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スアブラックが連敗から脱出!ホープのセンアーティットを下す ~ONE Friday Fights 114(2025年6月27日)

ONEチャンピオンシップは、6月27日にバンコクのルンピニースタジアムで特別興行のONE Friday Fights 114を開催した。

今回のメインイベントではプロボクシングアジア王者からONEに転向した、21歳のホープ、センアーティット・ルークサイゴンディンが、カレン族のヒーロー、スアブラック・トープラン49と対戦、セミにはムアンタイ対セクサン、タイファイトの人気選手、PTTのデビュー戦、吉成名高のONE2戦目などが組まれた。

ONEでは、毎週金曜日にムエタイを中心とした格闘技のイベント、”ONE Friday Fights”を行っているが、 3か月に1度、豪華カードを揃えた特別興行を企画しており、今回がそれにあたる。普段の座席料金よりもやや高めの価格設定にも関わらず、この日のルンピニースタジアムは超満員となった。

今回はONE Friday Fights 114について、ONE連敗中のスアブラックが、前評判を覆してホープのセンアーティットを下して復活を印象付けたメインイベントを主に取り上げたい

当初のメインはクラップダム対ロボ戦だったが、クラップダムの負傷によりキャンセル、セミセミだったセンアーティット対スアブラックがメインに

スアブラック対センアーティット戦

幼少期よりムエタイのリングに上がり、MMAグローブムエタイの元祖であるMXムアイ・エクストリームにも参戦していたセンアーティットは、プロボクシングでは元WBAアジアスーパーライト級王者で世界ランカー、19戦19勝(10KO)の戦績を残していた21歳。WBAアジアのベルトを返上してアメリカでの選手活動を目指していたが、試合がなかなか組まれず、ONEへの挑戦に切り替えた。3月にはキックボクシングルールで行われたONEデビュー戦に判定で勝利して、スアブラック戦が2戦目となる。ムエタイ16人兄弟の14番目ということで、話題となるセンアーティット、その姉のアイダロッタン・ジットムアンノンの妻で、センアーティットはロッタンの義理の弟ということになる。

スアブラックは中堅ファイターから、ONEに参戦後に4連続KO勝ちでONE との本戦契約を勝ち取り、ONEドリームを叶えた28歳で、通算戦績はこれまで60勝21敗。ミャンマーからタイ中西部のペッブリー県へ避難したカレン族が暮らす、難民キャンプの出身で、その出自も併せてテレビ番組などで取り上げられている。昨年、ONE参戦後の連勝は6でストップし、泥沼の3連敗。昨年6月のキアムラン・ナバティ(カムラン・ナバティ、ロシア)との試合では初回失神KO負け、さらに9月にクラップダムに3回KO負け。今年1月にはドミトリー・コフトゥンに初回ダウンを奪われて判定負け。3連敗目はダウン後に試合を建て直し、勝負を判定まで持ち込んで、復活の兆しを見せた。

人気選手のスアブラックも3連敗、打たれ脆さを指摘されることも

キアムランはスアブラック戦から後に、ドーピング検査で陽性となり、今年3月から1年間の出場停止処分となった。キアムランと対戦したことは、スアブラックにとって不運だった。圧倒的なパワーをリング上で示していた、無敗のキアムランに、スアブラックはONE参戦前にも、ロシアで対戦し、これも初回KO負け。この2試合共にキアムランが禁止薬物を使用していた可能性を考えると、いたたまれない。

センアーティットの踏み台としてONE3連敗中の、スアブラックが選ばれたようなマッチメイク、ルールはセンアーティットに合わせたキックボクシングルール(3回戦)で、体重はスアブラックが戦ってきたONEバンタム級(65.8キロ)ではなく、140ポンド(63.5キロ)で、こちらもWBAアジアスーパーライト級(63.5キロ)王者だったセンアーティットに合わせた感がある。

しかし、試合を見るとキックボクシングルールのスアブラックは、ムエタイルールのスアブラックとはまた異なるトリッキーな戦い方を見せる。サウスポーのスアブラックが初回から回転蹴り、ジャンピングニーでオーソドックスのセンアーティットを惑わしている様子で、センアーティットの攻撃は中途半端に感じる、パンチはそれほど威力を感じない。

2回、大きなパンチを振るってペースをアップするセンアーティットの顎を、スアブラックの左フックが捉え、センアーティットはバランスを崩して後退する。スアブラックは連打もここで詰め切れず。このラウンドはパンチの精度もスアブラックでポイントは完全に取った。

3回は開始時からセンアーティットが逆転を狙って、ワンツー、右ストレートと得意のパンチでスアブラックを攻め立てる。下がりながら、ローキック、前蹴りで対応するスアブラック、ここで腰回転蹴り(ローリングホイールキック)を繰り出すと、左足がセンアーティットの顔面を見事に捉え、腰を落とし、グローブをキャンバスに付くダウン。まさかの大技に会場は興奮のるつぼと化す。反撃を試みるセンアーティットに、再びローリングホイールキックを決め、2度目のダウンを奪うスアブラック、勝敗を完全に決定づけて試合終了、嬉しい連敗脱出となった。

6月14日にはRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)のメインイベントでラジャダムヌンスタジアム認定、女子ミニマム級タイトルマッチに挑んだセンアーティットの姉のドゥアンダオノーイ・ルークサイゴンディンは、王者モンクンペットに判定負け、兄弟にとってはRWSのドゥアンダオノーイとONEのセンアーティットと、続けて重要な試合を取り逃がしたかたちとなった。

センアーティットに合わせた体重、ルールとも言える一戦
センアーティットの攻撃に、スアブラックは冷静に対処
スアブラックのローリングホイールキックが決まった瞬間
センアーティットは2度ダウン
健闘を称え合う両者

※試合映像(タイ以外の国で視聴できない可能性あり)

PTT・アピチャートファーム対エリアス・アブデアリ、吉成名高対バンルーロック・シットワタラチャイなど

タイファイトの人気選手であったPTT(ポートートー)は、この日がONE初登場、ジムメイトのONEムエタイ世界バンタム級王者、ナビル・アナンの弟、ヨニス・アナンと同日のONEデビューとなり、ONEフェザー級(70.3キロ)ムエタイ3回戦でフランスのエリアス・アブデアリと対戦した。この日、判定勝ちでONE初戦を飾ったヨニスに続きたいところだが、エリアスの左ジャブをまともに喰らい続ける試合展開。通算112勝23敗のPTTと8勝1敗のエリアスでは、格の違いがあるように思われたが、MMAグローブのパンチのガードに慣れていないのか、不用意にパンチをもらうPTTが判定負け。パンチを喰らい顔を腫らしながら最後までエリアスを追うも完敗だった。

PTTまさかの完敗

セミファイナルでは36歳の古豪、セクサン・オークワンモンムアンタイ・PKセンチャイが140ポンド(63.5キロ)契約のムエタイ3回戦で対戦、5‐6回は対戦しているというこの組み合わせもONEでは初対戦、3ラウンドを通じて激しいヒジの打ち合いとなったが、判定はムアンタイ。ラスト3試合はいずれも判定ながら、熱戦が続き、会場の観客は大いに沸いていた。

セクサン対ムアンタイも激戦

この日の第4試合では、ONEと正式契約した吉成名高が登場、ONEアトム級(52.2キロ)ムエタイ3回戦を、バンルーロック・シットワチャラチャイと戦い、判定勝ち。バンルーロックはこれまでONEで3勝3KOで負け知らずだったが、名高には届かなかった。(後日、別記事にて取り上げる予定)

ついにONEでルンピニースタジアムのリングに立った名高

※ルンピニースタジアムでの現地観戦、写真は著者撮影のものとONE CHAMPIONSHIP の公式ページより。 

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