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反田恭平 ピアノ・リサイタル・ツアー2021──ショパンコンクール直前、サントリーホール夜公演の記録

※この記事は、2021年8月、
ショパン国際ピアノコンクール直前に行われた
反田恭平さんのピアノ・リサイタルを聴いた際に、
当時、私自身が書き留めていた記録をもとにしています。

2026年2月、あらためて反田さんの演奏を聴く機会があり、
その時の記憶がふと重なってよみがえったことから、
このメモを、いま公開することにしました。

専門的な分析ではありません。
「すごい演奏だった」という言葉に回収できない
その時の自分の感覚を
できるだけ手を加えずに残します。

(2021年8月26日/サントリーホール夜公演)
※ 内容は変えていません。

こんにちは! 小川なっちです。

反田恭平ピアノ・リサイタル・ツアー2021
サントリーホール 夜公演に伺いました。

※会場内に掲示されていた公演ビジュアルを撮影したものです

反田恭平さんといえば、
いま一番チケットが取りにくいと言われている、
人気も実力もトップクラスのピアニストのお一人。

チケットは完売でしたが、
コロナ禍の感染対策で
「密」を避けるため、両隣は空席。
それでも、私の席は1階の前から数列目でした。

この日のプログラムは、
10月のショパン国際ピアノコンクールに出場されるため、
オール ショパン。

ノクターン第17番口長調 Op.62-1
ワルツ 第4番 へ長調 Op.34-3
マズルカ風ロンドへ長調 Op.5
バラード第2番へ長調 Op.38
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
ーーー 休憩 ーーー
3つのマズルカ Op.56
ピアノ・ソナタ第2番 変口短調「葬送」Op.35

※曲順・曲目は、当日のプログラムに基づいています。

7月のコンクール予備予選では
日本時間の夜中3時に
ワルシャワからのリアルタイム配信で応援しました。
やっと生演奏を聴けて嬉しかったです。

▼事前に予習をした、イープラスのインタビュー記事はこちら


「ピアノはファツィオリを持ち込む」と記事で読み、
初めてその音を聴けると楽しみにしていました。

ところがステージに置かれていたのはスタインウェイ。

「あれ? ファツィオリではないの?」
と思いました。

けれど、これは
反田さんが本番に向けて、
ピアノを確かめながら準備をしているのだと分かり、
ファンとしては、
その時間と場に立ち会えたことが、
むしろ嬉しく感じられました。

ファツィオリは、
昼公演だけだったようです。

19時開演の夜公演。
客席に入った時点で、まだ調律が続いており
ステージ上に調律師さんの姿がありました。

鍵盤を手前に引き出した状態のピアノを見るのは
初めての経験でした。
調律が終わったのは、開演の約10分前でした。

生演奏の迫力は、言葉にすると
「すごかった」
としか言えないのですが——

時にはハープの独奏のようで、時にはオーケストラのようで。
消えそうなピアニシモ、切ないメロディ、
心の底から絞り出すような力強さなど、
1台のピアノの音色からたくさんの風景が見え、
感情が心にあふれて、涙が出ました。

オクターブ連打のところや、
体重をかけてバンバンと弾く姿は、
ピアニストというよりアスリートのように見えました。
座って演奏していても、
ピアノを弾くのは全身運動ですものね。

真夏なので、私は半袖の涼しいワンピースを着ていましたが、
観客数が定員の半分なのに、
じっと座っているだけでも会場内は少し暑かったです。

ライトの下で長袖の服で演奏されていた反田さんは、
もっと暑かったのでは?

直前に観たインタビューで、
「汗でメガネが曇ってしまって……」
と話されていたのを思い出し、
この日は、曇り止め対策をされていたのかな、と
ふと考えたりもしました。

ステージに近い席だったので、
反田さんのふっくらしたきれいな指が
鍵盤の上を動くところがよく見えていました。

途中、ウットリと聴いていたら、
演奏が心地良すぎて眠ってしまった人がいたようで、
ピアノの音が途切れてシーンとした瞬間に
タイミング悪く
「フガッ!」
という声が聞こえてきたことがありました……
(反田さんに聞こえてたかな?)

夜公演のアンコールは 2曲でした。
コンクール本番に備えた渾身の演奏を
この日は、
昼公演と合わせて、2時間 × 2公演。
それを感じさせない、
力強い「英雄ポロネーズ」をお聴きできました。
(さすがに、演奏が終わった後は少しお疲れのようでした)

拍手が鳴りやまず、
スタンディングオベーションの方もいました。
後ろを振り返ったら、
座っている人の方が多かったので、
後ろの席の人の視界を遮ってはいけないと
私は立ち上がらずに座ったまま拍手しました。

立ち上がってもいいものかどうか、
日本では座ったままの人が多いので迷います。
それとも、前方の席の人達が立ち上がれば、
後方の人達も立ち上がりやすいのでしょうか?

終演予定の21時になっても拍手は続いていました。
少しでも、反田さんへ
コンクール出場への応援の気持ちを届けたいと
集まったファン達だからでしょうね。

しかし、緊急事態宣言が出ているので、
公演の時間制限があり、
これ以上は延長できなかったのでしょう。

反田さんが、
「もう本当に最後だよ~」
という感じで舞台に出てきてくださって、
終演となりました。

10月のショパンコンクール本選では、
反田さんに優勝していただきたいです。

※追記(2026年)
今読み返すと、ここで強く印象に残っていたのは
「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」
だったのだと思います。

今、読み返して思うこと

2026年の今、
あらためてこの時のメモを読み返してみて、
強く思うことがあります。

あの頃、私は「すごい演奏を聴いた」というよりも、
「始まりを見ていた」のかもしれない、と。

その場では言葉にできなかった違和感や予感は、
時間が経ってから、少しずつ意味を持ちはじめます。

演奏会は、その一夜で終わります。
でも、客席で受け取った感覚は、こうして何年も後に、
別の形で立ち上がってくることがある。

この記録は、
ショパンコンクール直前の空気の中で、
私が客席で感じていた、そのままの記憶です。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
もし、会場の空気を少しでも感じていただけたら、
「スキ」を押していただけるとうれしいです。

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