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【P席正面レポ】反田恭平 弾き振りショパン協奏曲第2番で“歌声のように聴こえた”瞬間|JNO冬ツアー2026 サントリーホール感想(2026.2.6)

少し前置きをさせてください。

私は、反田恭平さんが
弾き振りを始めた、かなり早い時期の公演を、
客席前方から聴いたことがあります。

そのときは、
弾き振りする反田さんを、ほぼ真横から見る位置の
2階前方席でした。

そのときと比べて、
今回サントリーホールで聴いた弾き振りは、
印象がまったく違っていました。

演奏を聴きながら、
これまで客席で見てきた時間が、
ふっと重なるような感覚がありました。



1.今回の席について(P席正面という特等席)

この日の席は、
パイプオルガン側の正面、いわゆるP席です。
弾き振りをする反田さんと、ほぼ正面から対面する位置でした。

結論から言うと、
「ライブは近くで観たい派」の私にとっては、
この公演のP席は、かなり“当たり”でした。


客席はボカシ加工をしています


音のバランスを最優先する人には、
正直、向かないかもしれません。
ただ、演奏者の動きや
音が生まれる瞬間の身体の使い方まで含めて体験したい人にとっては、
この席でしか得られない情報量があると感じました。

2.開演前のウェルカムコンサート

開演は19時。
その約30分前、18時35分から
ステージ上でウェルカムコンサートがありました。

岡本誠司さんによるトークのあと、
フルートの八木瑛子さん、河野葉月さんによる
くるみ割り人形「花のワルツ」、
そしてJNOチェロカルテットによる
「Winter Wonderland」でした。

楽しい音楽で、
「これからコンサートが始まる」という空気が
自然に会場に広がり、
緊張感とワクワク感が
少しずつ高まっていくのを感じました。

3.開演、大編成オーケストラへの驚き

19時。
オーケストラのメンバーが、
楽器を手にステージへ入場してきます。

その人数を見た瞬間、
正直、驚きました。

私は今回、
曲目以外ほとんど調べずに来ていたので、
ここまでの大編成だとは思っていなかったのです。

前半のショパンの時点で、
すでに50人以上。
後半はチャイコフスキーの交響曲です。
「ここから、さらに人数が増えるんだな」
そんな予感を抱きながら、前半を聴いていました。

プログラムを見ると、
名前は100人分。
あらためて、このツアーの規模を実感しました。

4.ショパン:ピアノ協奏曲第2番

前半は、
ショパンのピアノ協奏曲第2番。

実はこの曲、
先週(1月29日)、
2025年のショパンコンクールでこの曲で優勝した
エリック・ルーさんの演奏を
ミューザ川崎シンフォニーホールで聴いたばかりでした。
そのときも、同じP席前方でピアノの正面でした。

そのときの演奏については、
別の記事で
客席前方からの聴こえ方という視点で書いています。

比較の前提として、
参考までにリンクだけ置いておきます。


ただ今回は、
会場はサントリーホール。
そして、反田さんの弾き振り。

ピアノの蓋は外され、
音がダイレクトにP席へ飛んできます。

同じP席でも、
聞こえ方は、まったく別物でした。

 ■「歌っている」と気づいた瞬間

演奏が進む中で、
ふと、聞き慣れない音が聴こえてきました。

最初は、
楽器の倍音が強く響いているのかと思いました。
でも、どうも違う。

これは……人の声?

オペラグラスでよく見ると、
反田さんが、実際に歌っているのではないかと思いました。
口を開けて歌っているわけではありませんが、
演奏と完全に同調したタイミングと強弱で聞こえていたこともあり、
私には、
反田さんがハミングのように
小さく声を出しているように感じられたのです。

指揮をしながら弾き、
弾きながら歌い、
また指揮をする。

その声は、
オーケストラを通り越して、
反田さんと対面するP席前方にいた私のところに、
小さく、しかし、はっきりと届いていました。

「反田さん、歌ってる……?」

そう気づいた瞬間、
思わず笑ってしまいました。

しかもそれは、
第一楽章だけではなく、
第三楽章まで、
かなり頻繁に続いていました。

それが本当に声だったのか、
あるいはホールの響きや倍音の重なりだったのか、
正確なところは分かりません。

ただ、P席正面という位置で聴いた私には、
あの瞬間、確かに「人の気配を帯びた音」として届いていました。

 ■第2楽章で感じたこと

第2楽章は、
思った以上に、
ゆっくりとしたテンポで始まりました。

ここでも、
反田さんの実際の歌声らしき音が、
はっきりと聴こえてきました。

ピアノの演奏は、
小さな音や短い音も、
一つ一つ確かめるように、
とても丁寧に弾かれているように感じました。

このP席で聴いた音楽は、
ピアノそのものが
音楽の主役であり、
指揮者でもあるように感じられました。

「ピアノのためのオーケストラ」
そんな印象です。

これは、
ステージから離れた席で聴くと、
また違った聴こえ方になると思います。

 ■P席だから見えたペダルの光

反田さんがピアノのペダルを踏むと、
こちらから見えている弦のあたりが、
キラッと光ります。

足元そのものは見えません。
でも、その光の反射で、
ペダルを踏んでいることが分かる。

こうした細かなことも、
この距離、この位置だからこそ気づけたことでした。

5.ソリスト・アンコール

ピアノ協奏曲のあと、
ソリスト・アンコールはマズルカ。

ショパンコンクールで、
耳に馴染みのある曲です。

独特のリズムを軽やかに弾き、
ポーランドの空気感を、
そのまま運んでくるような演奏。

生で聴けたことが、
素直に嬉しかったです。

6.後半:チャイコフスキー 交響曲第4番

後半は、
チャイコフスキーの交響曲第4番。

正直に言うと、
この曲については、
これまで何度も聴き込んできた、
というわけではありません。

なので、
曲そのものへのコメントは、
ここではしません。

ただ、演奏を聴きながら思い出したのは、
反田さんが指揮を始めた頃に、
「いつかは交響曲を振ってみたい」
と話していた言葉でした。

その記憶があったからこそ、
今、こうして交響曲を指揮している姿を、
客席から見ていること自体に
しみじみとした感慨を覚えました。

7.記録について

今回のコンサートには、
自分で作った
『ショパンコンクール鑑賞手帳2025』
を持って行っていました。

休憩時間や終演後に、
その場で感じたことを、
忘れないうちに書き留めたメモが、
この記事の下書きになっています。

客席前方で気づいたことや、
演奏中の一瞬の違和感は、
記憶だけに頼ると、
どうしても薄れてしまうので。

一応、リンクだけ置いておきます。
こちらでサンプルページをご覧いただけます。


また、普段のコンサートで使える『コンサート鑑賞手帳』も制作いたしました。(2026年2月発売)


8.関連記事のご案内

【客席前方レポ】などの
コンサートの感想記事は、ほかにも公開中です。

いずれも、
客席の位置や距離によって
見え方・聴こえ方がどう変わるのか、
という視点を中心に書いています。


※ショパンコンクール直前(2021年8月)、
サントリーホールの客席前方で聴いた
反田恭平さんのピアノ・リサイタルの記録を
別記事として公開しました。

今回のコンサートでコンマスを務めていた
岡本誠司さんについては、
以前、客席前方で聴いたリサイタルの感想も
書いています。(2021年12月)

2025年のショパン国際ピアノコンクールで入賞した、ヴィンセント・オンのリサイタルの記事はこちらです。(2026年2月)

2021年のショパン国際ピアノコンクールの後、世界中で活躍している角野隼斗。師匠のジャン・マルク・ルイサダと共演したTV番組の公開収録を客席の前から数列目の正面で鑑賞した記事はこちらです。

2025年のショパン国際ピアノコンクール入賞者のガラコンサートを、本記事とは別の会場のP席前方から鑑賞した記事はこちらです。

9.おわりに

以前聴いた弾き振りと、
今回の演奏。

同じ人を、
客席から見続けてきた時間そのものが、
いつの間にか、
一つの体験になっているように感じます。

また別の公演でも、
客席で聴きながら気づいたことを、
少しずつ書き残していけたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

もし、会場の空気を少しでも感じていただけたら、
「スキ」を押していただけるとうれしいです。

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