を流しているのかもしれないが、おそらく苦しまずに感謝の念を胸に最期を迎えたのだろうと思う。
そんな患者さんに優しく対応しながら、日野原医師ご自身も奥様の病状を気遣う日々。99歳とは思えない心身の強靭さは、まさに超人だと恐れ入った。
40代や60代で余命宣告された方々にとって、90歳超えの長寿医師に診察されるなんて辛くないのかと私は思った。
自分なら「なんで貴方は長生きなのに、私はそれより短い生命なのか」と、恨み言をぶつけるかもしれない。

そう思っていたら、番組終盤のゲストトークで柳田邦男氏が答えのようなコメントをされていた。
「たとえ60年の命であれ100年の命であれ、その自分が生きた人生に感謝する。それをもてたら最高かなぁと思って」
「じゃあ感謝ってどこから出てくるんだろうかな?と思ったら、やっぱり自分の人生をどう肯定感を持って他の誰でもない自分の人生ってものを歩んだのはどこだったのか。その辺を見極めることがとても大事かなぁと思うんですね」
長くても短くても、その一生をどう生きたかが最重要事項だということね。
今の私は少し停滞気味なので、活を入れられた心持ちである。
(余談ではあるが、たしか柳田氏は次男さんを自死で亡くされている。少し調べてみると前妻や長男にもいろいろ大変な事があったようで。それでも生きていく、そんな覚悟を持って日々を過ごされているのかもしれない)

この番組内でも日野原医師は常に笑顔だったが、怒りや憤る事はあるのだろうか?
クリスチャンだし金銭的な余裕もあり、愛情にあふれた日々を過ごしているから、そんな優しいお顔なのねと、下世話な私は思ってしまうのだが…。
やはり高い志と人の為に尽くそうという高潔な精神がお顔に現れ、それに触れた周囲の方々との相互作用で益々徳を積んでいるのではないだろうか。

生命には限りがある事。
それをどう生きるか、今更ながら改めて実感させられた。

