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ジョブ型とジョブグレード制度は同じか?違うか?

「ジョブ型に移行します」
「ジョブグレード制度を導入しています」

ここ数年でこうした声を聞く機会が増えました。

一方で、人事の仕事を始めたばかりの方から、
「この二つは同じもの?」
「名前が違うだけで、中身は一緒なのでは?」
という声もしばしば聞きます。

結論から言うと、
ジョブ型とジョブグレード制度は同じではありません。

ただし、まったく無関係というわけでもありません。


最初に全体における両者の位置づけを理解する


最初に全体像を押さえましょう。

結論から言えば、
・ジョブ型:人事制度全体の「考え方・思想」
・ジョブグレード制度:等級制度の「具体的な仕組み」

つまり、
・ジョブ型は“設計思想”
・ジョブグレード制度は“制度を構成する部品の一つ”
という関係です。

このズレを理解しないまま話を聞くと、混乱が起きやすくなります。


ジョブ型とジョブグレード制度の具体を押さえる


では、両者の中身を押さえていきましょう。

まずはジョブ型です。

ジョブ型とは、
【「人」ではなく「職務(ジョブ)」を起点に、人事制度全体を考える】
という考え方です。

ここでいう人事制度には、
採用、配置、評価、報酬、育成
といった、人事の主要な仕組みがすべて含まれます。

・採用(どんな仕事の人を採るか)
・配置(どの仕事を任せるか)
・評価(その仕事で何ができていれば良いか)
・報酬(その仕事はいくらの価値があるか)
・育成(次にどんな仕事を目指すか)

これらを一貫して「職務ベース」で設計しよう、というのがジョブ型です。

ポイントは、
【ジョブ型は「等級制度だけ」の話ではない】
ということです。

一方、ジョブグレード制度は、
【職務の重さに応じて、等級(グレード)と報酬レンジを決める制度】
です。

考え方はとてもシンプルです。
・仕事には、それぞれ重さ・責任の大きさがある
・重い仕事ほど、高いグレード・高い報酬になる

人ではなく、「仕事」に値段をつける。この「職務の重さ」を段階化したものが、ジョブグレードです。

このように、ジョブ型は人事制度全体の設計思想であり、ジョブグレード制度は、その思想を等級・報酬の仕組みとして具体化するための一手段なのです。


ジョブ型とジョブグレード制度にまつわる4つの誤解


ジョブ型やジョブグレード制度については、言葉だけが先行し、実態とは異なる理解が広まりがちです。

ここでは、私も過去誤解していた点を整理しておきます。

まず一つ目の誤解は、
「ジョブ型=ジョブグレード制度」
だという理解です。

ジョブグレード制度を導入すると、
「うちはジョブ型です」
と説明されることがありますが、これは正確ではありません。

ジョブ型は人事制度全体の考え方であり、等級制度はその一部にすぎません。採用や評価、配置の考え方が従来のままであれば、等級だけを変えてもジョブ型になったとは言えないのです。

二つ目の誤解は、
「ジョブ型にすると成果主義になる」
というものです。

ジョブ型という言葉から、個人の成果だけが厳しく問われるイメージを持たれることがあります。しかし、ジョブ型の本質は成果競争ではありません。

重要なのは、その職務にどんな責任があり、どこまでの成果が期待されているのかを明確にすることです。成果はあくまで、職務に紐づく期待の一部にすぎません。

三つ目の誤解は、
「優秀な人は自動的に高いグレードになる」
という考え方です。

ジョブグレード制度では、評価されるのは人そのものではなく、担っている職務です。

どれだけ能力が高くても、軽い職務に就いていればグレードは上がりません。逆に、責任の重い職務を担えば、高いグレードが設定されます。この点は、従来の職能等級との大きな違いです。

四つ目の誤解は、
「ジョブ型にすると育成や異動ができなくなる

というものです。

確かに、職務が明確になる分、自由な異動は難しくなる側面があります。しかし、それは育成ができなくなるという意味ではありません。

ジョブ型では、「次にどの職務を目指すのか」を明確にしたうえで育成を行います。場当たり的な異動ではなく、意図を持った育成に変わると捉えるとよいでしょう。

これらの誤解に共通しているのは、制度の一部だけを切り取って理解してしまう点にあります。

ジョブ型もジョブグレード制度も、それ単体で善悪を判断するものではなく、人事制度全体の中でどう位置づけるかが重要だと考えます。


まとめ:ジョブ型とジョブグレード制度は『同じではない』


ジョブ型とジョブグレード制度は、同じものではありません。

ジョブ型は、人事制度全体を「職務」を起点に設計しようとする考え方です。
一方、ジョブグレード制度は、その考え方を等級や報酬の仕組みとして具体化するための、数ある制度の一つにすぎません。

そのため、ジョブグレード制度を導入しただけで、ジョブ型になったとは言えません。
採用や評価、配置といった他の仕組みが人ベースのままであれば、制度全体としては従来型の延長にとどまります。

そのうえで、両者に共通して言えることがあるとすれば、いずれも目的ではなく手段であるという点です。

大切なのは、自社の戦略や事業フェーズを実現するために、人と仕事をどう整理したいのかという問いなのではないかと考えています。


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